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遺族年金

遺族基礎年金

国民年金加入者の受給ルール

18歳以下の子供がいる場合には遺族基礎年金がもらえます。
子供がいない場合、または子供が18歳を超えていれば、遺族基礎年金はもらえません。
18歳以下の子供であっても、その子が結婚していれば、遺族基礎年金はもらえません。

夫の受給

2015年1月 FP技能士2級 学科 問7より

1.遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持され、かつ、所定の要件を満たす妻および子に限られる。

この選択肢は不適切です。
「所定の要件を満たす妻および子」を「所定の要件を満たす妻または夫、および子」に直すと正しい文章となります。
これは、2014年4月に改正された事項ですね。

以前は確かに「妻および子」に限られ、夫は受給対象外でした。
しかし現在は、夫も遺族基礎年金を受給できるようになっています。

遺族厚生年金

遺族厚生年金を受給できる遺族の範囲

2017年9月 FP技能士3級 学科 問5より

遺族厚生年金を受けることができる遺族の範囲は、被保険者等の死亡当時、その者によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹である。

この記述は不適切です。
遺族厚生年金を受け取れる遺族に、兄弟姉妹は含まれません。
受取れる遺族は「配偶者、子、父母、孫、祖父母」が正しいです。

以前は2級でよく出題されていましたが、これからは3級でも出題されると思ったほうが良いですね。
ちなみに、夫、父母(祖父母も)は、その年齢が55歳以上の場合にのみ、遺族厚生年金を受け取ることができる点も覚えておきましょう。
細かいところですが、覚えておきましょう。

遺族厚生年金を受給できる「父母」

2016年1月 FP技能士2級 学科 問6より

2.遺族厚生年金を受けることができる父母には、厚生年金保険の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持されていたその者の配偶者の父母で55歳以上の者も含まれる。

この記述は不適切です。
死亡した者の父母は、遺族厚生年金の受給権者となりますが、死亡した者の配偶者の父母は、受給権者とはならないのです。

遺族厚生年金と老齢厚生年金の両方の受給権がある場合の調整

2018年1月 FP技能士2級 学科 問7より

4.配偶者が死亡したことにより遺族厚生年金の受給権を取得した65歳以上の受給権者について、その受給権者が受給できる老齢厚生年金の額が、遺族厚生年金の額を上回る場合は、遺族厚生年金の全部が支給停止される。

この記述は適切です。
実はこの内容は、皆様の試験対策テキストに記載されていることが多いですが、この選択肢とは別の言い回しになっていることが多いでしょう。

テキストでは、次のような書き方になっていると思います。

「遺族厚生年金と老齢厚生年金の両方の受給権がある場合は、老齢厚生年金が先に支給され、遺族厚生年金との差額(計算式で書くと、遺族厚生年金額−老齢厚生年金額)が遺族厚生年金として支給される」

この計算式の計算結果がマイナスになる(つまり老齢厚生年金の額のほうが大きい)場合には、結果的に遺族厚生年金は0円と計算されるため、本選択肢の通り、全部が支給停止になるというわけなのです。

遺族厚生年金と特別支給の老齢厚生年金との併給

特別支給の老齢厚生年金のページにまとめていますので、こちらを参照してください。

初診日に関する受給要件

2016年1月 FP技能士2級 学科 問6より

1.厚生年金保険の被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡した場合は、その者の遺族で一定の要件を満たす者に遺族厚生年金が支給される。

この記述は適切です。
これについては、試験対策テキストで記載されているものも多いのですが、出題はおそらく初めてになると思います。
この記述を解釈すれば、たとえ死亡時点で厚生年金に加入していなくても、初診日が過去5年以内でかつ初診日に厚生年金に加入していれば、遺族厚生年金が支給される、ということになります。

遺族厚生年金の長期要件

2014年1月 FP技能士2級 実技(FP協会) 問39より

ただし、長期要件による遺族厚生年金については、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が原則として( ウ)以上なければ、( イ)は加算されない。

(イ)に入る言葉は「中高齢寡婦加算」(ウ)に入る言葉は「20年」です。

FP協会の実技試験としては、めずらしく(貴重な?)深く突っ込んだ問題であったかと思います。遺族年金の長期要件について解説のない試験対策テキストもありますので、ここで解説しておきます。

長期要件とは、「老齢厚生年金の受給権者」または「老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者」です。たとえば、すでに老齢厚生年金を受け取っている夫や、年金を25年以上払いかつ1か月以上の老齢厚生年金納付実績がある夫がこれに該当します。死亡の時点で厚生年金の被保険者でなくても(いわゆる会社員でなくとも)、長期要件に該当すれば中高齢寡婦加算を受給できる可能性があります。

一方で短期要件とは、厚生年金の被保険者などが該当します。FP技能士試験における遺族年金の問題は、大半がこの短期要件に該当するケースでの出題ですが、本問はめったに出題されない長期要件についての問題でした。

長期要件の場合、中高齢寡婦加算を受給するためには、「厚生年金に20年以上加入していること」という条件があります。本問はこれについて問う問題でした。

胎児の受給要件

2016年1月 FP技能士2級 学科 問6より

3.厚生年金保険の被保険者等の死亡の当時胎児であった子(婚外子は考慮しない)が出生した場合、将来に向かって、その子は、被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持されていた子とみなされ、遺族厚生年金を受けることができる遺族となる。

この記述は適切です。
かなり細かい制度について問う問題ですが、本記述の通り胎児は出生後、受給権者となります。
ちなみに、遺族基礎年金についても胎児の取り扱いは同じです。胎児出生後は18歳未満の子供の人数が増えるため、出生の翌月から遺族基礎年金の額は増額されることとなります。

遺族厚生年金の支給停止の条件

2014年9月 FP技能士2級 実技(きんざい損保) 問3より

3.「Bさんが厚生年金保険の被保険者として働き始めた場合,遺族厚生年金は,総報酬月額相当額の多寡によって,年金額の一部または全部が支給停止となる場合があります」

この記述は誤りです。
遺族厚生年金を受給している人が、厚生年金保険の被保険者になっても、遺族厚生年金額は全額そのままもらえます。
原則として、遺族厚生年金は生涯受給し続けられるものですが、次の場合には減額または支給停止となります。

問題文中にあるように、「総報酬月額相当額の多寡によって,年金額の一部または全部が支給停止となる」は、老齢厚生年金についてのことですね。これは遺族厚生年金にはあてはまりません。
これも併せて覚えておきましょう。

遺族厚生年金を受給中の子が、養子となった場合

2019年5月 FP技能士2級 学科 問7より

3.厚生年金保険の被保険者が死亡したことにより遺族厚生年金の受給権者となった子が、直系血族である祖父の養子となった場合、当該子の遺族厚生年金の受給権は消滅する。

この記述は不適切です。
この記述のケースでは、遺族厚生年金の受給権は消滅しません。

遺族厚生年金の受給者が子であるときは、下記のケースに該当した場合に受給権が消滅すると例示されています。

・受給者が亡くなったとき
・受給者が結婚したとき(内縁関係を含む)
・直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき

本問は、直系血族である祖父の養子となる場合ですから、上記いずれにも該当せず、受給権は消滅しないのです。
かなり細かい点ですが、できれば覚えておいてくださいね。

経過的寡婦加算

経過的寡婦加算を受給できる人の要件

2018年1月 FP技能士2級 実技(きんざい個人資産) 問2より
2013年9月 FP技能士2級 実技(きんざい 生保顧客) 問3 も類題

3 「妻Bさんが65歳以後に受給する遺族厚生年金には、経過的寡婦加算の加算は行われません」

この記述は適切です。
経過的寡婦加算そのものを問う問題は、ここ数年間ありませんでしたので、穴場の出題でしたね。
経過的寡婦加算は、昭和31年4月1日以前に生まれた女性の遺族にのみ支給されるものです。
本問では妻Bさんは昭和39年生まれですから、経過的寡婦加算の支給はないということになります。
経過的寡婦加算については、細かい点まで記載されていないFPテキストもありますので注意してください。

ちなみに、経過的寡婦加算は、生年月日によって受給額が異なります。昭和2年4月1日以前に生まれた人はその受給額が最も多くなります。それ以降に生まれた人ほど受給額が段階的に下がり、昭和31年4月2日以後に生まれた人は受給額が0円、つまり受給の対象外となります。

死亡一時金・寡婦年金

死亡一時金の支給要件

2012年1月 FP技能士2級 学科 問6より

死亡一時金を受け取る要件は、被保険者が以下の2つの要件を満たしていた場合に、遺族に支給されます。

遺族基礎年金との関連

2016年9月 FP技能士2級 実技(中小事業主) 問3より

3.「Aさんは、第1号被保険者としての保険料納付済期間が36月以上ありますので、妻Bさんには死亡一時金が支給されます。ただし、妻Bさんが寡婦年金の受給を選択する場合は、死亡一時金の支給は受けられません」

この記述は不適切です。
本問題の事例においては、遺族基礎年金が支給されます。
遺族基礎年金が支給される場合は、死亡一時金も寡婦年金も支給を受けることはできません。
したがって不適切、ということになります。

ちなみに、本記述にある「保険料納付済期間が36月以上」は、死亡一時金の要件の一つですが、これ以外の要件もあります。
要件については一通り、皆様の試験対策テキストで勉強をしておいてくださいね。

第2号被保険者への取り扱い

2013年9月 FP技能士3級 実技(FP協会) 問19より

選択肢に寡婦年金と死亡一時金が含まれているものがあります。
寡婦年金と死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者が死亡した場合のみ支給されます。本問は厚生年金に加入しているケースですので国民年金の第2号被保険者です。したがって第2号被保険者の場合には、寡婦年金も死亡一時金も支給されないのです。

寡婦年金の受給要件の改正

2018年1月 FP技能士2級 学科 問7より

2.寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上ある夫が障害基礎年金または老齢基礎年金の支給を受けることなく死亡し、その死亡の当時、夫によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻期間が10年以上継続した妻が60歳以上65歳未満の間に受給することができる。

この記述は適切です。これは法改正問題ですね。
以前は、本選択肢の「10年」が「25年」であったのですが、年金制度が改正されて「10年」となりました。

この寡婦年金以外にも、老齢年金の受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間と合算期間の合計)が10年以上あれば、老齢年金を受給できるようにも改正されています。

遺族年金に関するその他の事項

遺族年金の受給権が、年収増加で消滅することはあるのか

2018年1月 FP技能士3級 実技(きんざい個人資産) 問3より

2) 「遺族基礎年金や遺族厚生年金は、Aさんが亡くなった後、妻Bさんが再就職をして収入を得るようになった場合でも、その給与収入によって年金額の減額や受給権が消滅することはありません」

この記述は適切です。
ちょっとしたひっかけ問題ではあるのですが、家族(本選択肢ではAさん)が死亡したときに、遺族年金を受給する人の収入が850万円を超えている場合には、遺族年金を受け取ることはできません。
ただし、家族が死亡した後になってから、収入が850万円を超えても、遺族年金が減額されたり受給権が消滅することはありません。
この違いを、理解しておきましょう。

業務上の死亡

被保険者が業務上死亡し、労災が認められた場合、遺族には遺族年金と労災給付が支給されます。

 


 

 

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