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建築基準法関連

用途地域について

用途地域に建てられる建築物で問われやすいもの

各用途地域ごとにどんな建築物を建てられるかを暗記するのは非常に大変です。
しかし、特徴的なものは試験で問われることがあります。例えば、以下のような内容です。

用途地域は、どこで定められている?

2014年9月 FP技能士3級 実技(きんざい個人資産) 問11より

本問の選択肢に「用途地域」という単語があります。解答では用いない単語でしたが、問題文の文脈から、用途地域はどこで定められているのか疑問に思われた方もいらっしゃることでしょう。

これについてはFP試験対策本に書かれていないケースも多くありますが、じつは「都市計画図」で定められています。
都市計画図は、市役所などに問い合わせることで調べることもできます。
また、自治体のホームページで公開されている場合もあり、その場合には検索サイトで「中央区 都市計画図」「横浜市 都市計画図」などと打ち込むと、該当のホームページにたどり着くことができます。

気になったら、ご自身のお住まいの用途地域を調べてみてはいかがでしょうか?
参考にしてくださいね。

容積率

前面道路幅による容積率の計算

2013年5月 FP技能士2級 学科 問46より

不動産分野の問題で延べ床面積を求めるときは、

のうち、小さい方の数値を使って土地面積と掛け算し、計算をします。
しかし、本問のように、前面道路幅に対してかける数値である「4/10」または「6/10」が問題文に与えられていないことがあります。

ということは、どのような場合に4/10の数値を使い、どのような場合に6/10の数値を使うのかを、試験当日までに事前に暗記しておく必要があったということです。

用途地域名の中に「住居」という文字であれば(第一種低層住居専用地域、第一種住居地域など。住居系の用途地域とも言われています)、前面道路幅×4/10と容積率のうち小さい方の数値を使って計算します。
それ以外の用途地域の場合は(「住居」という文字がない場合)、前面道路幅×6/10と容積率のうち小さい方の数値を使って計算します。

用途地域 かける数
住居系地域 4/10
住居系以外の地域 6/10

なお、この問題では「※前面道路幅員による容積率の制限について特定行政庁が指定する区域内ではない。」と記載がありますが、この記載がある場合には上記のとおりの理屈で4/10または6/10の数値が決定されます。

以上の内容を踏まえると、本問は
・容積率:200%
・前面道路幅×4/10(用途地域名に「住居」の文字があるため)
  =6×4/10=240%
のうち小さい方を使って計算するので、
150m2×200%=300m2 が答えとなるのです。

容積率の計算において、除外できる面積部分

駐車場の面積

2014年9月 FP技能士2級 実技(中小事業主) 問12より

3.対象地に建築物を建築する場合,建築物の中にある駐車場の床面積については,当該建築物の各階の床面積の合計の5分の1を限度として,容積率算定上の延べ面積から除外することができる。

この記述は正しいです。
ほとんどのFP試験対策テキストに記載がない、なかなかマニアックな事項です。

この記述の通り、駐車場部分(車庫も同じ扱い)はその一定面積を、総延べ床面積から除外することができます。
たとえば次のような建築物があったとします。

この場合、合計床面積50+130+120=300m2の、5分の1である60m2まで、駐車場の面積から除外できるということです。
上記の例では駐車場面積は50m2でしたので、駐車場面積は丸ごと延べ床面積から除外され、130+120=250m2を、容積率算定上の延べ床面積にできるということになるのです。

ただし、あくまでも容積率算定上の除外であり、建ぺい率における建築面積に、この駐車場部分の面積は丸ごと算入されます。この点は間違えないようにしてください。

共用部分の面積

2017年9月 FP技能士2級 実技(中小事業主) 問10より

3.甲土地と乙土地を一体とした土地上に建築物を建築する場合、建築物の中にあるエレベーターの昇降路部分およびエレベーターホールの床面積については、当該建築物の各階の床面積の合計の10分の1を限度として、容積率算定上の延べ面積から除外することができる。

この記述は不適切です。
エレベーターに関する部分の面積は、容積率算定上の延べ面積からすべて除外できます。(延べ面積に算入しない)
建築物の共用部分は延べ面積からそもそも除外できますが、エレベーターもそれと同じく除外できるのです。

以下はFP試験の範囲を超えるため、参考情報としてお読み下さい。

もっと正確に説明すると、基本的に共用部分の面積は除外の対象ですが、除外できない共用部分等も細かく規定されています。(FP試験の範囲を超えるので、ここでは割愛します)
また、共用部分の面積部分全てを除外できるという規定は、すべての住戸が居住用であればの話です。事業用の住戸が1つでもあればこの通りではなく、容積率算定上の延べ面積から除外できる面積が低下します(どのように低下するかは、FP試験の範囲を超えるので、ここでは割愛します)
なお、共用部分の一部は、建ぺい率算定においても建築面積から除外できます。(その詳細はFP試験の範囲を超えるので、ここでは割愛します)

 面積除外のさらに詳細

以下、参考情報です。不動産にもっと詳しくなりたい方のみ、参考にしてください。

実はほかにも、近い部分の床面積も、容積率算定上の延べ面積から除外できます。
要するに、地下に設置した部屋ですね。

地階部分の床面積は、各階の床面積の合計の3分の1を限度として、容積率算定上の延べ面積から除外することができます。
なお、地階部分の床面積は、建ぺい率算定上の建築面積にも含まれません(先ほどの駐車場の場合とは扱いが異なります)

ここで述べた3つの除外ルールは、次の順序で適用し、最終的な延べ床面積を計算することになります。

耐火建築物、準耐火建築物

2012年1月 FP技能士2級 実技(きんざい 個人資産) 問11より

耐火建築物、準耐火建築物という言葉が出ますが、この言葉について少し詳しく解説します。
ざっくりわかりやすく言うと、耐火建築物、準耐火建築物のいずれも、防火に関する一定基準に適合した建築物を指します。一定基準とは、建築基準法で定められているものであり、耐火建築物は、準耐火建築物に比べて、より厳しい基準をクリアした建築物になります。

かなりざっくりとした説明ですが、耐火建築物には以下の基準をクリアした建築物とされています。
・主要構造部が耐火構造である
・火災にあっても、建物が倒壊するような損傷を受けない
・延焼、類焼を防ぐため、外壁開口部に防火設備を設けている
・鎮火後には、修繕して再使用できる

準耐火建築物は、ここまでの厳しい基準は設けられていませんが、それでもある一定の防火性能を適用した建築物とされています。

耐火建築物は、以上のような厳しい基準をクリアする必要があるため、準耐火建築物よりも建設コストはかかります。

防火地域・準防火地域

防火地域に関する規定 で詳しく解説しています。

日影規制

適用される用途地域

2013年1月 FP技能士2級 学科 問45より

1.日影規制(日影による高さの制限)は、原則として、商業地域、工業地域および工業専用地域内の建築物については適用されない。

この選択肢は適切です。日影規制について補足説明すると、その地域にある建物が日影となってしまう時間を、ある一定時間以内に納めなければならないという規制です。近くに大きな建物があるせいで、日中の半分以上の時間が日陰になってしまうようなことを避けるため、この規制が存在しているのです。

地方公共団体の条例で指定する

2018年5月 FP技能士2級 実技(きんざい個人) 問10より

2 甲土地が所在する第一種住居地域は、地方公共団体の条例により日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)の対象区域として指定することができる。

この記述は適切です。
まず、日影規制の説明から行いましょう。日影規制とは、ある建物が日影となってしまう時間を、ある一定時間以内に納めなければならないという規制です。
近くに大きな建物があるせいで、日中の半分以上の時間が日陰になってしまうようなことを避けるため、この規制が存在しているのです。

この日影規制は、住居系の用途地域(用途地域名に「住居」の文字が入っている地域)と、近隣商業地域と準工業地域が対象になっています。
商業地域や工業専用地域は、日影規制の対象にはなっていません(終日日光が当たらなかったとしても、問題にはなりません)

なお、建築基準法ではこの日影規制の制度自体について定めていますが、この制度を実際に適用するかどうかは、各地方公共団体の条例で指定することになっています。
その条例では、許容される日影の時間も指定することになっています(3時間以上日影になってはならない、などの日影時間のこと)

日影規制と北側斜線制限の両方が適用される用途地域について

2019年9月 FP技能士2級 実技(きんざい中小事業主)問10より

(注:第一種中高層住居専用地域と第二種中高層住居専用地域にまたがる甲土地について)

3 甲土地上に建築物を建築する場合、甲土地が日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)の対象区域内にあるときは、北側斜線制限(北側高さ制限)は適用されない。

この記述は適切です。
日影規制と北側斜線制限は、同時に適用されることはありません。
両方適用される場合は、日影規制の方が優先的に適用されるということになっています。
この適用順序も、理解しておきましょう。

建物の高さ制限

絶対高さ制限1

2018年9月 FP技能士2級 学科 問46より
( 2013年1月 FP技能士2級 学科 問45も類題)

3.第二種低層住居専用地域においては、高さが9mを超える建築物を建築することはできない。

この選択肢は不適切です。「9mを超える建築物」を「10mまたは12mのうち都市計画で定められた高さを超える建築物」に直すと、正しい記述となります。本選択肢で述べられている制限のことを「絶対高さ制限」とも言います。
絶対高さ制限は、第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域と田園住居地域の3つに適用されます。

絶対高さ制限2

2015年9月 FP技能士2級 学科 問45より

4.第一種低層住居専用地域内においては、建築物の高さは10mまたは12mのうち、都市計画において定められた限度を超えてはならない。

この記述は適切です。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域では、10mまたは12mまでの建物しか建てられないという規制があります。
これを「絶対高さ制限」といいます。「絶対高さ制限」という言葉と合わせて、覚えておきましょう。

絶対高さ制限3

2015年9月 FP技能士2級 実技(きんざい個人資産) 問10より

1.甲土地のある第一種住居地域内においては、都市計画により、10mまたは12mの絶対高さ制限が適用される。

この記述は不適切です。
絶対高さ制限は、第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域と田園住居地域にのみ、適用されます。いずれも「住居専用」の文言がある用途地域です。
したがって、「住居専用」の文言のない「第一種住居地域」には、この絶対高さ制限が適用されないのです。

道路斜線制限(道路高さ制限)

2018年9月 FP技能士2級 学科 問46より
( 2013年1月 FP技能士2級 学科 問45も類題)

2.建築物の高さに係る道路斜線制限は、すべての用途地域において適用される。

この選択肢は適切です。道路斜線制限とは、前面道路の幅や、用途地域の種類によって決まる高さ制限のことです。本選択肢の通り、全ての用途地域内の建築物について適用されます。

隣地斜線制限が適用される用途地域

2017年5月 FP技能士2級 学科 問46より
2013年9月 FP技能士2級 学科 問46も類題

2.建築物の高さに係る隣地斜線制限は、第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域には適用されない。

この記述は適切です。

隣地斜線制限とは、隣地(お隣の土地)の採光や通風などの環境を確保するために設けられた制限です。隣地境界線(お隣の土地との境界線)との距離にともなう高さ規制であり、境界線に近い場所ほど、建物の高さを抑えるように規制をされています。
ネットで「隣地斜線制限」で検索すると、図入りで解説されているわかりやすいサイトがいくつか見つかると思いますので、それらもあわせて確認してみてください。

隣地斜線制限は、第1種低層住宅専用地域と、第2種低層住宅専用地域の2つだけには適用されません。それ以外の用途地域では、適用されます。
なので、本記述は適切となります。

第1種、第2種低層住宅専用地域にこの規定がないのは、この用途地域には絶対高さ制限という高さ制限の規定があり、そちらを優先適用しているためです。
絶対高さ制限とは「10mまたは12mのうち都市計画で定められた高さを超える建築物」の規制であり、隣地斜線制限よりも厳しい規制です。この厳しい規制が優先適用されるため、隣地斜線制限は適用されない、とされているのです。

北側斜線制限

2017年5月 FP技能士3級 学科 問23より

建築基準法の規定によれば、第一種低層住居専用地域内の建築物には、原則として、北側斜線制限(同法第56条に規定する建築物の高さ制限)が適用される。

この記述は適切です。
「住居専用」という名前がついている用途地域においてのみ、北側斜線制限が適用されるという点をおさえておきましょう。

 


 

 

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