確定拠出年金
加入対象者
国民年金で未納があるときに、確定拠出年金に加入できるか
2019年5月 FP技能士2級 学科 問8より
2.(注:確定拠出年金に関して)国民年金の第1号被保険者は、過去に国民年金の保険料未納期間があっても、現在、国民年金の保険料を納付していれば個人型年金に加入することができる。
この記述は適切です。
過去ではなく、現在に保険料の未納であれば、個人型年金に加入(&掛金の拠出)をすることはできません。過去の未納があっても、現在に保険料を納付していれば、個人型年金に加入(&掛金の拠出)することはできます。
「未納や免除の月には拠出できない」と覚えておくとよいですよ。
ちなみに、拠出できない立場であるにもかかわらず、掛け金を拠出した場合、その掛金は後日還付されます。さらに、すでに所得控除を受けてしまっている場合には、確定申告の修正申告をしたうえで、追加の所得税を納付しなければなりません。
確定拠出年金の通算加入者等期間の計算
2012年5月 FP技能士2級 実技(きんざい 個人資産) 問1より
Aさんが離職し,その後,60歳になるまで個人型年金の運用指図者であった場合,当該運用指図者期間は通算加入者等期間に算入されない。
確定拠出年金の通算加入者期間(受給資格者期間ともいう)は、下記の期間の合計期間となっています。
- 確定拠出年金の保険料を納付した期間
- 保険料は納付しないが、運用指図のみ行った期間(運用指図期間)
- 他の企業年金から確定拠出年金に移行した場合は、移行前の年金制度の加入期間
確定拠出年金を60歳から受け取るためには、これらを3つを含めた通算加入者期間が10年以上必要です。
加入できる年齢は、個人型と企業型とで異なる
2016年5月 FP技能士2級 実技(きんざい個人資産) 問3より
2.「Aさんは、確定拠出年金の個人型年金に最長で65歳になるまで加入し、その掛金を拠出することができ、通算加入者等期間に応じた所定の年齢に達した際に老齢給付金を受け取ることができます」
この記述は不適切です。
個人型確定拠出年金に加入できるのは、最長で60歳までとなっています。
一方、企業型確定拠出年金に加入できるのは、65歳までとなっています。
定年が65歳に延長されることに伴う対応で、2014年からは企業型の方に限り「65歳まで」となりました。
この違いも覚えておきましょう。
付加保険料との同時納付について
2014年9月 FP技能士2級 実技(中小事業主) 問2より
3.「Aさんは,老後の年金収入を増やすために,国民年金の付加保険料を納付することができます。ただし,Aさんが確定拠出年金の個人型年金加入者となった場合は,付加保険料を納付することができません」
この記述は誤りです。
確定拠出年金の個人型に加入していても、国民年金の付加保険料は納付することができます。
一方、国民年金基金の保険料と、付加保険料とは、同時に納付をすることができず、この場合はいずれか一方にしか加入できません。
この違いを、理解しておきましょう。
「確定拠出年金と付加保険料を同時に納付できる」と明確に書かれた試験対策テキストは、ほとんどありません。
ですから受験者の皆様も「この場合はどうなんだろう?」と不安に思われた方も多かったと思います。心理的に絶妙なところを突いてくる問題でしたね。こういう問題はやっかいです・・・
確定拠出年金とペイオフの関連
確定拠出年金では、投資信託などの投資商品以外に、預金を選択することもできます。
その預金先の銀行が万一破たんしてしまった場合、ペイオフの対象となり、元本1000万円とその利息までしか保護されないことになります。
実施主体
確定拠出年金の個人型年金の実施主体は、国民年金基金連合会です。
国民年金基金連合会は、個人型年金規約を作成するとともに、加入者の資格の確認、掛金の収納等の業務を行っています。
個人型確定拠出年金
会社経由で掛金を納付する個人型確定拠出年金について
2016年1月 FP技能士2級 学科 問7より
1.企業年金がない企業の従業員である個人型年金加入者(第2号加入者)は、その者に支払われる給与からの天引きにより事業主経由で掛金を納付することができる。
この記述は適切です。
企業の従業員の立場にある人が、企業型ではなく個人型の確定拠出年金に加入する場合は、原則として本記述の通り、給与天引きで掛金を納付することとなります。
個人型とはいえ、会社を巻き込んで取り組む制度となっているわけです。
個人型確定拠出年金を希望する従業員がいる場合は、会社側もそのための手続きが必要となるのです。
企業型確定拠出年金
企業型年金の加入条件
企業型年金においては、加入者に対して「一定の勤続期間以上」「一定の職種」などの加入資格を規約で定めることができます。
なお、この加入要件に該当しない従業員に対しては、確定拠出年金に代わる代替制度を用意しなければなりません。
確定拠出年金のマッチング拠出の拠出額について
2018年1月 FP技能士2級 学科 問8より
1.企業型年金において、加入者が掛金を拠出できることを規約で定める場合、企業型年金加入者掛金の額は、その加入者に係る事業主掛金の額を超える額とすることができる。
この記述は不適切です。これは、マッチング拠出とよばれる方式ですね。
マッチング拠出の場合、従業員の掛け金の額に上限が設けられています。「事業主の拠出額と同額」「事業主拠出額と従業員拠出額の合計が拠出限度額(25500円または51000円)の範囲」のいずれか低い方の金額まで、従業員は掛け金を拠出することができます。
したがって、事業主の掛金の額を超えて加入者が拠出することはできないのです。
確定拠出年金の死亡一時金
確定拠出年金では、加入者が死亡した時に遺族に死亡一時金が支給されます。
その死亡一時金の額は、資産残高となります。
退職所得の金額
確定拠出年金を一括で給付したとき、受け取った金額そのものが退職所得となります。受け取った金額と拠出額との差額(いわゆる投資の儲けの部分)が、退職所得になるというわけではありません。
確定拠出年金の受給開始年齢
2014年9月 FP技能士2級 学科 問7より
4.老齢給付金を60歳から受給するためには、60歳時点で確定拠出年金の通算加入者等期間が20年以上なければならない。
この選択肢は不適切です。
久しぶりに出題された内容ですが、確定拠出年金の受給開始年齢は、60歳到達時点での通算加入者等期間によって決まります。
具体的には、次の通りです。
60歳到達時点において:
通算加入者等期間が10年以上 ⇒ 60歳到達時から70歳到達時までの間
通算加入者等期間が8年以上 ⇒ 61歳到達時から70歳到達時までの間
通算加入者等期間が6年以上 ⇒ 62歳到達時から70歳到達時までの間
通算加入者等期間が4年以上 ⇒ 63歳到達時から70歳到達時までの間
通算加入者等期間が2年以上 ⇒ 64歳到達時から70歳到達時までの間
通算加入者等期間が1か月以上 ⇒ 65歳到達時から70歳到達時までの間
※原則として、60歳以降の加入は認められません。
したがって、本選択肢の「20年以上」を「10年以上」に直すと正しい文章となります。
ちなみに、通算加入者等期間とは、いわゆる確定拠出年金に加入していた期間のことですが、下記の期間も含みます。
- 運用指図期間(掛け金を拠出しないが運用だけを行っていた期間)
- 適格退職年金、厚生年金基金、確定給付企業年金などから運用資産を確定拠出年金に移換した場合は、移換前の制度の加入期間
- FP技能士3級と2級の過去問から、難問(試験対策テキストには記述がない問題、多くの人が間違えやすい問題など)を中心に解説しています。
正解だけでなく、問題の背景や周辺知識も含めて解説しています。 - 万一記述に誤りがあると思われた方は、お問い合わせページよりお知らせください。正しい内容をお知らせし、当サイトも訂正します。
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