その他の損害保険
普通傷害保険
急激に該当しない例
2014年1月 FP技能士3級 学科 問39より
普通傷害保険において補償の対象とならない傷害の例として,( )がある。
1) 自宅で料理中に油がはねて生じたやけど
2) 公園をジョギングして生じた靴ずれ
3) 職場の階段で転倒して生じた骨折
正解の選択肢は2です。
傷害保険とは、「急激かつ偶然な外来の事故」を補償する保険です。
例えば、交通事故、スポーツ中の事故、階段を踏み外したことによる事故等の場合に、保険金が支払われます。
これらの事故は、 発生した/発生していない の切り替わりが急に生じる(時間的間隔がない、とも説明されます)ので「急激」に該当します。しかし靴擦れの場合は、靴が擦れるという事象が継続的に影響を与えて生じるものであるため「急激」に該当しません。
したがって、靴擦れは傷害保険の補償対象とはならないのです。同様の理由で、しもやけや日射病も、傷害保険では補償されません。
「急激かつ偶然な外来の事故」がどのようなものなのかをイメージできるようになっておきましょう。
就業中の事故への補償
2015年1月 FP技能士2級 学科 問19より
下記の記述は適切です。
3.日常生活における事故のほか、就業中の事故によりケガを負うリスクに備えて、普通傷害保険を契約した。
2015年9月 FP技能士2級 学科 問16より
下記の記述は不適切です。
1.普通傷害保険は、被保険者の就業中に生じた事故による傷害は補償の対象とならない。
就業中も補償の対象となるのかどうかで悩まれたかもしれませんが、普通傷害保険は家庭内、職場内などを問わず、また日本国内、海外を問わず、補償の対象となっています。
幅広く補償してもらえますが、次のケースでは補償の対象外です。
- 食中毒や虫垂炎などの症状
- 自動車・バイクなどによる事故(自動車保険・交通事故傷害保険でカバーする)
- 地震・噴火・津波による被害(地震保険特約などでカバーする)
- ロッククライミング、スカイダイビングなどの危険なスポーツ(危険スポーツ用の保険でカバーする)
補償されるケースではなく、補償されないケースを覚えたほうが、覚えることが少ないので試験に対応しやすいですね。
生命保険料控除との関連
傷害保険は、平成24年1月1日以降に契約したものは(新制度の場合)、生命保険料控除の対象とはなりません。
旧制度の契約の場合であれば、生命保険料控除の対象となっています。
旅行保険
海外旅行保険と賠償責任特約の関係
2019年5月 FP技能士2級 実技(FP協会)問14より
海外旅行傷害保険に関する次の(ア)〜(エ)の記述について、保険金の支払い対象となるものには○、保険金の支払い対象とならないものには×を解答欄に記入しなさい。なお、携行品損害担保特約および賠償責任特約を付帯しているものとする。
(ウ)海外旅行先のホテルに滞在中、不注意により客室の調度品を壊してしまい、ホテルから損害賠償を求められた。
この記述は、保険金の支払い対象となります。
海外旅行保険単体では、このような損害賠償に対して補償はありません。
ただし賠償責任特約を付帯していることにより、補償されるのです。
試験対策としては、海外旅行保険単体で補償される範囲・されない範囲を理解しておきましょう。
そのうえで、補償されない範囲を別の特約でカバーするという考えも、理解しておきましょう。
これは、実務上も有益な考え方ですよ。参考にしてくださいね。
各傷害保険の保険金支払い条件
FP技能士試験では、交通事故による場合に保険金が支払われるかどうかがよく問われます。
また、地震や津波による傷害が補償の対象となるかどうかも、たまに出題されます。
各傷害保険に内容により、保障される内容に違いがあります。下記表を参考にしてください。
支払理由 | 普通傷害保険 | 国内旅行 傷害保険 |
海外旅行 傷害保険 |
---|---|---|---|
交通事故などの不慮の 事故にあった場合 |
○:支払われる | ○:支払われる | ○:支払われる |
細菌性食中毒 | ×:支払われない | ○:支払われる | ○:支払われる |
地震、噴火、津波による事故 | ×:支払われない | ×:支払われない | ○:支払われる |
家族傷害保険
補償の対象者
2012年1月 FP技能士2級 学科 問17より
2012年9月 FP技能士3級 学科 問9より
家族傷害保険の補償の対象となるのは、契約者と生計を一にする同居の親族と、契約者と生計を一にする別居の未婚の子です。
親族か否か、また同居しているか否かは、契約時点ではなく、事故発生時の時点で個別に判断をします。
家族傷害保険の保険料の基準
2017年1月 FP技能士3級 学科 問38より
(2012年5月 FP技能士2級 学科 問18も類題)
家族傷害保険では、被保険者のなかに異なる職種級別の者がいる場合、保険料は、( )の職種級別を基準に算出される。
( )に入る言葉は、「被保険者本人(記名被保険者)」です。
家族傷害保険は、契約者と生計を一にする親族をすべて被保険者にできる保険です。
危険度の高い職種の人ほど、保険料が高くなる仕組みになっていますが、職種の判定はあくまでも被保険者本人の職種を基準に算出することになっています。
記名被保険者は一般的に、家族の中で最も補償を必要とする人を設定します。その人に付随して、他の親族も被保険者になる、というイメージで解釈してくださいね。
この理屈から言えば、例えば夫婦それぞれが仕事をしていて、夫のほうが保険料の高い職種についているときは、妻を記名被保険者にすることで保険料を下げることができます。
ただし、記名被保険者を基準として、どの親族までが被保険者の対象になるのかが変わってきます。核家族ではなく、親子三世代とか兄弟を含めて同居している場合には、被保険者の範囲が変わることがあるので、その点も注意が必要になります。
交通傷害保険
保険事故の範囲1
2013年1月 FP技能士2級 学科 問16より
4.交通傷害保険は、被保険者が道路を歩行中に建物の看板が落下してきたことによりケガをした場合、保険金支払いの対象とする。
この選択肢は適切です。交通傷害保険では本選択肢以外の場合でも、駅の改札内での事故や、車いすに乗っているときに遭遇した事故の場合にも支払いの対象となります。試験対策としては、名称にもある「交通」が、かなり幅広く解釈されるイメージを持てばよいでしょう。
保険事故の範囲2
2013年9月 FP技能士2級 学科 問17より
3.交通事故傷害保険は、交通事故により被る傷害だけでなく、建物の火災により被る傷害も、保険金支払いの対象となる。
選択肢3は適切です。交通事故傷害保険は、「交通事故」と「建物や乗物の火災」の2つの事象に限定して補償する傷害保険です。交通事故と名称にありますが、建物火災による傷害も補償対象という点を理解しておきましょう。
保険料について
交通傷害保険は、「交通事故」と「建物や乗物の火災」に限定した傷害保険のため、一般的には普通傷害保険よりも保険料は安くなっています。
ファミリー交通傷害保険
2012年1月 FP技能士2級 学科 問17より
家族全員が被保険者となっている交通事故傷害保険です。家族が交通事故にあった場合などに、保険金が支払われます。
国内、国外のいずれの事故も、補償の対象となります。
年金払積立傷害保険
給付金の課税
2019年1月 FP技能士2級 学科 問18より
(2015年5月 FP技能士2級 学科 問18も類題)
3.契約者(=保険料負担者)が年金として受け取る年金払積立傷害保険の給付金は、雑所得として所得税の課税対象となる。
この記述は適切です。
年金払積立傷害保険とは、傷害保険と個人年金をセットにしたような保険です。
保険期間中は、傷害保険としての保障が存在します。そして一定の年齢に達したときに、個人年金として給付金を受け取ることができます。この給付金は、一時金ではなく毎月受給する性質のものであるため、個人年金の受給の場合と同じく、雑所得として所得税の課税対象となります。
個人賠償責任保険
個人賠償責任保険で補償されないもの
2019年5月 FP技能士2級 学科 問19より
(2015年1月 FP技能士2級 学科 問19も類題)
4.被保険者の子が原動機付自転車で通学中に、事故で他人にケガをさせてしまい法律上の損害賠償責任を負うリスクに備えて、個人賠償責任補償特約を付帯した普通傷害保険を契約した。
この選択肢は不適切です。
個人賠償責任保険は、様々な賠償責任を補償してくれる保険です。しかし次の場合には補償の対象外となります。
- 業務上の賠償責任(法人向け賠償責任保険でカバーする)
- 自動車、バイク(原動機付自転車を含む)などで事故を起こした場合(自動車保険でカバーする)
- 他人から借りた物を破損するなどした場合(そのための保険や特約があり、それでカバーする)
- 同居親族に対する損害賠償(カバーできる保険は基本的にない)
補償されるケースではなく、補償されないケースを覚えたほうが、覚えることが少なくて済みますね。
示談交渉サービス
「示談交渉サービス」が付いていると、事故が起きた場合、第三者の専門家に間に入って対応してもらえる。
このサービスを利用したほうが、スムーズに交渉や手続きが進められる点がメリットである。
TSマークの自転車保険の補償内容についての問題
2019年9月 FP技能士2級 実技(きんざい損保)問6より
2 「自転車による賠償事故に備える方法として、自転車安全整備士が点検確認した普通自転車に貼付されるTSマーク(自転車向け保険)で備える方法があります。TSマーク(自転車向け保険)における被害者1人当たりの保険金の支払限度額は、死亡の場合で3,000万円、傷害の場合で120万円です」
この記述は不適切です。
TSマークによる補償には、青色TSマークと赤色TSマークの2種類があり、両者で支払われる保険金額に違いがあります。
青色TSマークは、死亡の場合に1000万円、傷害の場合で30万円が保険金の支払限度額となっています。
赤色TSマークの方が保険金額は高く、死亡の場合に1億円、傷害の場合で100万円が保険金の支払限度額となっています。
なお、いずれのTSマークも、対物補償はなく、1年間の定期保険です。
以下は、TSマークの自転車保険に関する補足です。
TSマークの「TS」とは、Traffic Safety(交通安全)の頭文字です。
この保険は、自転車点検を実施しているお店で自転車の整備を受けることで、加入できます。
保険料は、自転車の整備代金に含まれており、自転車の整備を行わない場合には加入できません。
自転車の所有者が運転者の場合はもちろん、その家族や友人が運転者である場合も、補償の対象となります。
家庭用自転車に限らず、業務用自転車でもこの保険に加入できます。
青色TSマークと赤色TSマークのどちらを取り扱っているかは、自転車整備を行っている店舗によって異なります。
損害保険の保険料の構成
2016年5月 FP技能士3級 学科 問9より
損害保険の保険料は、純保険料と付加保険料で構成されており、純保険料は、保険会社が支払う保険金の原資となる。
この記述は適切です。
保険料が純保険料と付加保険料で構成されているということは、FP試験対策テキストでは生命保険のところに記述されています。
実はこのことは、生命保険だけでなく、損害保険にも当てはまるのです。
生命保険だけでなく、損害保険も、純保険料と付加保険料で構成されているという点をを、理解しておきましょう。
契約者と保険金受取人が異なる場合の課税
身体の傷害や疾病に対して支払われる医療保険金や入院給付金、後遺障害の保険金などは、非課税です。
これに関しては、契約者と保険金受取人が異なる場合も、非課税です。
一方、死亡保険金については、生命保険の課税と同じルールが適用されます。したがって、契約者と保険金受取人が異なる場合は、相続税(契約者=被保険者)または贈与税(契約者≠被保険者)が課税されます。
個人事業主が契約した傷害保険の経理処理
個人事業主が契約した保険の経理処理のページをご覧ください。
- FP技能士3級と2級の過去問から、難問(試験対策テキストには記述がない問題、多くの人が間違えやすい問題など)を中心に解説しています。
正解だけでなく、問題の背景や周辺知識も含めて解説しています。 - 万一記述に誤りがあると思われた方は、お問い合わせページよりお知らせください。正しい内容をお知らせし、当サイトも訂正します。
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