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非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予の特例

特例の概要

自社株の評価額が高額になった場合、その自社株の相続時に多額の相続税の納付が発生します。
その結果、会社後継者である役員の資金繰りが悪化するなど、大きな支障が出てしまいます。

このような事態に対応するために、非上場株式等の贈与税・相続税の納税猶予の特例が設定されました。
この特例を活用することで、先代経営者から後継者に株式を贈与または相続する時に、贈与税や相続税の支払いを軽減することができるようになります。

特例の詳細

この特例の内容を学ぶには、国税庁のサイトで勉強することを推奨します。
試験対策テキストの記述は限定的ですが、国税庁の下記ページでは、詳細に要件が解説されています。

このURLから「あらまし」のPDFファイルもダウンロードできます。こちらも詳しく記載されていますので、一度目を通しておくとよいでしょう。

(以前はこのページで特例の詳細を記載しておりましたが、国税庁のサイトのほうがよくまとまっていますので、みなさんは国税庁のサイトで勉強されることを推奨しています)

国税庁のサイトで押さえておくべきポイント

 

以下は、過去問の解説となります。
上記の国税庁のサイトでしっかり勉強した人にとっては、それほど難しい問題ではないでしょう。

非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例

相続時精算課税制度との併用

2018年1月 FP技能士2級 学科 問60より
(2018年9月 FP技能士2級 学科 問60も類題)

4.平成29年度税制改正において、非上場株式等についての贈与税の納税猶予および免除の特例を受ける場合の贈与税額の計算に当たって、相続時精算課税を適用できることとなった。

この記述は適切です。
平成29年度の税制改正までは、相続時精算課税制度と併用できませんでした。改正前は、この特例の適用後に猶予が終了し、税額を支払わなければならなくなった時に、猶予されていた多額の贈与税の支払いを余儀なくされていました。
(万一このようになった時に贈与税額を払えなくなることから、この特例の利用を見送るケースも実際にありました)

改正後に相続時精算課税制度と併用できるようになったことで、猶予が終了してしまった場合にも、税負担を軽減できるようになりました。
通常の贈与税は、1000万円程度で最高税率が適用されますが、相続時精算課税制度だと税率は20%に抑えられているためです。

非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度の、贈与者要件

2019年1月 FP技能士2級 実技(きんざい生保)問14より

非上場株式等についての贈与税の納税猶予および免除の特例(以下、「本特例」という)について、

2 「本特例の対象となる贈与者は、代表権を有していた先代経営者のAさんに限られますので、後継者である長男Cさんが妻BさんからX社株式の贈与を受けた場合、当該株式は本特例の適用対象とはなりません」

この記述は不適切です。
平成30年度の税制改正により、先代経営者以外の株主からの贈与であっても、本特例の適用対象となるようになりました。
(改正前は、先代経営者からの贈与に限られていました)
法改正の内容をしっかり把握していたかどうかが、問われる問題でしたね。

非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度の、雇用確保要件

2019年1月 FP技能士2級 実技(きんざい生保)問14より

非上場株式等についての贈与税の納税猶予および免除の特例(以下、「本特例」という)について

3 「本特例の適用後、10年以内は平均8割の雇用を確保する必要があります。平均8割の雇用確保要件を満たさない場合、納税猶予税額を納付しなければなりません」

この記述は不適切です。
平成30年度の税制改正により、本特例の適用後の5年間で、平均8割の雇用を確保できなくなった場合でも、その理由を記載した書類を提出することで引き続き納税猶予が続くようになりました。
(改正前は、平均8割を下回ると、納税猶予は終了し、猶予されていた税額と利子税の納付が必要でした)

改正前は、5年先まで雇用の8割を確保できるかどうか不透明であるために、本特例の利用を見合わせる事例もありました。
ですが、この8割の雇用確保要件がなくなったことで、本特例が実務上、かなり利用しやすくなりました。

 


 

 

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