火災保険
火災保険の保険金支払について
消防活動による損害補償
2015年5月 FP技能士2級 学科 問16より
1.(火災保険において)隣家の火災時の消防活動により住宅建物に損害を被った場合、その損害については補償の対象となる。
この記述は適切です。
消防活動による水濡れは「火災被害」の取り扱いとなるのが一般的です。そのため、補償の対象となります。
契約者の所有の建物に限らず、隣家の火災による消防活動であっても、補償の対象となります。
シロアリ被害の損害補償
2015年5月 FP技能士2級 学科 問16より
2.(火災保険において)シロアリの食害により住宅建物に損害を被った場合、その損害については補償の対象となる。
この記述は不適切です。
シロアリやネズミなどのいわゆる害虫被害は、住宅火災保険だけでなく、住宅総合保険でも補償の対象外となります。
ちなみに、シロアリによる被害が発生した場合、その修繕にかかった費用は所得税の雑損控除の対象にはなります。
本問は、これとのひっかけ問題のつもりだったのでしょうかね?
雨が吹き込んだ被害は、火災保険で補償されるか
2018年1月 FP技能士2級 学科 問16より
次の損害のうち、住宅用建物およびそれに収容している家財を保険の対象とする一般的な火災保険の補償の対象となるものはどれか。なお、特約は考慮しないものとする。
1.開放していた窓から突然の雨が吹き込み、室内の壁と家財の一部が濡れた損害
このような雨の被害は、実は住宅総合保険を含む火災保険において、補償の対象とはなりません。
窓からの雨の吹込みや、雨漏りによる被害は、いわゆる水災には当たらないのです。
水災とは、床上浸水、床下浸水、土砂崩れなどの被害を指します。
このような雨の被害が補償の対象となっていない理由として、その原因の多くが家の老朽化や、住人の不注意によるものだから、と考えられているのです。
火災保険では、ペットは家財に含まれない
2018年9月 FP技能士2級 学科 問15より
1.家財を保険の対象として契約した場合、自宅で飼っている犬や猫などのペットも補償の対象となる。
この記述は不適切です。
火災保険においては、ペットは家財には含まれないため、補償の対象とはなりません。
ちなみに、ペットを補償の対象に含めるための特約を取り扱っている保険会社もあります。
ペットまで補償したいなら、このような特約や保険商品に加入する必要があります。
長期総合保険
積立型の、住宅総合保険です。
長期総合保険は、満期時に満期返戻金が支払われます。
一般的には、満期返戻金は保険金額の10%であり、保険期間は3年、5年、10年の3種類があります。
店舗総合保険
事業者向けの住宅総合保険にあたる保険です。
詳細は、店舗総合保険の項目をご覧ください。
火災保険の保険金に係る税金
火災保険や地震保険によって支払われる保険金は、原則として非課税です。
火災保険料の負担者と、保険金受取人が異なっている場合も、非課税です。この場合は贈与税の課税対象とはなりません。
火災保険の保険料は都道府県ごとに違う
2015年9月 FP技能士2級 実技(きんざい損保) 問4より
3.居住用建物を保険の目的として加入する火災保険の保険料は、建物の構造、建物の建築年数等により異なりますが、建物の所在する都道府県による違いはありません
この記述は不適切です。
建物の構造、建築年数だけでなく、建物の所在する都道府県によっても、保険料は異なります。
これは、火災保険の保険料率が、都道府県ごとの事故発生率、自然災害発生率、損害の大きさなどを考慮して、決定されているためです。
なので都道府県ごとにも保険料に差はあります。災害リスクの小さい都道府県の方が、保険料は安くなるというわけです。
再調達価格
2015年1月 FP技能士2級 学科 問15より
4.再調達価額とは、補償の対象となる物件と同程度のものを再取得するために必要な金額から、経過年数による消耗分を差し引いた金額である。
この選択肢は不適切です。
再調達価格は、「補償の対象となる物件と同程度のものを再び調達(再取得)するために必要な金額」のことです。経過年数による消耗分の金額をを差し引きません。
一方、経過年数による消耗分の金額を差し引くのは、「時価額」といいます。なので時価額で保険金が支払われる場合、建築後相当年数経過した建物が火災にあうと、支払われる保険金は少なくなってしまいます。
ちなみに、保険金が時価額である保険契約でも、「価額協定保険特約」という特約を付けると、再調達価格で保険金を支払ってもらえます。価額協定保険特約も、この機会に知っておいてくださいね。
超過保険部分は契約を取り消せる
2018年1月 FP技能士2級 学科 問11より
4.火災保険の超過保険契約があった場合に、その超過したことについて保険契約者および被保険者が善意でかつ重大な過失もないときは、その保険契約者は、原則として、超過部分について契約を取り消すことができる。
この記述は適切です。
超過保険契約とは、保険の対象となる自宅の価格を、超えて保険金額が設定されている保険です。
自宅の価格を超えた部分は、火災にあっても保険金が下りることはありません。なぜなら、火災保険は損害に合った実額部分を保障するという保険だからです。
ですので、超過保険契約は、無駄な保険料を払っている状態ともいえるわけです。
そのような場合は、自宅の価格を超えた部分については、契約を取り消すことができると定められています。
実務上は、超過部分の契約を取り消すことで、過去に支払った保険料のうち超過部分にあたる保険料を返還してもらえます。
保険法が制定される前は、この超過部分の保険契約は有効であり、保険料が無駄となっていましたが、現在は本選択肢の通りに改められています。
債務者団体割引
2016年9月 FP技能士2級 実技(損保顧客) 問4より
1.「住宅ローンを利用する場合、金融機関から案内される住宅ローン利用者専用の火災保険に加入することも検討事項の1つとなります。当該火災保険の保険料は、金融機関の住宅ローンの利用者を対象とした債務者団体割引が適用され、一般に加入するよりも割安となっています」
この記述は適切です。
債務者団体割引については試験対策テキストでは解説がほとんどありませんが、この説明のとおりです。
次回以降の試験でも出題されることはあり得るので、この内容も覚えておきましょう。
火災保険におけるM構造、T構造、H構造
2017年1月 FP技能士2級 学科 問16より
2.専用住宅を対象とする火災保険の保険料を決定する要素の一つである建物の構造級別には、「M構造」「T構造」「H構造」の3種類の区分がある。
この記述は適切です。
この3種類の区分について、詳しく見ていきましょう。
M構造とは、マンション構造のことで、いわゆるマンションなどの共同住宅に適用されます。
T構造とは、耐火構造のことで、不動産分野で出てくる「耐火建築物」「準耐火建築物」はT構造に分類されます。
H構造とは、非耐火構造のことで、M構造でもT構造でもないものが分類されます。
火災によるリスクは、M構造→T構造→H構造の順に高くなるという考え方に基づき、火災保険料もM構造→T構造→H構造の順に高くなっています。
ちなみに、一戸建て住宅は、T構造かH構造かのいずれかに分類され、M構造に分類されることはありません。
個人事業主が契約した火災保険の経理処理
個人事業主が契約した保険の経理処理のページをご覧ください。
火災保険と地震保険の両方に関すること
火災保険・地震保険のページにまとめています。
こちらも参考にしてください。
- FP技能士3級と2級の過去問から、難問(試験対策テキストには記述がない問題、多くの人が間違えやすい問題など)を中心に解説しています。
正解だけでなく、問題の背景や周辺知識も含めて解説しています。 - 万一記述に誤りがあると思われた方は、お問い合わせページよりお知らせください。正しい内容をお知らせし、当サイトも訂正します。
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