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保険と相続

相続税に係る死亡保険金の非課税制度

受け取り方法による非課税適用の可否

一括で受け取る生命保険金に限らず、年金形式で受け取る生命保険金についても、死亡保険金の非課税金額の適用を受けることができます。

非課税制度を利用できる契約形態

2013年1月 FP技能士2級 実技(きんざい 生保) 問14より

契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を長男Cさん,被保険者をAさんとする終身保険に加入すれば,長女Dさんや二男Eさんに対する代償交付金を準備できるとともに,相続税において死亡保険金の非課税の規定を活用することができる。

この記述は不適切です。死亡保険金の非課税の適用を受けられるのは、契約者と被保険者が同一人物である場合、すなわち受け取った保険金に相続税が課税される場合に限られます。このケースにおいては、相続税ではなく所得税が課税されるケースであるため、死亡保険金の非課税の規定は活用することができません。

相続人以外が受け取った死亡保険金の、非課税の取り扱い

2017年5月 FP技能士2級 学科 問15より

2.契約者と被保険者が同一人である終身保険契約で、相続人以外の者が受け取った死亡保険金は相続税の課税対象となり、相続税における生命保険金等の非課税規定(相続税法第12条の「相続税の非課税財産」の規定)が適用される。

この記述は不適切です。
本記述のように、死亡保険金を相続人でない者が受取った場合には、この非課税の規定(500万円×相続人の数)は適用されません。
このように明記されていないテキストが多いですが、死亡保険金に対する非課税の規定が適用されるのは、相続人が受け取った場合に限られることを理解しておきましょう。

外貨建て終身保険の場合

2018年1月 FP技能士2級 学科 問26より

3.外貨建て終身保険は、円建ての終身保険と異なり、生命保険料控除や死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。

この記述は不適切です。
外貨建て保険であっても、生命保険料控除や死亡保険金の非課税の規定の適用を受けることはできます。
その場合の計算方法ですが、外貨価格を円換算した金額で計算をすることになります。

契約者貸付金の、相続税法上の取り扱い

2014年1月 FP技能士2級 学科 問14より

3 .契約者(=保険料負担者)の死亡により相続人が引き継いだ生命保険契約において 、当該契約者(被相続人)に対する契約者貸付金がある場合、その金額は、相続税の課税価格の計算上、債務控除の対象となる。

この選択肢は適切です。契約者貸付金は保険会社からの借金です。通常、借金は相続において債務控除の対象となるので、契約者貸付金も債務控除の対象となります。
なかなか細かいところを突いてくる選択肢ですね。

年金受給権の相続税評価額

2014年1月 FP技能士2級 学科 問14より

4.個人年金保険契約における年金を受け取る権利を相続により取得した場合の相続税評価額は、年金年額に被保険者の年齢に応じた所定の倍率を乗じて得た金額となる。

この選択肢は不適切です。
個人年金保険契約における年金を受け取る権利(これを年金受給権とも言います)の評価額は、個人年金の給付が開始されたかどうかで変わります。

個人年金の給付が開始されていない時点においては、解約返戻金の額を評価額とします。

個人年金の給付が開始されたあとは、次のうち最も大きい金額を評価額とします。

なお、以上の内容は、平成23年4月1日以後に取得する年金受給権についての説明です。
それ以前に受け取る場合には、本選択肢のような算式で求めることになっていました。

(※1)
以下は試験に出題されないとは思いますが、「予定利率等をもとに算出した金額」の算式を、参考までに記載しておきます

収入保障保険の受取保険金に対する課税について

2017年5月 FP技能士3級 実技(保険) 問6より

2) 「Aさんが死亡した場合、収入保障特約の年金額について、当該年金受給権が『定期金に関する権利の評価』に基づき評価されて相続税の課税対象となります。なお、その後に妻Bさんが受け取る年金は、課税部分と非課税部分に振り分けられ、課税部分は雑所得として総合課税の対象となります」

この記述は適切です。
3級ではおそらく初めて出題された内容ですね。2級ではたびたび出題される内容です。

本記述のとおりではありますが、次の要点を含め、全体的な考え方を理解しておきましょう。

さて、ここで「定期金に関する権利の評価」とは何かを理解しておく必要があります。

例えば終身保険や定期保険などの場合は、死亡とほぼ同時に保険金が支払われます。
これは、相続税の課税対象となるお金ですよね。

一方で収入保障保険の場合は、死亡した後に、毎月払われる保険金という性質のため、一見すると相続税が課税されないようにも思えます。
ですが、本来死亡直後に受け取る保険金を、後払いで受け取るという考えのもとで、その保険金を受け取る権利に対して相続税を課税するのです。
それを「定期金に関する権利の評価」といい、ある一定の計算式のもとで評価額を出して、相続税の課税対象になるのです。

これを踏まえて、さらに要点が続きます。
下記の内容も理解しておきましょう。

少し長くなりましたが、以上の背景も含めて、本記述の内容を理解してくださいね。

連生保険における、生命保険契約の権利価格

2016年5月 FP技能士3級 実技(保険顧客) 問6より

2) (被保険者がAさんとBさんである連生保険の学資保険に関して)「Aさんが保険料払込期間中に死亡した場合、その後の保険料の払込みは免除されますが、承継契約者である妻Bさんが相続する生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始時の解約返戻金相当額で評価され、相続税の課税対象となります」

この記述は適切です。

設例の学資保険は連生保険であるため、AさんまたはBさんの一方が死亡しても、保障が継続します。
そして一方が死亡した以後は、保険料の払い込みが免除されるという特徴があります。

またAさんの死亡により、保険金を受け取る権利はBさんに引き継がれます。
保険金を受け取る権利は、相続において課税対象となり、解約返戻金相当額で評価されることとなります。

 


 

 

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