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先進医療

先進医療とは

先進医療とは、まだ公的医療保険制度の対象ではありませんが、公的医療保険制度との併用が認められた治療のことです。
詳しく説明するため、日本の医療制度の仕組みと合わせて解説をしていきます。

私たちが病院で受ける治療には、大きく分けて「保険診療」と「自由診療」の2種類があります。

「保険診療」とは、公的医療保険制度の対象となる診療です。医療の内容に応じて費用(点数)があらかじめ定められており、患者はかかった医療費の3割(70歳未満の方の原則)を負担します。保険診療であれば、日本のどの病院であっても同じ医療費で受診できます。

一方の「自由診療」とは、公的医療保険制度の対象ではない診療です。治療内容や費用は、病院との間で個別に決定され、患者はかかった医療費の全額(10割)を負担します。
自由診療の場合、同じような治療でも、病院によって値段が異なります。予防接種の費用が病院によって異なっていますが、これは自由診療(患者は10割負担)によるためなのです。

先進医療は、この「自由診療」に分類されるものとなります。

なお、「保険診療」と「自由診療」とを混在して受けることは、原則として認められていません。
ただし例外的に、混在して受診することが認められているものがありますが、ここで挙げている先進医療がその一つにあたります。
ちなみに、差額ベッド代は全額自己負担(10割/自由診療の一種)となっていますが、これも保険診療との混在が認められたものとなっています。

公的保険における自己負担額

基礎的部分の費用についての取り扱い

2016年1月 FP技能士2級 実技(FP協会) 問30より

(ア)先進医療を受けた場合、通常の治療と共通する基礎的部分の費用は、公的医療保険の保険給付の対象である。

この記述は適切です。用語の意味とともに、理解が必要な問題ですね。

上で述べたように、先進医療は「保険診療」と「自由診療」 とを混在して受診する性質のものです。

受診にかかる費用のうち、保険診療(=本文中の「通常の治療」)にあたる部分を「基礎的部分の費用」といいます。基礎的部分の費用は、保険診療であるため公的医療保険の保険給付の対象となり、この部分は3割負担で済みます。

ちなみに、この基礎的部分の費用は、高額療養費の対象ともなります。
高額療養費の対象となるのが、保険診療(医療費の3割負担部分)と定められているためです。

基礎的部分以外の費用についての取り扱い

2016年1月 FP技能士2級 実技(FP協会) 問30より

(イ)先進医療を受けた場合、通常の治療と共通する基礎的部分以外の費用は、高額療養費制度の対象外である。

この記述は適切です。

基礎的部分以外の医療費については、患者はその全額(10割)を負担することとなります。

高額療養費は、保険診療部分(3割負担分)に対してのみが対象となります。したがって本記述のように、基礎的部分以外の費用は、高額療養費の対象外となります。

先進医療で、公的医療保険の対象となるもの、ならないもの

2019年5月 FP技能士3級 実技(きんざい保険)問5より

3) 「先進医療の治療を受けた場合、診察料、投薬料および技術料などの費用はすべて公的医療保険の対象外で全額自己負担となります。一部の先進医療については費用が高額となるケースもありますので、先進医療特約の付加をお勧めします」

この記述は不適切です。
先進医療の制度自体を理解しているかどうかを問う問題ですね。2級の方にとっても難問だったと思います。

先進医療の治療を受けた場合は、診察料と投薬料については公的医療保険の対象となり、いわゆる3割負担で済みますし高額療養費制度の対象にもなります。
しかし技術料は、公的医療保険の対象とはならず、全額が自己負担となります。この技術料が高額であるため、先進医療特約でこれをカバーできるようになっているのです。

民間保険による保障

先進医療保障の必要性

2015年5月 FP技能士2級 実技(生保顧客) 問6より

1.「先進医療は,治療効果が期待される反面,費用は高額となるケースも多く,また,健康保険における先進医療に係る費用の一部負担金(自己負担額)の割合は3割となるため,先進医療の保障を準備することも検討してください」

この記述は不適切です。

すでに上の問題の解説にも記載していますが、先進医療にかかる医療費の自己負担額は次の通りとなっています。

したがって、「先進医療の自己負担額は3割」とは言い切れないので不適切、ということになります。

先進医療においては、基礎的部分以外の費用が高額になることがあり得るため、それをカバーするために先進医療の保障を、民間の保険で準備することも大切です。
本記述内の「先進医療の保障を準備することも検討してください」は、この考え方に合致した適切な考え方であるといえます。

先進医療特約は外来治療も対象

2019年9月 FP技能士3級 実技(きんざい保険)問5より
(2015年9月 FP技能士2級 実技(きんざい生保) 問5も類題)

2) 「Aさんが厚生労働大臣が定めた先進医療による療養を受けたとき、その先進医療の技術に係る費用と同額を先進医療給付金として受け取れます。なお、先進医療特約の対象は入院を伴った治療のみであり、外来での治療は対象外となります」

この記述は不適切です。
先進医療特約は、入院に限らず外来治療も支払い対象となります。
入院しなかった場合でも、先進医療特約の対象になりえることを、知っておきましょう。

先進医療の定義は時代とともに変わる

将来においては、法改正により、先進医療として認められる医療内容に変化が発生する可能性があります。
その場合は、先進医療保険(先進医療特約)の支払条件が変更になる場合もあります(保険会社の約款に記載されている場合もあります)

先進医療と医療費控除

2016年1月 FP技能士2級 実技(FP協会) 問30より

(ウ)先進医療を受けた場合、通常の治療と共通する基礎的部分以外の費用は、所得税の医療費控除の対象外である。

この記述は不適切です。

先進医療にかかる治療費は、その全額が医療費控除の対象となります。
公的保険の3割負担かどうかと、医療費控除の対象かどうかは、連動していない点も、理解しておきましょう。

 


 

 

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