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金融商品取引法

特定投資家には適用されない事項

一定の投資経験を有する顧客を「特定投資家」と言います。「プロ投資家」と呼ばれることもあります。
金融商品販売法において、特定投資家は、下記の事項は適用されません(行為規制の適用除外、と言います)。

なお、適用除外ではありますが、だからといって上記内容をないがしろにしてよいわけではありません。金融商品取引業者には、誠実な業務が求められます。

一方で、以下の点については、特定投資家、一般投資家とも適用されます。(特定投資家は、行為規制の適用除外とはなりません)

特定投資家でも、断定的判断の提供は禁止 1

2015年5月 FP技能士2級 学科 問30より

3.金融商品取引法では、顧客を特定投資家と一般投資家に区分しており、顧客が特定投資家に該当する場合には、適合性の原則や断定的判断の提供等の禁止などの行為規制の適用が免除されている。

この記述は不適切です。

前項の記載を踏まえると、本選択肢中に記載の「断定的判断の提供の禁止」は、特定投資家であっても行為規制の適用が免除されているわけではありません。なので本選択肢は不適切となります。

特定投資家がどこまでの事を免除されているのかを知らなければ、回答が難しいですね。
余裕があれば、この点も理解しておきましょう。

特定投資家でも、断定的判断の提供は禁止 2

2015年9月 FP技能士3級 学科 問15より

金融商品の販売等に関する法律(金融商品販売法)では、金融商品販売業者等の断定的判断の提供等の禁止に関する規定は、一定の投資経験を有する顧客に対する金融商品の販売等には適用されない。

この記述は不適切です。

前項の起債を踏まえると、「断定的判断の提供の禁止」は、特定投資家であっても適用されるものです。

一般投資家に適用されている既定のうち、特定投資家には適用されないものはどれかを具体的に知っていないと、回答が難しいですね。
余裕があれば、この点も理解しておきましょう。

顧客側に対する刑事罰

2016年1月 FP技能士2級 学科 問30より

2.顧客から損失補てんを申し込まれ、それに従って損失補てんが行われた場合、損失補てんを行った金融商品取引業者等には刑事罰が科され得るが、当該顧客には刑事罰が科されることはない。

この記述は不適切です。
金融商品取引業者側に刑事罰が科されるのはもちろん、顧客側が損失補てんを要求した場合には、顧客側も刑事罰が科されることがあり得ます。

法人顧客と特定投資家との関係

2016年1月 FP技能士2級 学科 問30より

3.金融商品取引業者等が法人顧客に対して金融商品の販売等を行う場合には、当該顧客が特定投資家か否かにかかわらず、適合性の原則は適用されない。

この記述は不適切です。
法人とはいえ、特定投資家でないのであれば、適合性の原則は適用されます。
特定投資家とみなされた法人であれば、適合性の原則は適用されません。

契約締結前交付書面の免除の申し出があった場合

2020年1月 FP技能士2級 学科 問30より
(2016年1月 FP技能士2級 学科 問30も類題)

2.金融商品取引法では、金融商品取引契約を締結しようとする金融商品取引業者等は、あらかじめ顧客(特定投資家を除く)に契約締結前交付書面を交付しなければならないとされているが、顧客から交付を要しない旨の意思表示があった場合には、金融商品取引業者等に対する書面交付義務は免除される。

この記述は不適切です。
顧客が特定投資家ではない場合、金融商品取引法により契約締結前交付書面の交付義務は絶対に必須となります。これは、顧客が書面交付が不要と申請したとしても、免除されることはありません。
ちなみに、顧客が特定投資家の場合なら、契約締結前交付書面の交付義務は免除されます。

金融商品取引法の行為規制の準用、という考え方

2015年5月 FP技能士2級 学科 問30より

4.仕組預金や外貨預金、変額年金保険などの投資性の強い金融商品の販売・勧誘業務については、銀行法や保険業法などにより、金融商品取引法の行為規制の一部が準用されている。

この記述は適切です。
ちょっと小難しい話ですので、順を追ってお話ししましょう。

「金融商品取引法」は2006年に制定された法律ですが、それ以前は証券取引法、金融先物取引法、証券投資顧問業法などさまざまな法律が存在し、いわば縦割り的な法規制でした。
時代は変わり、それまでになかった複雑な金融商品・金融サービスが登場したことにより、従来の法律では十分に顧客を保護できなくなってきました。消費者保護を強める意味でも、統合的な法律として「金融商品取引法」が生まれたのです。

ところがこの金融商品取引法は、証券会社が扱う金融商品を中心とした法律であるため、銀行業と保険業とは関連性がないのです。
現実には銀行や保険会社から、投資性の高い金融商品が販売されています。選択肢に書いてある「仕組み預金」「変額年金保険」等がその例ですね。他にも外貨預金や外貨建て保険などがありますが、このように大きく元本割れする性質をもつ金融商品を、証券会社以外が販売することに関しては、法の抜け穴ともなってしまうわけです。

そこで、金融商品取引法の成立と同時に、銀行法や保険業法も同時に改正し、銀行や保険会社で扱う投資性の高い金融商品の販売に対しても、金融商品取引法で定められている消費者への保護ルールを適用できるようにしました。
本選択肢中の「準用」という言葉は、このように法律の条文を使いまわすことを指します。

以上のような経緯から、本選択肢の記述の通りの規制ルールが設けられているのです。

 


 

 

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