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民法の規定(養子、親族など)

養子

普通養子縁組

養子となる者は、15歳以上であれば実父母の意思と関係なく養子縁組が可能です。ただし養子が未成年の場合は、家庭裁判所の許可が必要です。市町村長の許可ではありません。

子供を持つ人と結婚する場合(子供を持つ人を配偶者とする場合)、結婚しただけではその子供は法律上、自分の子とはなりません。養子縁組をすることで、法的に自身の子とすることができます。

配偶者を持つ人が未成年者を養子とするには、自身と配偶者とともに、養子縁組を行わなければなりません。
ただし、下記の場合には、配偶者の意志に関係なく単独で養子縁組が可能です。

特別養子縁組

特別養子縁組を行う場合、養子となるも者の父母(実父、実母)の同意が必要です。
特別養子縁組を行う場合、家庭裁判所の審判が必要です。

特別養子縁組による養親になるには、25歳以上の配偶者のある者(夫婦の一方が25歳以上であれば、他方は20歳以上でよい)で、夫婦ともに養親とならなければなりません。

扶養義務と生活保護

2012年1月 FP技能士2級 学科 問52より

試験では単に扶養義務について問うものでしたが、実生活上において生活保護制度とも関連があるので、生活保護についても合わせて解説します。

扶養義務とは

扶養義務とは、独立して生計を立てられない親族に対し、経済的な支援、心身上の支援を行わなければならない義務のことです。

扶養義務を負う親族の範囲

2014年5月 FP技能士2級 学科 問52より

4.6親等内の血族および3親等内の姻族は、互いに扶養する義務がある。

この選択肢は不適切です。 民法上、互いに扶養する義務があるとされるのは、配偶者と直系血族と兄弟姉妹となっています。

ただし特別の事情があるときは、家庭裁判所が3親等内の親族(血族&姻族)に対して、扶養義務を負わせることができるとされています。
また、家庭裁判所によって付された3親等内の親族の扶養義務は、家庭裁判所がそれを取り消すことができるとされています。

ちなみに、本選択肢にある「6親等内の血族および3親等内の姻族」のことを、民法では「親族」と呼びます。
本選択肢は、この二つの概念をごちゃごちゃにした記述ですので、惑わされないように注意してくださいね。

親族に行う経済的支援

親族が自らのみで生計を立てられなくなった場合、その者から見て扶養義務を負うものが、経済的な支援を行う必要があります。たとえば、独立して生計を立てているAさんがいるとして、Aさんの父母が70歳以上でかつ無年金であるような場合、Aさんの父母が自力で生計を立てられなくなると、Aさんは父母と同居したり、仕送りをするなどして扶養しなくてはならないということです。

直系血族と兄弟姉妹だけでは経済的支援が困難である場合、裁判所によって3親等内の親族に対して扶養義務が課せられる場合があります。
例えば上記の例でAさんに妻がいる場合、Aさんの妻とAさんの父母は、直系血族でも兄弟姉妹でもないので原則としてAさんの妻は扶養義務はありません。ただしAさんの妻に多くの収入や資産がある場合、裁判所によってAさんの妻に対して、Aさん父母への扶養義務が課せられる場合があります。

どこまで経済的支援を行うかという範囲ですが、通常は、自身の生活を壊さない程度の範囲で扶養すると考えられています。すなわち、自分を犠牲にしてまで親族を扶養する必要はないということです。
以上の経過を経てもなお経済的支援が困難である場合、自力で生計を立てられない者に対して、生活保護制度による経済的支援が行われることになります。

なお、経済的支援の要否の判定、裁判所による扶養義務の付与、生活保護の支給の有無にあたっては、個々の生活事情が考慮されます。しかし上記の原則にのっとって、まずは扶養義務者が持つ義務を最優先で履行することを、国、自治体、裁判所は要求してきます。それでも支援が困難である場合に、生活保護制度による支援が行われることになっています。

生活保護の支給額

生活保護の支給額は、国が定める最低生活費という基準を上限として支給されます。自力で生計を立てられないといっても、年金など一定の収入がある場合には、その差額についてのみ生活保護で支給されます。
生活保護は、世帯単位で支給されます。年齢や人数などにより、支給額は異なります。

扶養義務の親族の詳細

直系血族においては、嫡出子、非嫡出子の区別はなく、互いに扶養義務を有します。
上記の例では、Aさんの妻とAさんの父母は直系血族ではないため、通常は扶養義務を負いません。ただし、養子縁組をした場合には直系血族と見なされ、扶養義務を負うことになります。

離婚における親権者の決定

2012年1月 FP技能士2級 学科 問52より

親権者について

親権者とは、子どもの世話、しつけ、教育を行う義務を持ち、また子どもの財産を管理し、子供の権利を代行する責任を持つ者のことです。

子がいる婚姻中の夫婦においては、父母の両者が親権者となります。
しかし、未成年の子がいる夫婦が離婚をする場合、それぞれの子について、夫婦のどちらを親権者にするかを決定しなくてはなりません。離婚後において、夫婦のいずれも親権を持つことはできません。親権者が決定しない限り、離婚をすることはできません。

例えば子どもが3人いる場合、1人は父を親権者に、残る2人は母を親権者に決定することもできます。
ただ現実には、一方の親がすべての子の親権者となるケースが多く、特に子供が幼少であるほど、一方の親がすべての子の親権者になることが望ましいとされています。

親権者は、親の個人的都合ではなく、子供の生活、福祉の観点で決定すべきとされています。そのため、夫婦間における不貞行為をはたらいた者が親権を得ても、そのほうが子供のためになるのであれば、当然に親権は認められます。
子が幼いうちは、母を親権者とするケースが多いです。子供が中学生以上になると、子本人の意思も尊重され、親権者が決定されます。

離婚後に親権者を変更することもできます。しかし、現状が子どもの養育にふさわしくなく、親権者の変更の必要性があると家庭裁判所に判断されて初めて、親権者の変更が認められます。そのため、一般的には、簡単に親権者を変更することはできません。
親権者の変更は、子の父母、親族が裁判所に申し立てることができますが、子本人には申し立ての権利がありません。

子がまだ出生していない(すなわち母が妊娠中)場合、その子の親権者は原則として母となります。
子が成人している場合には、親権者を決定する必要はありません。
夫婦の協議において話がまとまらず、親権者が決定しない場合、裁判によって父母の一方を親権者と定めることができます。

親権者と養育費の関係

親権者と養育費負担者とは、直接の関連性はありません。父母のどちらが親権者になるかに関係なく、父母双方が経済力に応じて養育費を負担しなければならないとされています。
親権者(父母の一方)が子と同居し、親権を持たない者(父母のもう一方)が子と別居している状況である場合、親権を持たない者が親権者へ養育費を送金する必要があります。世間でよく言われる養育費の支払いとは、このことを指していることが多いです。

離婚における財産分与の期限

2017年5月 FP技能士2級 学科 問52より

2.協議上の離婚をした者の一方は、離婚の時から1年を経過した場合、家庭裁判所に対して、財産分与に係る協議に代わる処分を請求することができない。

この記述は不適切です。

「1年」を「2年」に直すと正しい文章となります。
したがって、離婚による財産分与を希望する場合は、離婚のときから2年以内にそれを行わなければならないということになります。
このように、財産分与の期限があることを、理解しておきましょう。

配偶者が死亡しても「婚姻関係」は継続する?

2014年5月 FP技能士2級 学科 問52より

2.夫婦の一方が死亡しても、生存配偶者と死亡した者の血族との姻族関係は原則として継続する。

この選択肢は適切です。ただ、どちらかといえばFPの試験範囲というよりは、司法書士や弁護士の領域のような気もします。以下に解説をしますが、過去に出題はされていない内容ですし、直接FP試験の得点アップにはつながりにくい話ですので、参考情報としてとらえておいてください。

不幸にも配偶者が死亡した場合、本選択肢のように婚姻関係は終了せず、継続します。したがって、配偶者死亡後も法律上の婚姻関係が成立しているものとして、さまざまな法律上の解釈がなされることとなります。

わかりやすい直接的な影響としては、亡くなった配偶者側の両親などの親戚とも、法律上の親族関係は継続するという点です。したがって、配偶者側の親戚との間で扶養義務が発生する可能性は、残り続けることとなります。
(家庭裁判所の審判により、3親等内の姻族も扶養義務が発生する場合があります)

ちなみに、婚姻関係を終了させるためには、生存配偶者が「姻族関係終了届」を役所に提出する必要があります。この届は生存配偶者単独で行え、死亡配偶者の両親や親せきの承諾などは不要です。
たとえ後日に別の配偶者と結婚することになったとしても、この姻族関係終了届を出さない限りは、前配偶者との親族関係も継続することとなるのです。

以上概略ですが、婚姻関係を継続する/しないによる影響は、他にもいろいろなところにありますが、日常生活上はそれほどの違いは発生しません。より詳しいことを知りたい場合は、民法自体を学ぶ司法書士や弁護士の資格に、チャレンジしてみてくださいね。

未成年者の婚姻の際に必要となる父母の同意

2018年1月 FP技能士2級 学科 問51より
2016年5月 FP技能士2級 学科 問51も類題

3.未成年者が婚姻をする場合、父母双方の同意を得なければならないため、そのいずれか一方の同意しか得られないときは、婚姻できない。

この記述は不適切です。
正しくは「いずれか一方の同意が得られれば婚姻できる」です。

両方ではなく一方の同意だけとされた背景として、父母の一方が行方不明であったり、病気等で意思表示を行えない状況を想定したからと言われています。

したがって、父母の一方が結婚相手に納得せず同意してくれなかったとしても、もう一方からの同意が得られれば、未成年者も結婚をすることができるのです。

ちなみに父母がともに、すでに他界している、または上記に述べた理由で生存しているが意思表示を行えない場合には、その事情が役所に受理されれば、その未成年者は同意不要で婚姻可能とされています。
別の代理人の同意までは、必要ありません。

親族関係図の読み方

2015年1月 FP技能士2級 学科 問52より

下記<Aさんの親族関係図>に基づくAさんの親族に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

<Aさんの親族関係図は省略>


1.Fさんは、Aさんの直系尊属であり、2親等の血族に当たる。
2.Eさんは、Aさんの直系卑属であり、3親等の血族に当たる。
3.Jさんは、Aさんの傍系卑属であり、3親等の血族に当たる。
4.Lさんは、Aさんの直系尊属であり、2親等の姻族に当たる。

適切な選択肢は3です。
親等の数え方ですが、対象となる本人の親等を0とみなし、そこから親方向または子方向にたどるたびに、親等の数値が1ずつ増えていきます。
なので、父母と子は1親等、祖父母と孫は2親等となります。
兄弟姉妹は、本人⇒親⇒兄弟姉妹とたどるので2親等となります。

wikipediaのサイトに、詳しく図入りで解説されているので、参考にしてください。

直系は自分の親族側、傍系は配偶者の親族側、と理解すればよいでしょう。
尊属は自分より上の世代、卑属は自分より下の世代、と理解すればよいでしょう。

以上の考え方を組み合わせれば、この問題の答えは理解できると思います。

 


 

 

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