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クーポン高低と、金利変動による価格変動幅の関係

出題された問題

○ 2011年1月 FP技能士2級 学科 問24より
残存期間など他の条件が同じであれば、高クーポンの債券は、低クーポンの債券よりも、金利変動に対する価格変動幅が大きい。

○ 2011年9月 FP技能士2級 学科 問24より
残存期間などの他の条件が同じであれば、高クーポンの債券は、低クーポンの債券よりも、金利変動に対する価格変動幅が小さい。

デュレーションについて

この問題を正確に理解しようとすると、債券投資に関して「デュレーション」という概念を理解する必要があります。
デュレーションとは、簡単に説明すると、債券に投資された資金の平均回収期間のことを表します。債券に関する専門的な計算においては、このデュレーションを使った式もたくさんあります。
デュレーション自体の解説は、試験範囲外のことなのでここでは避けますが、試験問題を解くために必要な知識だけを、ここで解説します。

デュレーションを利用すると、金利変動によって変化する債券価格を計算で求めることができます。
具体的には、金利変動に対する債券価格がどれだけ値上がり・値下がりするかを、以下の式で計算できます。

変化する債券価格 = 現在の債券価格×デュレーションの値÷(1+クーポンレート)×金利変動値

では、この式を分析していきます。
まず前提知識として、残存期間が同じであれば、デュレーションの値も同じとなります。
クーポンレートを除く他の条件が同一である場合(上記式で、債券価格とデュレーションの値と金利変動値が同じ場合)においては、変化する債券価格とクーポンレートはいわば反比例に類する関係にあるため、高クーポン債券の方が債券価格は小さく変化し、低クーポン債券の方が債券価格は大きく変化するのです。

具体的計算例

具体的数値に当てはめて、見てみましょう。
例えば、現在の債券価格が101円、デュレーションの値を−2.5(デュレーションの値はマイナス値をとります)、1%金利が下がったとします。
このとき、変化する債券価格は「101×(−2.5)÷(1+クーポンレート)×(−0.01)=2.525÷(1+クーポンレート)」となります。
ここで、高クーポン(仮に3%)と低クーポン(仮に1%)の債券価格にどれだけの変化が出るかを比較してみましょう。

高クーポン(3%)の場合
2.525÷(1+0.03)=2.45円(正の数なので、債券価格は2.45円上昇)

低クーポン(1%)の場合
2.525÷(1+0.01)=2.5円(正の数なので、債券価格は2.5円上昇)

よって、低クーポンの方が、より大きく価格変動していることがわかります。

ここでは一例のみを上げましたが、上記の計算式によって、「残存期間などの他の条件が同じであれば、高クーポンの債券は、低クーポンの債券よりも、金利変動に対する価格変動幅が小さい」と言い切ることができるのです。

誤った解説にご注意を

一部の試験問題解説サイトでは、「低クーポンの方が魅力がないため売られやすいので、価格変動幅が大きくなる」等と解説されていることもあります。しかしこの試験問題は、売買関係者の心理による価格変動のことではなく、数学的な観点に基づく価格変動について出題しているため、本ページのような考え方に基づいて答えを導くべきです。

試験対策で理解しておくべき要点

ここまで長々と解説をしましたが、本来、以上の内容はFP技能士試験の出題範囲外の内容です。
試験をクリアするためだけであれば、債券に関して下記の内容だけを理解していれば、試験対策としては十分でしょう。

 

 


 

 

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