不動産に関する税金
不動産取得税
不動産取得税は、地方税
不動産取得税は、地方税にあたります。
都道府県が課税します。(市町村ではありません)
課税標準
不動産取得税の課税標準は、固定資産税評価額となります。
売買価格(時価)ではありません。
不動産取得税の課税標準の特例における、床面積の要件
2018年1月 FP技能士2級 実技(きんざい個人資産) 問11より
1. Aさんが建築する賃貸アパートについて、「不動産取得税の課税標準の特例」の適用を受けるためには、建築する賃貸アパートの独立的に区画された1室ごとの床面積が50m2以上240m2以下でなければならない。
この記述は不適切です。
「50m2以上240m2以下」を「40m2以上240m2以下」に直すと正しい文章となります。
戸建て住宅の場合は「50m2以上240m2以下」ですが、マンションやアパートの場合は「40m2以上240m2以下」となります。
建物の種類によって、面積要件が異なる点を覚えておきましょう。
課税されない場合
2013年1月 FP技能士3級 学科 問24より
2013年1月 FP技能士2級 学科 問47より
一般的に、不動産を取得した場合には不動産取得税が課税されます。贈与や相続時精算課税制度を利用した場合も課税されます。
ただし、下記のケースの場合には、不動産取得税は課税されません。こちらのケースの場合を暗記しておきましょう。
- 相続で取得した場合
- 土地の売買金額が10万円未満の場合
- 家屋の売買金額が12万円未満の場合
- 家屋の建築価格が23万円未満の場合
- 借地権の取引の場合
中古住宅やセカンドハウスの場合の課税
2013年1月 FP技能士3級 実技(きんざい 個人資産) 問12より
選択肢1) 不動産取得税の課税標準の特例は,建物を新築した場合のみが適用対象となるため,中古住宅である物件Xについては同特例の適用を受けることはできない。
この選択肢は不適切です。自己の居住用建物であれば、新築でも中古でも不動産取得税の課税標準の特例を適用できます。一方で賃貸用の建物であれば、新築の場合はこの特例を適用できますが、中古の場合は適用できません。ちょっとややこしいですが、この違いも整理して覚えましょう。
ちなみに、自己の居住用であればセカンドハウス(2件目の家)もこの特例を受けることができます。ただしセカンドハウスの場合は、生活上そこに住む必要性があると認められる場合に限ります。たとえば、自身の仕事上曜日によって寝泊りする家を変えているとか、親の介護の必要性があるため定期的に寝泊りしている、などの理由が必要です。これとは異なり、生活上住む必要があるとは言えない別荘やリゾートマンションの場合は、この特例を適用できません。
登録免許税
課税標準
登録免許税の課税標準は、固定資産税評価額となります。
売買価格(時価)ではありません。
所有権移転登記の場合
不動産の売買をした時、所有権移転登記を行います。所有権移転登記は、買主と売主が共同で行うこととされています。そして、その両者が連帯して登録免許税を納付するとされています。
連帯して登録免許税を納付するとありますが、登録免許税の税額を、売主と買主のどちらがどれだけの割合で負担するかは、法律上決まりがありません。両者の合意で決めてよいものですが、たいていの場合は慣例により、買主が全額負担することがほとんどです。
登録免許税の課税標準となる不動産の価格は、固定資産税評価額に税率をかけて計算されます。いつの時点の固定資産税評価額を使うのかという点ですが、登記申請日が1月1日から3月31日までの場合は、その前年の12月31日の価格を使います。登記申請日が4月1日から12月31日までの場合は、その年の1月1日の価格を使います。
抵当権設定登記の場合
住宅ローンを組んで不動産を購入するとき、抵当権設定登記を行います。
登記の際、登録免許税の支払いが必要になりますが、所有権移転登記の場合と同じく、どちらが負担するかは法律上決まりがありません。この場合も、たいていの場合は慣例により、債務者(ローンを毎月返済する立場である不動産の購入者)が全額負担することがほとんどです。
登録免許税は間接税
登録免許税は、不動産の買い手と売り手が連帯して負担します。
両者の負担割合に決まりはなく、両者のうちの一方が全額負担してもよいし、互いに半額ずつでも構わないのです。
ただ実務上は、買い手側の人が負担することが多いようです。
表題登記の場合は非課税
2018年1月 FP技能士2級 学科 問48より
2014年1月 FP技能士2級 学科 問48も類題
4.建物を新築して表示に関する登記を申請する場合は、登録免許税は課されない。
この記述は適切です。
登録免許税は、権利の取得など(権利部に記載内容の変更)に関して課税される税金です。
つまり、権利部に記載を行わない表題部の登記については、登録免許税は課税されません。
ちなみに、土地の表題登記の場合も、登録免許税は課税されないことも、覚えておきましょう。
住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減
2014年5月 FP技能士2級 実技(きんざい個人資産) 問11より
(2)賃貸アパートについて新築後1年以内に所有権の保存登記を受けた場合,この登記に係る登録免許税の税率は,「住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減」の適用を受けることにより,0.4%から0.15%に軽減される。
この記述は不適切です。
「住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減」の適用を受けると、記述の通り税率は0.4%から0.15%に軽減されます。しかしこの特例は、自己の居住用家屋の場合にのみ適用を受けられます。本記述の場合は賃貸アパートですので、この税率軽減の適用を受けることはできないのです。
住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減
2014年9月 FP技能士2級 実技(きんざい個人資産) 問10より
3.購入予定マンションは築10年を超えているため,登録免許税について,住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減の適用を受けることはできない。
この記述は不適切です。
登録免許税の、住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減は、その建物が築20年未満であれば適用を受けることができます。本問の物件は築12年ですから、適用を受けられるため、この記述は不適切となります。
固定資産税
固定資産税の納税義務
2015年5月 FP技能士2級 学科 問48より
2.固定資産税の全額を前納していた納税義務者が、その年の途中に対象となる固定資産を売却した場合、その者は、所定の手続きにより、売却後の期間に対応する税額の還付を受けることができる。
この記述は不適切です。
固定資産税は、1月1日時点の所有者が、その年の税額を全額支払うこととなっています。
年の途中で売却しても、税額は還付してもらえません。
ただし実務上は、売却後の期間に対応する税額を、その不動産の販売価格に上乗せして、売主(つまり次の所有者)に間接的に負担させるケースが多いです。このような取り決めを行っても、法律上・納税上の問題はありません。
新築住宅に対する固定資産税の軽減の特例
2019年1月 FP技能士2級 学科 問48より
3.地方税法において、所定の要件を満たす新築住宅に係る固定資産税は、1戸当たり120m2以下の床面積に相当する部分の税額について、一定期間にわたり5分の1に軽減される特例がある。
この記述は不適切です。
「5分の1」を「2分の1」に直すと正しいです。
ちなみに「一定期間」とありますが、その期間は原則として3年間です。
ただし認定長期優良住宅に該当し床面積が50m2以上280m2以下である場合には、5年間となります。
軽減割合と、軽減期間を合わせて覚えておきましょう。
住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例
2014年5月 FP技能士2級 実技(きんざい個人資産) 問11より
(3)「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」は,その住宅用地の所有者の居住用住宅の敷地が適用対象となるため,賃貸アパートの敷地には適用されない。
この記述は不適切です。住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例は、自己の居住用家屋以外にも、賃貸アパートにも適用することはできます。
家屋が居住の用に供するものであれば、アパートなどの賃貸用住宅であっても、適用を受けることができるのです。
固定資産税&都市計画税
都市計画税と固定資産税の税率軽減の違い
2016年5月 FP技能士2級 学科 問47より
3.地方税法において、新築住宅を取得した場合のその家屋に係る都市計画税については、一定の床面積以下の部分の税額が、一定期間軽減される特例が定められている。
この記述は不適切です。
「都市計画税」を「固定資産税」に直すと、正しい記述となります。
本記述は固定資産税にある制度で、居住用床面積が50〜280m2なら、その120m2までの部分の税額が、新築後3年間、2分の1に軽減される制度です。
このような新築住宅についての軽減税率は、固定資産税にはありますが、都市計画税にはありません。
この点を理解しておきましょう。
ちなみに、小規模住宅用地(建物ではなく土地です)に関しては、固定資産税と都市計画税の両方に、軽減税率の制度があります。
200m2未満の部分と、200m2を超える部分とで、軽減割合が異なる制度です。
税の軽減に関する制度は、このように少々複雑ですが、建物と土地とでそれぞれどのような軽減制度があるかを、体系的に理解しておきましょう。
印紙税
過怠税の課税ルール
2012年9月 FP技能士2級 学科 問47より
印紙税を納付すべき課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を納付しなかった場合には、原則として、その納付しなかった印紙税の額とその2倍相当額の合計額に相当する額の過怠税が課税される。
不動産の売買契約などで支払う印紙税に関する内容です。
不動産売買契約書に収入印紙が貼付されていなかった場合、印紙額面の2倍の過怠税が課されます。結果として、印紙額面の3倍の支払いとなってしまいます。
不動産売買契約書に収入印紙が貼付されているが消印されていない場合、印紙額面と同額の過怠税が課されます。結果として、印紙額面の2倍の支払いとなってしまいます。
税務調査の前に、自ら印紙税の不納付を申し出た場合には、印紙額面の10%の過怠税が課されます。結果として、印紙額面の1.1倍の支払いとなってしまいます。
仮契約書への印紙
通常の契約書ではなく、仮契約書であっても印紙税は課税対象となります。
1通目の契約書原本をコピーしたり複製をして、それを2通目の契約書とした場合であっても、契約書としての効力を持つ書面であれば印紙税の納付が必要です。
印紙の貼付について
2014年1月 FP技能士3級 学科 問24より
土地・建物の売買契約書を2通作成し,売主・買主がそれぞれ保管する場合の印紙税の納付は,売主または買主のいずれか一方の契約書に印紙を貼付して消印することにより完了する。
この記述は不適切です。
売買契約書を2通作成するのですが、そのどちらにも印紙を貼付して消印をする必要があります。
本問はFP知識というよりは、ビジネス文書の知識についての問題でしょうかね。
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
税額控除のページを参照して下さい。
不動産の譲渡に関する税金
不動産の譲渡に関する税金のページにまとめています。
- FP技能士3級と2級の過去問から、難問(試験対策テキストには記述がない問題、多くの人が間違えやすい問題など)を中心に解説しています。
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