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各種の所得

非課税所得

非課税所得の代表的なものは、以下の通りです。

なお、譲渡益が非課税所得に該当するものは、逆に譲渡損があっても他の譲渡所得との内部通算はできません

給与所得

給与所得の特定支出控除について

2014年5月 FP技能士2級 学科 問31より

2.給与所得の金額の計算上、その年中の特定支出の額の合計額が所定の金額を超える場合、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した金額から、さらにその超える部分の金額を控除することができる。

この選択肢は適切です。

特定支出控除とは、給与をもらう人が仕事上で必要な経費を自腹で払った場合(これを特定支出といいます)に、その一部の金額を給与所得から引き算してくれる制度です。
本選択肢の通り、特定支出控除の適用がある場合には、給与所得は次の計算式で計算されます。

収入金額−給与所得控除額−特定支出の額の一部

ここでいう「特定支出の額の一部」とは、次の算式で計算されます。

特定支出の額−給与所得控除額×1/2

ちなみに、仕事上必要な支出を自腹で行ったものがすべて特定支出に認定されるわけではありません。特定支出に認められる金額には様々な条件があり、会社からその証明を受けるなければならないなど、手間もかかるというデメリットもあります。
これが普及するのかどうか、微妙な制度とも言われていますが、これに該当する人にとっては所得税の減税効果はあります。

事業所得

貸倒引当金

2011年9月 FP技能士2級 実技(きんざい 個人資産) 問7より

事業遂行上生じた売掛金や貸付金等の一定の金銭債権がある場合、帳簿価額の5.5%(金融業は3.3%)までの金額を、その年の事業所得の必要経費に算入することができます。

取引先への貸付金の利子

2018年1月 FP技能士2級 学科 問32より

1.(注:青色申告者に関して)事業の遂行上、取引先へ資金を貸し付けたことにより受ける貸付金利子は、事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入される。

この記述は適切です。
取引先や従業員への貸し付けにおける利子は、その事業に付随する収入であるという性質から、事業所得とみなされることになっています。

事業場の必要経費

2018年1月 FP技能士2級 学科 問32より

3.事業の遂行上、必要な交際費は、事業所得の金額の計算上、その全額が必要経費に算入される。

この記述は適切です。
個人事業主の場合には、交際費の全額が必要経費に算入されます。

これが法人の場合だと、交際費のうち一部の金額しか損金算入できない(損金不算入となる場合がある)のですが、それとは異なる点を理解しておきましょう。

個人事業の経理

個人事業・法人の経理処理のページにまとめています。

青色申告特別控除

青色申告 のページにまとめています。

不動産所得

借入金の元本返済額は、必要経費にできない

2016年9月 FP技能士2級 実技(FP協会) 問15より
2012年1月 FP技能士2級 実技(FP協会) 問15も類題

(ウ)アパートローンの返済額は、元本部分と利息部分のいずれも必要経費に算入することができる。

この記述は不適切です。
不動産所得において、貸付不動産に対する借入金の利息は必要経費に算入できますが、借入金の元本返済部分は必要経費に算入することはできません。

必要経費にできる税金の種類

下記の税額は、不動産所得の必要経費に算入することができます。

なお、下記の税額は、必要経費に算入することはできません。

不動産所得における減価償却費の計算

2018年5月 FP技能士3級 きんざい(FP協会) 問12より

三上さんは、2018年1月に新築のマンションを取得し、新たに不動産賃貸業を開始した。取得したマンションの建物部分の情報は下記<資料>のとおりである。三上さんの2018年分の所得税における不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費の金額(計算式を含む)として、正しいものはどれか。

<資料>
取得価額:35,000,000円
取得年月:2018年1月
耐用年数:47年
業務供用月数:12ヵ月
定額法の償却率:0.022
定率法の償却率:0.043


1. 35,000,000円×0.9×0.022=693,000円
2. 35,000,000円×0.022=770,000円
3. 35,000,000円×0.043=1,505,000円

正しい計算式は 2 です。
素直に、取得価格×償却率、の計算をすればOKです。

「×0.9」という記述に引っかかってしまった方がいるかもしれません。
平成19年3月以前の資産の取得に用いられていた「旧定額法・旧定率法」では、0.9をかける計算式となっていました。
昔の制度を知っている人にとっては、ひっかけ問題になってしまったかもしれませんね。

青色申告特別控除

青色申告 のページにまとめています。

一時所得

一時所得に該当するもの

一時所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的として継続的行為から生じた所得以外の一時的な所得のことをいいます。

例えば以下のような所得が一時所得です。
1.懸賞の賞金、福引きの当選金品
2.競馬・競輪の払戻金
3.生命保険契約による一時金、損害保険契約による満期返戻金
4.借家人が受ける立退料
5.遺失物の拾得による報労金
6.法人から贈与により取得する金品

一時所得の計算

2013年9月 FP技能士2級 学科 問33より

一時所得の金額は、次の計算式で計算されます。

総収入金額−その収入を得るために支出した金額の合計額−特別控除額(最高50万円)

総所得金額に合算される一時所得の金額は、次の計算式で計算されます。

上記の一時所得(ただし損益通算後の一時所得額) × 1/2

「総所得に合算される」という文言があるかどうかで、1/2をかけるかどうかが異なります。この点に注意してください。

譲渡所得

ゴルフ会員権の損失は損益通算不可

2015年9月 FP技能士2級 学科 問33より

2.ゴルフ会員権を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。

この記述は適切です。
2014年4月1日以後は本選択肢の記述の通り、損益通算することができなくなりました。
これは、少し過去の法改正事項についての問題ですね。

ちなみに、2014年3月以前は、他の所得と損益通算することはできました。
現在はゴルフ会員権だけでなく、リゾート会員権による譲渡損失も、他の所得との損益通算ができなくなります。

業務用車両に関する譲渡所得

2013年9月 FP技能士2級 学科 問34より

4.業務用車両の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算することができる。

選択肢4は適切です。本選択肢の譲渡所得は、総合課税の譲渡所得です。この場合にはその損失を他の所得と損益通算することができます。申告分離課税の譲渡所得(株式や不動産など)の場合には、他の所得と損益通算はできません。

金地金の譲渡損失は、損益通算できない

2018年9月 FP技能士2級 学科 問33より

所得税の各種所得の金額の計算上生じた次の損失のうち、給与所得の金額と損益通算できるものはどれか。

4.金地金を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額

この損失の金額は、損益通算できません。
金地金(きんじがね、と読みます)は、「生活に通常必要ではない資産」とみなされているため、他の総合課税の譲渡所得との損益通算(内部通算)はできますが、譲渡所得以外の他の所得との損益通算をすることはできません。

譲渡所得の損失は、他の所得と損益通算できると言われてはいますが、現実に損益通算できる事例は限られています。
損益通算できる譲渡所得の損失の代表的事例としては、「事業用で使用していた個人所有の車両」があります。

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算

2013年5月 FP技能士2級 学科 問34より

2.賃貸アパートの土地と建物を譲渡したことによる譲渡所得の損失の金額のうち、建物の譲渡による損失に相当する部分の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができる。

この選択肢は不適切です。原則として、不動産の譲渡所得は分離課税扱いなので、譲渡所得と言えども他の所得と損益通算はできません。
しかし例外があり、特定居住用財産に該当する不動産であれば、他の所得との損益通算と、翌年以後3年間の繰越控除が認められます
ところが本選択肢は、居住用の不動産ではなく、賃貸アパートについての記載です。これは当然、特定居住用財産には該当しませんので、損益通算をすることはできません。

総合課税の譲渡所得金額の計算

2013年9月 FP技能士2級 学科 問33より

2.総合課税の対象となる短期譲渡所得の金額は、「総収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額」の算式により計算される。

選択肢2は適切です。本選択肢は、「総合課税の対象となる」短期譲渡所得の場合であることに注意してください。譲渡所得には、総合課税となるものと、分離課税となるもの(不動産や株式など)があることに注意してください。
ちなみに、申告分離課税の対象となる土地や建物の譲渡所得の金額は、「総収入金額−(取得費+譲渡費用)」の算式となります。
譲渡所得における特別控除額は、総合課税の場合にのみある点を理解しておきましょう。

利子所得

利子所得の分類

あらゆる利子が、利子所得に分類されるわけではありません。利子所得に分類されるものとされないものは、下記のとおりです。

会社とのお金の貸し借りで、生じた所得の種類

2016年1月 FP技能士2級 学科 問31より

2.会社員が勤務先から無利息で金銭を借り入れたことによる経済的利益は、雑所得となる。

この記述は不適切です。
本記述のように、会社員が所属する会社から得た経済的利益に該当するものは、すべて給与所得となります。
ちなみに、利子所得は、公社債や預貯金の利息、公社債投資信託の分配金など、金融商品から得た利益が該当します。
これ以外の金銭の貸し借りに伴う利息は、雑所得となります。

このように、お金を借りた利息は、その状況によって3種類の所得に分かれる点を理解しておきましょう。

利子所得では必要経費は認められない

2015年1月 FP技能士2級 学科 問33より

1.利子所得の金額は、「利子等の収入金額−必要経費」の算式により計算される。

この選択肢は不適切です。
利子所得については「必要経費」が認められておらず、収入の金額そのものが所得と見なされます。
たとえ利子所得を得るために何らかの経費が掛かったとしても、その経費を差し引くことは一切認められないのです。

ここからは、関連するちょっとハイレベルな内容です。

利子所得と同様に、配当所得も必要経費の減額は一切認められていません。
しかし配当所得は
  配当所得 = 配当収入 − 配当となる資産を得るために発生した負債の利子
と説明されているように、「配当となる資産を得るために発生した負債の利子」を差し引くことが特別に認められていますが、これを「必要経費」とは言わないのです。
上記の負債利子は差し引けるものの、配当所得は利子所得と同様に、「必要経費を差し引くことはできない」と表現されています。
用語、表現が難しいところではありますが、余裕があればこの点も含めて理解しておきましょう。

公的年金等の雑所得

非課税額について

公的年金の収入(雑所得)には、所得税の非課税枠があります。
非課税枠は、65歳以下の場合は70万円まで、65歳以上の場合は120万円までです。この金額以内の受給であれば所得税はかかりません。

年金受給者を所得税における扶養者とするためには、扶養対象者の所得が38万円以下でなければなりません。したがって、65歳以下の場合は108万円まで、65歳以上の場合は158万円までの金額の年金収入であれば、その人を扶養家族とすることができます。

確定申告が必要となる老齢年金の受取金額

2016年5月 FP技能士2級 学科 問36より

4.老齢基礎年金および老齢厚生年金を合計で年額200万円受給し、かつ、原稿料に係る雑所得が年額10万円ある者(は、確定申告が必要である)

この記述は不適切です。
老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給している方が確定申告しなければならないのは、次の2つのいずれかの要件を満たした場合です。

細かい点ですが、この数字の組み合わせも覚えておきましょう。

退職所得

退職所得における勤続年数の数え方

勤続の期間は、入社日から退職日までです。内定日や、退職後に会社と最後に連絡を取った日ではありません。
長期の休職、欠勤の期間も、勤続年数に含めます。
勤続年数の期間において1年未満の端数がある場合は、それを1年として切り上げます。

退職所得控除には最低金額が設けられている

2016年5月 FP技能士2級 実技(FP協会) 問15より

1.勤続年数20年以下で退職した場合の退職所得控除の額は、40万円×勤続年数(最低80万円)で計算する。

この記述は適切です。
退職所得控除は最低80万円、つまり2年分が最低でも適用されることになります。
意外な盲点ではありますが、大半の試験対策テキストにさりげなく書いてありますので、ぜひ覚えておきましょう。

配当所得

配当金に対する確定申告不要制度

2016年5月 FP技能士2級 実技(きんざい個人資産) 問8より

2.非上場株式の配当金で、1回に支払を受ける金額が、15万円に配当計算期間の月数を乗じて、これを12で除して計算した金額以下である場合には、当該配当金について少額配当として確定申告不要制度を選択することができる。

この記述は不適切です。
「15万円」を「10万円」に直すと正しい記述となります。

上場株式の配当金の場合は、その金額に関係なく、確定申告不要制度を選択できます。
一方、本問のように非上場株式の場合は、金額が10万円までの配当に対してのみ、確定申告不要制度を選択できます。

なお、申告不要とすると、源泉徴収された税金は取り戻すことができなくなり、配当控除も適用できなくなります。
申告不要の要件に該当していても、税金の還付を受けられる場合には、申告したほうが得になるといえます。

事業の取引先の株式からの配当

2018年1月 FP技能士2級 学科 問32より

2.取引先の株式を有することにより受ける剰余金の配当は、事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入される。

この記述は不適切です。
株式の配当に関しては、事業上のものであってもそうでなくても、配当所得として取り扱うことになっています。
事業上の関連性があっても、事業所得にはならないことを覚えておきましょう。

損益通算(総所得金額の計算)

不動産所得や事業所得などの「経常グループ」と、譲渡所得や一時所得の「臨時グループ」との間での損益通算をし、総所得金額を計算するやり方についてまとめています。

経常グループ、臨時グループともに黒字

事例:
経常グループ
・不動産所得  200万円
臨時グループ
・一時所得   100万円

総所得金額を求めるとき、経常グループはその金額を、臨時グループはその1/2の額を総所得に算入します。したがって、総所得金額は次のとおりとなります。

200万円+100万円×1/2=250万円

経常グループが赤字、臨時グループが黒字

事例:
・経常グループ
  不動産所得 ▲100万円
・臨時グループ
  一時所得   200万円

損益通算をすると、一方の赤字が一方の黒字と相殺されるため、

・経常グループ
  不動産所得 0
・臨時グループ
  一時所得  100万円

総所得金額を求めるとき、経常グループはその金額を、臨時グループはその1/2の額を総所得に算入します。したがって、総所得金額は次のとおりとなります。

0+100万円×1/2=50万円

経常グループが黒字、臨時グループが赤字

事例:
経常グループ
・不動産所得  200万円
臨時グループ
・譲渡所得  ▲100万円

損益通算をすると、一方の赤字が一方の黒字と相殺されるため、

・経常グループ
  不動産所得 100万円
・臨時グループ
  譲渡所得  0

総所得金額を求めるとき、経常グループはその金額を、臨時グループはその1/2の額を総所得に算入します。したがって、総所得金額は次のとおりとなります。

100万円+0×1/2=100万円

まとめると

上記3パターンのいずれの場合も、「経常グループはその金額を、臨時グループはその1/2の額を総所得に算入」という考え方で問題を解くことができます。

保険の解約返戻金の内部通産と損益通算

2015年9月 FP技能士2級 実技(きんざい生保) 問12より

<問題は省略>

終身保険や養老保険の解約返戻金が、支払った保険料を下回った場合、その損失を他の一時所得と内部通算(同じ種類の所得間での損益通算の意味)することができます。

本問の場合、次の2つの保険があります。
A.解約返戻金480万円、一時払い保険料500万円
B.解約返戻金640万円、一時払い保険料500万円

解約により、Aの保険は損失が、Bの保険は利益が出ています。
このとき、AとBとの間で損益通算を行うことができるのです。
上記以外に一時所得に該当する収入がないので、この年の一時所得の金額は次の通りとなります。

(480万−500万)+(640万−500万)−50万(これは特別控除額)=70万円

結果、総所得に組み入れる一時所得の額は、この2分の1の、35万円となります。

他、給与所得が875万円ありますから、この年の総所得金額は

35万+875万=910万円

となります。これが問の答えとなります。

以上の内容は、2級受験者にとってもハイレベルな内容です。
ちなみに、このような解約返戻金となる一時所得間での内部通算については、国税庁のサイトでも紹介されています。理解を深めるためにも、下記ページも参照してみてくださいね。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/02/04.htm

 


 

 

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