借地権、借家権
不動産登記
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借地借家法
事業用の賃貸借も、借地借家法の適用対象
2015年9月 FP技能士2級 学科 問44より
1.賃貸借の目的である建物の用途が店舗や倉庫等の事業用である場合、その建物の賃貸借については借地借家法は適用されない。
この記述は不適切です。
居住用に限らず、店舗や事業用の建物の賃貸借の場合においても、借地借家法は適用されます。
普通借地権
借地権設定における存続期間の定め
2015年5月 FP技能士2級 学科 問44より
1.普通借地権では、借地権者と借地権設定者との契約により、存続期間を20年と定めることができる。
この記述は不適切です。
普通借地権においては、その存続期間は30年以上と定めなければなりません。
もし30年未満の年数を存続期間として設定した場合は、「存続期間は30年」とみなされることとなります。
30年未満の存続期間を定めたい場合は、普通借地権ではなく、定期借地権で契約する必要があります。
借地権更新における存続期間の定め
2018年5月 FP技能士2級 学科 問44より
2.普通借地権の当初の存続期間が満了し、更新する場合、当事者間で更新後の存続期間を更新の日から10年と定めたときであっても、更新後の存続期間は更新の日から20年とされる。
この記述は適切です。
普通借地権においては、初回の更新での契約存続期間は20年以上と定めなければなりません。
もし20年未満の年数を存続期間として設定した場合は、「存続期間は20年」とみなされることとなります。
ちなみに、その次以降の更新での存続期間は10年以上です。やはり10年未満の年数を設定しても、法律上は「存続期間は10年」とみなされます。
存続期間に堅固・非堅固の要件はない
2018年5月 FP技能士3級 学科 問23より
借地借家法では、借地権設定契約を締結する場合の存続期間は、堅固建物では30年以上、非堅固建物では20年以上とされている。
この記述は不適切です。
借地権の存続期間(契約期間のこと)の要件に、建物が堅固かどうかという要件はありません。
借地権設定契約を締結する場合で、契約で期限を定めなかった場合の存続期間は、30年となります。
ちなみに、昔の旧借地法(1992年以前)では、建物が堅固かどうかで存続期間に差がありました。
昔を知っている人に対するひっかけ問題のつもりだったのでしょう。
建物がない場合の更新
2018年5月 FP技能士2級 学科 問44より
(2015年5月 FP技能士2級 学科 問44も類題)
1.普通借地権の存続期間満了に伴い、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、その土地の上に建物が存在しなくても、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる。
この記述は不適切です。
建物がない場合は、更新に当たっては借地権者(借主)と借地権設定者(貸主)の双方の合意が必要です。
逆に建物がある場合は、本選択肢の記述のように、「借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約は更新されたものとみなされる」で正しいです。建物がある場合は、借主のほうがいわば契約更新に関して強い権限を持つように定められています。
建物があれば同一条件で更新されるが、建物がなければ双方の合意が必要、と覚えておきましょう。
立退き料を支払えば、借地契約を終了させられるか?
2017年5月 FP技能士2級 学科 問44より
2.普通借地権の存続期間が満了する場合、借地権設定者が立退き料を支払うことにより、借地契約を必ず終了させることができる。
この記述は不適切です。
普通借地権の存続期間が満了する場合であっても、土地の借主が建物を所有していれば、借地権設定者(貸主)が契約を終了させるためには正当事由が必要です。
立退料の支払いは、正当事由には当たりません。
したがって、立退料を支払えば、必ず借地契約を終了できるというわけではないという点を、理解しておきましょう。
なお、立退料を支払うから借地契約を終了させたい、と貸主が申し出て、それに借主側が合意すれば、借地契約を終了させることはできます。
その合意がなければ、立ち退き料の支払うだけでは契約を終了させられない、ということです。
定期借地権
普通借地権から定期借地権への切り替え
2015年1月 FP技能士2級 学科 問43より
4.借地借家法施行前に締結された借地権設定契約の更新時に、貸主から一般定期借地権設定契約への切替えの申入れがあった場合、借主は、正当の事由がない限り、その申入れを拒絶することはできない。
この選択肢は不適切です。
土地の賃貸において、一般の借地権から、定期借地権に切り替える場合には、貸主と借主の双方の合意が必要です。貸主からの一方的な切り替えは、認められていません。
建物譲渡特約付借地権
建物譲渡特約付借地権が消滅した後の、借主の地位
2019年9月 FP技能士2級 学科 問44より
(2017年9月 FP技能士2級 学科 問43も類題)
(2012年5月 FP技能士2級 学科 問43も類題)
4.建物の譲渡により建物譲渡特約付借地権が消滅した場合において、当該建物の使用を継続する賃借人が借地権設定者に対して請求をしたときには、賃借人と借地権設定者との間で存続期間を2年とする建物の賃貸借がされたものとみなされる。
この記述は不適切です。
建物譲渡特約付借地権が消滅した際に、当該建物の賃借人(借主であり建物の所有者ではないです)が、借地権設定者(要は地主)に対して請求をした場合には、期間の定めのない賃貸借契約がなされたものとみなされます。
分かりやすく言い換えると、建物の借主(要は賃貸物件に入居している人)からすれば、地主と建物オーナー間で土地の貸し借りが終了したからといって、入居者が住める期間が突然「あと2年」などと制限はされない、ということなのです。
なお、事前に定期借家契約が締結されていた場合には、その契約の方が優先して適用されます。
建物買取請求権
借地権者からの建物買取請求権
2014年1月 FP技能士2級 学科 問45より
3.普通借地権の存続期間が満了する場合で契約の更新がないときは、借地権者は借地権設定者に対して、借地権の目的である土地上の建物等を時価で買い取るべきことを請求することができる。
この選択肢は適切です。これを、借地権者による建物買取請求権といいます。
土地の借主が更新したいのに更新できなかった場合には、借地上に建てた建物をいわば放棄せざるを得なくなります。そのような場合に借主の権利を保護する意味で、この時価での買い取り請求が認められています。
借主が建物買取の請求を行うと、その時点で売買が成立するとみなされ、地主はその建物を時価で買わなくてはなりません。
法律上、地主はこれを拒否できないことになっています。
このことは、借地借家法第13条1項(同趣旨・旧借地法第4条2項)で規定されています。
言い方を変えると、土地の賃貸借の契約更新を地主が拒否した場合、借主は建物を地主に売りつけることができるというわけです。
なお、地主と借主が、合意の上で賃貸借契約を解約した場合は、建物買取請求権を行使することができません。これは、過去に最高裁判所でも判決があります。
また、借主が地代を払わなかったり、その他の契約違反をしたなど、借主に落ち度がある場合には、賃貸借契約の解除に当たって建物買取請求権を行使することはできません。
借地上の建物を取得した者からの建物買取請求権
2019年9月 FP技能士2級 学科 問44より
2.借地権者が借地上の建物を第三者に売却した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡を承諾しないときは、建物を取得した第三者は、借地権設定者に対して、当該建物の買取りを請求することができる。
この記述は適切です。
借地上にある建物を譲渡する場合は、原則として地主の承諾が必要です。
もう少し正確に説明すると、借地上の建物に加えて借地権自体の譲渡も必要であり、それに対して地主からの承諾が必要とされています。
しかし地主の立場に立ってこの文章を言い換えると、土地を借りた人が地主の承諾なく勝手に借地権とその土地上の建物を譲渡した場合、新たな建物の所有者は地主に建物を買い取らせることができる、というわけです。
これは、借地権を解消したときに建物を取り壊す必要性がありますが、建物所有者の経済的損失を考慮して、このような規定が借地借家法で定められているのです。
ちなみに、借地契約の中で「建物買取請求権を認めない」という条項があったとしても、これは無効となります。
普通借家権
賃貸人(貸主)からの賃貸契約解除・更新拒絶
賃貸物件の契約により、建物の貸主(賃貸人)は正当事由がなければ、賃貸契約を解除したり、契約更新を拒否することができないとされています。
その正当事由とは、主に以下のようなものがあります。
- 貸主が、建物を必要とする事情がある(借主は別の建物を利用しても問題ないが、貸主はその建物でなければならない事情がある、など)
- 建物の利用状況が、適切でなくなっている(極度に老朽化していて、住むには危険な物件である、など)
- 建物が建っている土地を利用できなくなった、など
そのうえで、契約を解除するためには、
- 借主と貸主の間で契約した内容を、貸主は履行していること
- 必要に応じて、借主に立退き料などを支払うこと
という条件も必要です。立退き料の支払いは必須ではないのですが、実務上支払うケースが多いようです。
これらの条件を満たして、はじめて貸主側から賃貸契約を解除したり、契約更新を拒否することができます。
このように、実際には貸主側は自らの都合で賃貸契約を解除しづらい状況と言えます。貸した建物を将来確実に返してもらえるようにするためには、借主との間で定期借家契約を締結するのが一つの方法です。
解約の申入れの期間
2016年9月 FP技能士2級 学科 問44より
2.賃貸借期間の定めのない普通借家契約では、賃借人が解約の申入れをした場合、当該契約は解約の申入れの日から6ヵ月を経過することによって終了する。
この記述は不適切です。
「6ヵ月」を「3ヵ月」に直すと正しい文章となります。
法律上は、解約の申し入れから3か月後に契約終了とみなされます。
しかし実務上は「解約の申し入れから1か月後に解約できる」などの契約内容になっているケースも多くありますね。このような場合は、契約内容が優先されて適用されることとなります。
定期借家権
書面による契約が必要
定期借家権による契約を行う場合は、賃貸人(大家さん)が賃借人(物件を借りる人)に対して、公正証書などの書面による書面を交付し、説明を行わなければなりません。
万一、説明をしなかった場合は、定期借家権契約は無効となり、普通借家契約となります。言い換えると、契約の更新がない旨の定めが無効となります。
定期借家契約の中途解約について
2014年1月 FP技能士2級 学科 問46より
3.定期借家契約では、建物の用途や床面積にかかわらず、賃借人が中途解約することは一切認められない。
この選択肢は不適切です。賃借人(建物の借主)は、一定の条件を満たした場合に中途解約が可能です。その条件とは、次の2点を満たした場合です。
- 建物の床面積が200m2未満の居住用であること
- 賃借人に転勤や療養など、やむを得ない事情があること
したがって、隣人が騒がしいとか、子供が生まれ手狭になった等の理由は、やむを得ない理由には該当せず、中途解約できません。
ただし、残りの契約期間に相当する賃料を一括で支払うことで、退去することは可能です。(貸主に対する違約金・損害金として認定されます)
ちなみに、賃貸人(貸主)には、中途解約する権利は認められていません。
ただし、賃借人と賃貸人との間で合意があれば、契約期限前にいつでも中途解約は可能です。
賃料増減額請求権
2011年5月 FP技能士2級 学科 問45より
2014年9月 FP技能士2級 学科 問44より
4.普通借家契約において建物の借賃を減額しない旨の特約がある場合、賃借人はいかなる場合も賃貸人に借賃の減額を請求することはできない。
この選択肢は不適切です。
2015年5月 FP技能士2級 学科 問44より
4.普通借地権の設定契約において地代を減額しない旨の特約がある場合、借地権者はいかなる場合も借地権設定者に地代の減額を請求することはできない。
この記述は不適切です。
「賃料増減額請求権」に関する出題ですね。2級ではたびたび出題されていますが、この記述がある試験対策テキストはほとんどありません。下記で詳しく解説します。
賃料増減額請求権とは
賃料増減額請求権とは、土地や建物の賃貸借において、契約期間の途中で賃料の値上げを請求したり、逆に値下げを請求できる権利です。
土地と建物、どちらの賃貸借についても存在する権利です。
通常、賃料は予め契約で決めています。たとえば「契約期間中ずっと○○円」「一定期間は○○円、それ以降は△△円」といった契約です。
しかし、周辺の土地または建物の価格が変化した、税制が変わったなどの環境変化により、当初の契約で定めた賃料が不当に高額または低額になってしまう場合があります。このような場合に、当初の契約による賃料とは関係なく、賃料の値上げまたは値下げを請求することができます。これが、賃料増減額請求権です。
賃料増減額請求権は、貸主も借主も有する権利です。当事者が法人であっても個人であっても、有する権利です。
賃料増減額請求権の排除
賃料増減額請求権がある限り、貸主も借主も、賃料の価格変化によるリスクを負うことになります。つまり、賃料増額請求がなされると借主は不利になり、賃料減額請求がなされると貸主は不利になります。
このリスクを特約であらかじめ排除できるかどうかについてですが、普通借家契約の場合と、定期借家契約の場合で法律上のルールが異なっています。
普通借家契約の場合
賃料増額の請求を排除する特約(つまり賃借人に有利な特約)は、有効です。
賃料減額の請求を排除する特約(つまり賃借人に不利な特約)は、無効です。
これらの特約がない場合は、経済環境の変化などを理由とした賃料増減の請求を、どちらからも行うことができます。
定期借家契約の場合
賃料増額の請求を排除する特約は、有効です。
賃料減額の請求を排除する特約も、有効です。
つまり、特約によって完全に賃料を固定することができ、収益増減のリスクをなくすことができます。その結果、不動産投資における価格査定も行いやすくなるというメリットもあります。
これらの特約がない場合は、経済環境の変化などを理由とした賃料増減の請求を、どちらからも行うことができます。
サブリースの場合
ちなみに、サブリース契約による場合も、賃料増減額請求権を行使することができると、最高裁判所による判決が出ています。
- FP技能士3級と2級の過去問から、難問(試験対策テキストには記述がない問題、多くの人が間違えやすい問題など)を中心に解説しています。
正解だけでなく、問題の背景や周辺知識も含めて解説しています。 - 万一記述に誤りがあると思われた方は、お問い合わせページよりお知らせください。正しい内容をお知らせし、当サイトも訂正します。
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