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生命保険・個人年金に関する税金(法人契約)

生命保険の保険料の経理処理

2013年1月 FP技能士2級 学科 問14より

契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を従業員とする生命保険契約の保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれも保険料は毎月平準払いで支払われているものとする。

2.死亡給付金受取人が従業員の遺族、年金受取人が従業員である個人年金保険の保険料は、支払保険料の全額を給与として損金に算入する。

この選択肢は適切です。本選択肢の年金保険は、法人が抱えるリスクに備えるという性質ではなく、単に従業員の個人的な年金保険の保険料を、法人が支払っている(従業員への利益提供)に過ぎません。このような場合は、支払保険料の全額が給与とみなされます。

個人年金の保険料の経理処理

2014年1月 FP技能士2級 学科 問15より
(2017年5月 FP技能士2級 学科 問16も類題)

契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険の月払保険料に係る法人の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

3.被保険者をすべての役員・従業員、死亡給付金受取人を役員・従業員の遺族、年金受取人を法人とする個人年金保険の保険料は、その額の10分の9を資産に計上し、残り10分の1を損金に算入する。

この選択肢は適切です。法人の個人年金保険の保険料の経理処理について、下記表にまとめています。
なお、定額個人年金の場合も、変額個人年金の場合もともに、下記表のとおりとなります。

被保険者 年金受取人 死亡保険金
受取人
保険料の経理処理
役員・従業員 法人 法人 全額資産計上
全ての
役員・従業員
法人 被保険者の
遺族
9/10を資産計上
1/10を損金算入(福利厚生費)
特定の
役員・従業員
法人 被保険者の
遺族
全額損金算入
(給与または役員賞与)
役員・従業員 役員・従業員 被保険者の
遺族
全額損金算入
(給与または役員賞与)

払済にした場合の経理処理

2013年1月 FP技能士2級 実技(きんざい 生保顧客) 問7より

3.将来,保険料の払込みが困難になった場合等においては,当該生命保険(無配当定期保険)を払済保険にすることも検討に値しますが,その際は保険金額が少なくなることにご留意ください。また,払済保険変更時においてX社の経理処理は不要です」

2016年5月 FP技能士2級 実技(きんざい 生保顧客) 問8より

返戻率がピークの時期に払済終身保険に変更した場合でも、逓増定期保険から払済終身保険への変更に限り、経理処理の必要はありません

上記2つの記述は、いずれも不適切です。
定期保険を払済に変更する場合、次の経理処理が必要となります。

  1. それまで契約していた保険について保険料の積み立て部分を取り崩す処理
  2. 解約返戻金を原資にして新たに契約する保険の資産計上処理
  3. 1と2に差額があれば、雑収入または雑損失として処理

ちなみに、以前は払済保険変更時の経理処理は不要でしたが、現在は上記の通り経理処理することがルール化されています。
また、本問は定期保険のケースですが、終身保険や養老保険を払済にした場合は経理処理は不要です。

満期保険金の年金受取時の経理処理

2014年9月 FP技能士2級 学科 問16より

4.法人が満期保険金を年金で受け取ることが契約時に定められていた場合、その年金を受け取る都度、資産に計上している保険料積立金のうち受け取った年金額に対応する金額を取り崩し、受け取った年金額との差額を雑収入(または雑損失)として経理処理することができる。

この選択肢は適切です。
単純な事例で説明すると、たとえば10年間年金として受け取る場合には、資産に計上している保険料積立金のうちの10分の1ずつを毎年取り崩す経理処理を行うということです。より正確には、本選択肢にある通り、受け取った年金額に対応する金額を、各年において取り崩すこととなります。
つまり、多く受け取るほどそれに連動して資産を多く取り崩す処理をすることになります。

逓増定期保険

解約時の経理処理

2015年1月 FP技能士2級 実技(きんざい生保) 問9より

<問題文は省略>

この問題は、逓増定期保険の経理処理についての問題です。

まずは、逓増定期保険の損金算入額について理解しておきましょう。
契約日が平成20年2月28日以降の場合、逓増定期保険の損金算入額は、次の通りとなっています。

A.期間満了時年齢80歳超、契約時年齢+保険期間×2=120超の場合、4分の1損金算入
B.期間満了時年齢70歳超、契約時年齢+保険期間×2=95超の場合、3分の1損金算入
C.期間満了時年齢45歳超の場合、2分の1損金算入

判定は、Aから順に(上記の上から順に)行います。
本問のケースでは、
・期間満了時年齢:72歳
・契約時年齢:50年
・保険期間:22年
であると読み取れます。そのため、上記Aに該当しません(期間満了時年齢が80歳以下だから)。
また、Bにも該当しません(50+22×2=94、これは95超ではない)
よってCに該当するとみなし、2分の1損金算入処理をすることとなります。

問題文より、払込保険料総額が8460万円ですので、

損金算入額:8460万円×1/2=4230万円

となります。よって前払い保険料の額は、次の金額となります。

前払い保険料=払込保険料総額−損金算入額
=8460万−4230万=4230万円

解約返戻金が7500万円でしたから、前払い保険料との差額

7500万円−4230万円=3270万円

が、この保険による雑収入となります。

以上により、経理処理結果として、解答には下記の言葉、数値を使います。

払込保険料総額 8460万
前払い保険料 4230万
雑収入 3270万

逓増定期保険における解約返戻金の変化1

2018年9月 FP技能士3級 実技(きんざい保険顧客) 問8より

1) 「現在加入している生命保険(注:逓増定期保険)の解約返戻金は、逓増率変更年度経過後10年程度は増加しますので、Aさんが勇退を検討されている10年後の退職金準備として適しています。解約することなく、継続されることをお勧めします」

この記述は不適切です。
逓増定期保険の解約返戻金は、一般的には、逓増率変更年度付近でピークになります。
それより10年経過すると、解約返戻金は下落していきますので、本記述は不適切となります。

逓増定期保険における解約返戻金の変化2

2018年9月 FP技能士2級 実技(きんざい生保) 問8より

1 「当該生命保険(注:逓増定期保険)の単純返戻率(解約返戻金額÷払込保険料累計額)は、逓増率変更年度の前後でピークを迎え、その後、単純返戻率は低下し、保険期間満了時には0(ゼロ)になります。現在のキャッシュバリューを確保するには、解約あるいは払済終身保険への変更を検討してください」

この記述は適切です。
逓増定期保険の解約返戻金・単純返戻率の特徴をそのまま説明した内容です。

ちなみに、同じ保険期間なら、逓増定期保険のほうが長期平準定期保険よりも、早いタイミングで返戻率のピークがくるという特徴を持っています。
法人向けの保険提案の実務で、よく話題になる点ですね。

法人が受け取った医療保険金の経理処理

2017年1月 FP技能士2級 学科 問15より

3.(契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を役員とする生命保険について)法人が受け取った医療保険(10年更新)の入院給付金は、その全額を雑収入として計上する。

この記述は適切です。
法人が受け取る掛け捨て型医療保険の保険金は、資産計上された金額がないため、その全額を雑収入として計上します。
個人が受け取る医療保険金は非課税ですが、法人の場合はこれとは異なる理屈で課税がなされる点に注意してくださいね。

配当金に対する経理処理

2013年5月 FP技能士2級 実技(きんざい 生保) 問8より

積立配当の経理処理は,配当金とすでに積み立てられた配当金に対する利息を,雑収入として配当の通知を受けた事業年度の益金に算入する。

この記述は正しいです。配当金を積み立てる場合には、配当金は資産計上され、その事業年度の益金に参入します。すでに積み立てられた配当金に対する利息も同様に、資産計上のうえ益金参入します。

契約者貸付金を受け取った場合の経理処理

2017年5月 FP技能士2級 実技(生保) 問9より

3 (逓増定期保険に関して)「X社が緊急資金を必要とした際には、契約者貸付制度を利用することにより、当該生命保険契約を解約することなく、資金を調達することができます。なお、X社が契約者貸付金を受け取った場合、契約は継続しているため、経理処理をする必要はありません」

この記述は不適切です。
契約者貸付金を受け取った場合、お金を借り入れた事実が発生するため、経理処理を行う必要があります。
具体的には、借入金の勘定科目を使うことになります。

長期平準的保険の単純返戻率

2017年1月 FP技能士2級 実技(生保顧客) 問9より

3 (長期平準定期保険に関して)「当該生命保険の単純返戻率(解約返戻金額÷払込保険料累計額)は、65歳前後にピークを迎え、その後、90歳前後まで同程度の水準を維持しながら推移します。65歳以後に解約などして、役員退職金等の原資を確保するようにしてください」

この記述は不適切です。
長期平準定期保険は、一般的には解約返戻金のピークは長くは続かず、ピークを迎えると下落していきます。
ということは、本記述にある単純返戻率(解約返戻金額÷払込保険料累計額)の分子の値が小さくなる一方、分母の払込保険料は大きくなるため、単純返戻率はピークを迎えた後、下がっていきます。ピーク時の水準を、65歳から90歳までの25年もの間、維持することはありません。

ハーフタックスプラン

ハーフタックスプランの加入対象者

2013年5月 FP技能士2級 実技(きんざい 生保) 問8より

当該プラン(ハーフタックスプラン)は原則として全役員・全従業員を加入対象者とするが,勤続年数などの合理的な基準により普遍的に設けられた条件によって加入対象者を定めることも可能である。

この記述は適切です。原則として、ハーフタックスプランは全役員・全従業員を加入対象者とした場合に適用されます。ただし、どの役員・従業員も比較的すぐにクリアできるような緩い条件を(これを合理的な基準により普遍的に設けられた条件といいます)であれば、その条件によって加入対象者を定めることができます。

認められる条件の例として代表的なものが、勤続2年以上などの勤続要件です。
その一方で、男女別や部署別、役職別に加入者を定めるなど、普遍的に設けられた条件でないと税務署に判断されると、ハーフタックスプランンは認められなくなります。

「全従業員」でも「全従業員と全役員」でもハーフタックスの対象

2017年1月 FP技能士2級 実技(生保顧客) 問8より

2 「(全従業員を被保険者とし、ハーフタックスプランが適用される養老保険に関して)仮に、被保険者に全役員を加えて、保険金額等の契約内容を従業員と同様に設定した場合は、当該役員に係る保険料の2分の1に相当する金額は資産に計上し、残りの金額は給与として損金の額に算入することになります」

この記述は不適切です。
「残りの金額は給与として」を「残りの金額は福利厚生費として」に直すと正しい文章となります。
全従業員に加えて、全役員を加えた場合でも、ハーフタックスの要件を満たすこととなり、保険料の2分の1を福利厚生費として損金算入することができます。

被保険者の範囲によって保険料の経理処理が変わる

2019年1月 FP技能士2級 実技(きんざい生保)問9より
(2016年5月 FP技能士2級 実技(生保顧客) 問9も類題)

2 (注:契約者と満期受取人が法人、死亡保険金受取人が役員・従業員の遺族である養老保険において)
「役員や部課長など、特定の者のみを被保険者とする加入であれば、支払保険料の全額を被保険者に対する給与として損金の額に算入します。ただし、職種、年齢、勤続年数等に応ずる合理的な基準により、普遍的に設けられた格差であると認められるときは、保険料の2分の1を福利厚生費として認められる可能性があります」

この記述は不適切です。
記述前半部分の「支払保険料の全額を被保険者に対する給与として損金の額に算入」を「支払保険料の2分の1を被保険者に対する給与として損金の額に算入」に直すと正しいです。
これは、ハーフタックスプランの変化形ですね。

通常のハーフタックスプランでは、被保険者を「全従業員」とします。この場合は「支払保険料の2分の1を福利厚生費として損金の額に算入」となります。
全従業員を被保険者とするか、特定の者のみを被保険者とするかで、損金算入の取り扱いが異なる点を、理解しておきましょう。

ちなみに実務上は、どちらにしても損金算入となりますが、給与として損金算入した場合は

ということになり、税制・社会保険制度上は不利に働くこととなります。

ハーフタックスプランにおける「普遍的加入」

2017年1月 FP技能士3級 実技(保険) 問9より

2) 「福利厚生プラン(注:ハーフタックスプランが適用される養老保険)は、従業員全員を被保険者とする等の普遍的加入でなければなりませんので、健康上の問題等で加入できない従業員がいる場合、X社に福利厚生プランを導入することはできません」

この記述は不適切です。
ハーフタックスプランによる養老保険は、本記述にあるように従業員全員を被保険者とする普遍的加入が要件となっています。
しかし健康上の問題で加入できない従業員がいた場合は、その加入できない従業員をやむを得ず除外しても、普遍的加入とみなされ、ハーフタックスプランは適用されます。
ただし、保険に加入できない根拠の説明が必要になりますので、そのための資料などは実務上必要になります。

従業員が中途退職した場合の経理処理

2017年1月 FP技能士3級 実技(保険) 問9より

3) 「(注:ハーフタックスプランが適用される養老保険において)保険期間中に被保険者である従業員が中途退職(生存退職)した場合、解約返戻金は退職する従業員本人に直接支給されます」

この記述は不適切です。
解約返戻金は、「退職する従業員本人」ではなく「契約者である会社」に直接支給されます。

ちなみに実務上、契約者である会社にいったん支払われた解約返戻金を原資として、そのあとに会社が退職金として従業員に支払うことは問題ありません。
問題の意図としては、解約返戻金は契約者(=本問の場合には会社)に支払われるものである、を問うものとなっています。この点を理解しておきましょう。

死亡保険金が支払われた時の経理処理

2017年1月 FP技能士2級 実技(生保顧客) 問8より

3 「(全従業員を被保険者とし、ハーフタックスプランが適用される養老保険に関して)死亡保険金が支払われた場合、当該契約に係る保険料積立金および配当金積立金を取り崩し、死亡保険金等との差額を雑収入として益金の額に算入します」

この記述は不適切です。
このハーフタックスプランで支払われる死亡保険金は、会社が受け取るのではなく、被保険者の遺族が受け取ることになります。死亡保険金を会社は受け取れないため、死亡保険金を経理処理に含めることはできません。
したがって、正しい経理処理の仕方は、「当該契約に係る保険料積立金および配当金積立金を取り崩し、その取り崩し額を雑損失として損金算入する」となります。

個人契約の保険に関する税金

生命保険・個人年金に関する税金(個人契約)のページをご覧ください。

保険と相続との間の関連事項

保険と相続のページを参照してください。

個人事業主が契約した生命保険の経理処理

個人事業主が契約した保険の経理処理のページをご覧ください。

 


 

 

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