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信用取引

信用取引の種類と決済期限

制度信用取引

金融商品取引所や証券取引所が、決済期限(弁済期限ともいう)や取扱銘柄、権利処理方式などを定めている取引です。決済期限は、買建日または売建日から6か月目の応当日となっています。

一般信用取引

証券会社と顧客との間で、決済期限や取扱銘柄、権利処理方式を自由に定める取引です。

委託保証金、委託保証率

委託保証金とは

信用取引では、投資家が金銭や株式を借りて取引を行うため、投資家は事前に担保を差し入れる必要があります。その担保は、現金だけでなく、株式や公社債などの有価証券でも認められます。ただし、有価証券の場合は時価ではなく、時価から一定割合を引いた金額で評価されます。
この担保に求められる金額のことを、委託保証金といいます。

委託保証率

委託保証金は、ある一定金額以上を差し出さなければならないことになっています。その金額は、売買する株式の取引価格のある一定割合以上でなければなりません。この割合のことを、委託保証率と言います。

具体的な数値で説明すると、信用取引で500万円分の売買を行う時、委託保証率が30%であれば、

500万円×30%=150万円

の委託保証金が必要になる、ということです。

委託保証金として認められる資産

2015年1月 FP技能士2級 学科 問24より

3.信用取引では、金銭に代えて上場株式や非上場株式を委託保証金として差し入れることができる。

この選択肢は不適切です。
上場株式は委託保証金として差し入れることはできますが、非上場株式は委託保証金として差し入れることはできません。
委託保証金として認められる資産は、現金のほか、上場株式、上場投資信託、国債など、流動性の高い(換金性の高い)資産に限られます。
非上場株式は流動性(換金性)が非常に低いことから、信用取引の委託保証金としては認められていないのです。

委託保証金の額を上回る損失

2017年5月 FP技能士2級 学科 問24より

1.信用取引は、委託保証金の額の範囲内で行われるため、顧客が委託保証金の額を上回る損失を被ることはない。

この記述は不適切です。
信用取引を行う際には、顧客は委託保証金を差し出す必要があります。
しかし信用取引はレバレッジがかかった取引であるため、損失額が委託保証金を超えて発生することはあり得ます。
実際には、損失が委託保証金を上回る前に、委託保証金の額が不足することにより、委託保証金を追加で差し出さなければならないケースが多いです。

信用取引の銘柄

すべての銘柄が対象というわけではない

2015年1月 FP技能士2級 学科 問24より

1.国内の証券取引所に上場しているすべての銘柄が、制度信用取引の対象となっている。

この選択肢は不適切です。
制度信用取引の対象となる銘柄は、取引所が選定した銘柄に限られます。
一方、一般信用取引の場合は、証券会社が独自に銘柄を選定します。

なお、選定される銘柄は、随時変更されます。
経営が傾いたり問題が発生した会社は、信用取引銘柄から外されることもあります。

ETFも信用取引は可能

2018年5月 FP技能士2級 学科 問22より

2.証券取引所を通じて行うETFの取引では、成行注文や指値注文はできるが、信用取引を行うことはできない。

この記述は不適切です。
ETFでも、信用取引を行うことはできます。
成り行き注文、指値注文もできます。

ちなみに、ETFの中にはレバレッジがかかったものもあります。
それを信用取引する投資家も多く、とにかくリスクを取ってリターンを得ようという方は、ETF×信用取引の組み合わせを好むようですね。

日歩

日歩(ひぶ)と読みます。
信用取引の買い手は、お金を借りて取引を行うため、金利の支払いが発生します。この金利のことを日歩と言います。逆に売り手は、お金を証券会社に貸していることになるため金利(日歩)を受け取ります。
しかし実際にはこの金利は、制度信用取引の場合も一般信用取引の場合も、証券会社が定めています。個人の投資家が支払う信用買いの金利は2〜4%程度、信用売りで受け取る金利は0%に設定されていることが多いです。

貸株料

信用取引の売り方は、証券会社が保有する株を借りて売り注文を出していることになります。この株を借りることによって発生する手数料を、貸株料と言います。

逆日歩

売り注文が殺到しているような状況では、投資家が借りるための株が証券会社内で不足する状況になります。このようなとき、証券会社は株をさらに調達する必要があり、その調達費用がかかります。このような状況になったとき、信用取引の売り手は、その調達コストに相当する手数料を負担することになります。この手数料のことを逆日歩と言います。
逆日歩は、必ず発生するものではなく、上記のように信用売りにおける株の調達が困難になったときに発生します。

逆日歩が発生すると、信用取引の売り手である投資家全員に逆日歩の支払いが生じます。また、逆日歩が発生しているときには、信用取引の買い手は逆日歩を受け取ることになります。

発行株数の少ない銘柄、浮動株の少ない銘柄などは、流通する株式が少ないために、逆日歩が発生しやすいといえます。株が不足するほど、逆日歩は高くなる傾向があります。
逆日歩が高くなるほど、信用取引の売り方は不利になります。そのため、株式の買い戻しが発生しやすくなり、株価の下落に歯止めがかかりやすくなるとも言われています。

逆日歩は、制度信用取引で発生しますが、一般信用取引では発生しません。一般信用取引では、株が足りなくなった時の調達まで行わず、そのような状況になると信用取引の売り建てを停止するなどの措置を、証券会社がとるためです。

決済方法

反対売買(差金決済)

実際の株の受け渡しを行わず、買値と売値の差額のみをやり取りする差金決済による方法です。実際には、差金決済が多く用いられています。

現引き、現渡し

差金決済以外に、信用買いの代金を支払って有価証券を受け取る現引き(品受けとも言う)、信用売りをしている有価証券を引き渡して売却代金を受け取る現渡し(品渡しとも言う)という決済方法もあります。

 

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