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相続財産(不動産)の評価

このページでは、不動産に関する相続財産の評価についてまとめています。
不動産以外の相続財産の評価については、相続財産(不動産以外)の評価のページを参照してください。

建物の評価

建築中の建物

課税時期までに投下された費用現価の70%の額を、評価額とします。
費用現価とは、「投下した金額を、その課税時期の価額に引き直した額の合計額のこと」と定義されています。わかりやすく言い換えると、「建物の建築費用×工事進捗割合」のことです。

なお、「建築業者への支払額>費用現価」の場合、この両者の差額は債権とみなし、相続財産として上乗せします。
この差額は、本来の額以上に支払った金額とみなすため(本来は被相続人の手元にあるのが妥当な金額とみなすため)、相続財産に上乗せすることとなります。

逆に、「建築業者への支払額<費用現価」の場合、この両者の差額を債務とみなし、相続財産から差し引きます。(債務は控除します)
この時、手元の現金は本来建物の支払いに充てるべきという考え方に基づくため、その差額の金額を相続財産から差し引くのです。

例えば、6000万円の建物の60%が建築完了した状態で被相続人が死亡したとします。
このとき、建物の費用現価は、6000万円×60%=3600万円となり、
相続税評価額は、 3600万円×70%=2520万円となります。

また、この時までにすでに4000万円を支払っていたとします。
この場合は、費用原価に対して上乗せの債権額は4000万円−3600万円=400万円、となります。この400万円も、相続財産に加算して、相続税を計算することとなります。

借家権の評価と権利金の関連性

2017年9月 FP技能士2級 学科 問58より

3.借家権は、この権利が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にあるものについては、評価しない。

この記述は適切です。
多くの方は、建物を借りる時の権利金になじみがないと思いますので、少し詳しく解説します。

一般的に、居住用の建物を借りる場合には、この借家権のやり取りはありません。
(礼金を「権利金」と説明しているサイトもありますが、礼金のイメージとしての説明であり、相続税法に基づく説明ではありません)

したがって、賃貸住宅を契約してそこにお住いの方が亡くなった場合に、相続税の計算で「借家権」を評価することはありません。

一方、事業用の目的で建物を借りる場合に、あるまとまった金額を権利金として貸主(大家さん)に支払う場合があります。このようなケースで相続が発生した場合には、その借家権をテキストに載っている評価額で評価することになるのです。

借家権割合は全国一律30%

2014年1月 FP技能士3級 実技(きんざい 個人資産) 問15より

<中略>相続税評価額の計算に用いられる借家権割合は,全国一律で( 3 )とされている。

(3)に入る言葉は、30%です。
平成18年以降、借家権割合は全国一律で30%となっています。それ以前は、大阪府の一部地域で40%でした。
この大阪の一部地域に貸家を持っていた地主さんにとっては、借家権割合が30%に低下したことで不動産の評価額が高くなり、相続税が実質的に増税となってしまったのです。

構築物の評価

2012年5月 FP技能士2級 学科 問57より

■選択肢
構築物の価額は、原則として「(再建築価額−建築の時から課税時期までの期間に応ずる償却費の額の合計額または減価の額)×70%」により評価する。

■解説
いきなり「構築物」という単語が出てきます。まずはこの単語の説明から始めましょう。
不動産とは、「土地およびその定着物」というのが定義です。これらの意味はなんとなく分かると思いますが、ざっくり説明すれば、「土地」はいわゆる国土上の陸地の一部という意味です。「定着物」とは、土地の上に建っており、かつ土地に定着している、いわゆる建築物を表します。

その定着物は、さらに「建物」と「構築物」とに分類できます。
建物とは、法律上ある程度明確な定義があり、以下の要件をすべて満たすものを建物に分類します。
・外気分断性:壁などを隔てて、外界との境界が存在すること。
・定着性:土地に定着していること
・用途性:人間が生活をしたり利用したりする目的で使用されること
・取引性:不動産として、取引の対象となっていること
家、工場、オフィスビルなど、我々が一般的に建物と呼んでいるものは、おおよそこの「建物」に該当します。

逆に、上記要件を一つでも満たさないものは、構築物に分類します。
例えば、橋、鉄塔、電波塔、立体駐車場、観覧車などが、構築物に該当します。本選択肢に出てきた構築物とは、これを指しています。

構築物の価額は、本選択肢のとおりの計算式で評価します。
ちなみに、建物は登記することができますが、構築物は登記することができません。
また、建物と構築物とでは、減価償却や勘定科目など、会計上のルールにも違いがあります。

庭園設備の評価

2014年1月 FP技能士2級 学科 問58より

3.庭園設備(庭木、庭石、庭池等)は、「その庭園設備の課税時期における調達価額×30%」によって算出した価額により評価する。

この選択肢は不適切です。
選択肢中の「30%」を「70%」に直すと正しい文章となります。
庭園設備の評価額についての知識は、FPとしてはかなりマニアックな内容であり、わからなくても特に気にする必要はありません。それよりも保険や金融商品、建物や土地についての評価額知識の方が役に立ちますし、試験の出題頻度も高いですし、FPらしい知識です。

ちなみに、一般家庭の庭にあるものを、この選択肢のように評価するのではありません。
どちらかといえば、お金持ちの方が高価な盆栽を所有しているケース、かなりお金をかけた庭園設備が敷地内にあるケースなどでは、本選択肢のように適切に評価をする必要があります。お金持ちの方を対象としてFP相談をするときには、持っておいたほうがよい知識といえるでしょう。

土地の評価

2筆の土地と一体利用しているときの評価

2013年1月 FP技能士2級 学科 問55より

1.宅地の価額は、その宅地が登記上は2筆の土地であっても、これを一体として利用している場合は、その全体を1画地として評価する。

この選択肢は適切です。宅地の評価額は、1筆の土地(不動産登記の単位)ごとにおこなうのではなく、利用の実態に沿って評価をすることになります。この評価単位を「画地」といいます。
本選択肢のように、2筆の土地を一体として利用しているのであれば、それ全体を1画地として扱います。結果的に、その2筆の土地の評価額をまとめて計算することになります。
逆に1筆の土地を居住用や事業用など複数の用途で利用しているのであれば、それぞれを1画地として評価額を計算し、その合計を計算して、1筆の土地の評価額とします。

角地を分筆したとき

2015年9月 FP技能士2級 学科 問59より

2.角地である一画地の宅地について、角地である宅地と角地ではない宅地とに分筆すれば、一体として利用していても、分筆後の評価額は一筆ごとの単位で評価される。

この記述は不適切です。

宅地の評価額は、1筆の土地(不動産登記の単位)ごとにおこなうのではなく、利用の実態ごとに評価をすることになります。この評価単位を「画地」といいます。
本選択肢のように、1筆の土地を2筆の土地に分筆したとしても、それ全体を1画地として扱うため、2筆の土地をまとめて評価することとなります。

本選択肢とは異なり、土地を一体として利用していない場合に分筆したのであれば、分筆後の評価額は一筆ごとの単位で評価することとなります。

青空駐車場の評価額

2015年9月 FP技能士2級 学科 問59より
(2013年9月 FP技能士2級 学科 問56も類題)

1.遊休地である宅地を青空駐車場として貸し付けることによって、その宅地は貸宅地として評価される。

この記述は不適切です。
青空駐車場の場合は自用地評価額で評価します。

他人に貸しているのになぜ貸宅地にならないのか、疑問に思った方がいるかもしれませんね。少し掘り下げて説明しましょう。

一般的に土地を貸すという場合には、その土地をどのように利用するかは借主の意志で決定できます。このような場合には貸宅地として評価をします。
しかし駐車場の場合には、駐車場を借りている人(言い換えると駐車場利用者)がその土地を好きなように使うことはできません。あくまでも、指定されたスペースに駐車をすることだけが許可されています。
駐車場利用者には、土地そのものをどのように利用するかの決定権はありません。別の見方をすると、駐車場は土地の賃貸ではなく、土地所有者が自ら保有する土地の上で提供しているサービスともみなせます。

このような様態の貸し借りの場合は、借地権が発生しません。したがって、借地権割合を引き算する計算式は使えず、自用地で評価することになるのです。

二つ以上の道路に面している土地の正面路線価

2013年1月 FP技能士2級 学科 問55より

3.二方面に路線がある角地を路線価方式によって評価する場合、それぞれの路線価に奥行価格補正率を乗じた価額を比較し、高い方の路線価が正面路線価となる。

この選択肢は適切です。正面路線価の決定ルールは本選択肢のとおりのなので、単純に路線価が高い道路の方が必ずしも正面路線価となるわけではないのです。

路線価方式と倍率方式

2013年1月 FP技能士2級 学科 問55より
2014年9月 FP技能士2級 学科 問58より

4.倍率方式で評価する宅地が、奥行距離が一定でないなど著しく不整形な形状であっても、その評価に当たって補正率を用いて補正はしない。

この選択肢は適切です。
倍率方式で評価する場合、その宅地の固定資産税評価額に一定倍率を乗じた額が、評価額となります。
実は固定資産税評価額自体が、土地の奥行幅、複数の道路に接しているかどうか、不整形地の不便さなどを織り込んで算出される価額です。ですから、それに対してさらに補正率を掛け算するようなことはありません。

一方、路線価方式の場合、あくまで前面道路に付与されている路線価だけで不動産価格を判断するという性質上、土地の個別の事情が評価に織り込まれません。そのため、それらの事情を織り込んだ評価額を出すために、奥行価格補正率、側方路線影響加算率、不整形地補正率などを掛け算するのです。

角地と準角地

T字路や十字路に面した角地のことを「角地」といい、L字路に面した角地のことを「準角地」といいます。
角地か準角地かによって、同じ土地の条件であっても、奥行価格補正率、側方路線影響加算率の値が異なります。

使用貸借契約における土地の評価

2013年9月 FP技能士2級 学科 問56より

4.使用貸借契約に基づき、土地所有者が所有する宅地の上にその者の子が賃貸アパートを建築して賃貸の用に供している場合、その宅地は自用地価額の80%相当額で評価する。

この選択肢は不適切です。本選択肢のケースでは、その宅地は自用地評価額として評価します。
賃貸アパートを建てているのだから貸家建付地になるのでは、と思った方がいるかもしれません。貸家建付地として評価するのは、借地権が発生する場合、すなわち賃貸借契約の場合に限られるのです。
使用貸借契約は、借地権が発生しないので、貸家建付地で評価することができないのです。

ちなみに、80%相当額で評価するのは、相当の地代を収受している土地や、土地の無償返還届出書を提出している土地の場合になります。

貸家建付借地権の評価

2016年9月 FP技能士2級 学科 問57より

4.貸家建付借地権の価額は、「(自用地評価額×借地権割合)−(自用地評価額×借家権割合×賃貸割合)」の算式により計算した金額により評価する。

この記述は不適切です。
貸家建付借地権とは、借地上に賃貸マンションなどを建てた場合の評価額です。
次の違いに注意して、理解してくださいね。

貸家建付借地権の価額計算式は、次のいずれかとなります。

どちらの計算式も意味する内容は同じであり、計算結果も同じになりますが、1.のほうで説明されているケースが多いですね。

貸家建付借地権と転貸借地権

2018年5月 FP技能士2級 学科 問58より

4.Aさんが、賃借している宅地の上にAさん名義の家屋を建て、これを賃貸している場合、賃借している宅地の上に存する権利は転貸借地権として評価する。

この記述は不適切です。
この場合は、「貸家建付借地権」として評価をすることになります。
貸家建付借地権の評価計算式は、次のいずれかとなります。

1.(自用地評価額×借地権割合)×(1−借家権割合×賃貸割合)
2.借地権価額−(借地権価額×借家権割合×賃貸割合)

どちらの計算式も意味する内容は同じであり、計算結果も同じになりますが、1.のほうで説明されているケースが多いですね。

ちなみに本問中に記載の「転貸借地権」ですが、FP1級でも過去に出題されなかったものです。
転貸借地権とは、借地権をさらに別の人に賃借した場合の借地権のことです。
土地のまた貸しの事例であり、「借地権のさらに借地権」という表現のほうが分かりやすいでしょうか。

これについて詳しく知りたい場合は、下記のサイトをご紹介しますので、こちらをお読みください。

小規模宅地等の評価減の特例

遺産分割が確定していないと、小規模宅地の特例を適用できない

2013年9月 FP技能士2級 実技(きんざい 生保顧客) 問14より

「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けるためには,遺産分割が確定していなければならない。

この記述は適切です。小規模宅地等の特例の適用を受けるに当たり、誰がその宅地を相続したか、共有の場合にはどれくらいの持分で相続したか、が決まっていないと、評価減額の計算ができません。それに、申告期限までに相続人が事業や居住を継続することがこの特例の適用要件になっています。したがって適用を受けるためには、遺産分割が確定していなければならないといえます。

特定居住用宅地と特定事業用宅地の併用

2015年5月 FP技能士2級 学科 問60より

4.相続により取得した宅地に特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等が含まれる場合、それぞれの適用対象面積まで「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることができる。

この記述は適切です。これは法改正に関する問題ですね。

特定居住用宅地等の場合は330m2まで、特定事業用等宅地等の場合は400m2までが特例の適用対象となっています。
本問のとおり平成27年以降は、この2つをそれぞれの適用対象面積まで併用できるよう、法律が改正されました。

それまでは、この2つの併用に当たっては一定の計算式に基づき、限定された面積までしか適用できなかったのです。
なので、特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等の両方を持っている人にとっては、この改正は有利に働くようになったわけです。

青空駐車場は、小規模宅地の特例の適用を受けられない

2019年1月 FP技能士2級 実技(FP協会)問38より

<問題文は省略>

いわゆる青空駐車場は、小規模宅地の特例を受けることはできません。

駐車場であっても、舗装された駐車場や、構築物(いわば何らかの建物)がある駐車場であれば、小規模宅地の特例を受けることはできます。本問では、この条件を満たしていないため、小規模宅地の特例の適用は受けられないのです。
駐車場に対して小規模宅地の特例が適用できるかどうかは、このように駐車場の様態によって違いがある点を覚えておきましょう。

貸付事業用宅地に関する法改正

2019年5月 FP技能士2級 実技(きんざい個人資産)問14より

3 「仮に、Aさんの相続が賃貸アパートの貸付開始から3年以内に発生した場合、当該敷地は小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の対象から除外されます」
(注:この賃貸アパートは2017年2月に自己資金で建築し、同年3月から全室賃貸中である。)

この記述は不適切です。
本問のケースでは、小規模宅地の特例の適用対象となります。

賃貸アパートの貸付開始から相続までの期間が3年以内の場合、原則としてその賃貸アパートの敷地に対して小規模宅地の特例を使うことはできません。この規定は税制改正により、2018年4月以降この取り扱いとなっています。
ただし例外として、2018年3月以前から賃貸アパートの貸し付けを行っている場合には、経過措置という位置づけで、小規模宅地の特例を使うことはできます。
ここまでの内容を把握していれば、正解を導けたと思います。毎年の法改正をしっかり把握しておくことが大切ですね。

複数の相続人がいる場合の適用

「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」は、被相続人1人につき330m2(または400m2)とされています。つまり、要件を満たす複数の相続人がいても、全体で330m2までの適用であり、相続人一人につき330m2というわけではありません。

代償分割・換価分割との関連

土地を代償分割で相続した場合、要件を満たしていれば、小規模宅地の評価減の特例を適用することができます。
しかし換価分割をした場合は、その土地は売却することになるため、小規模宅地の評価減の特例を適用することができません。

遺贈の場合の特例の適用

被相続人と同居していた親族への遺贈の場合は、特例は適用できます。
被相続人と同居していることが、この特例の要件となっています。

それ以外の人への遺贈の場合は、この特例は適用できません。

小規模宅地の貸付事業用宅地の評価減の特例

この特例でいう貸付事業用宅地等とは、建物などの建築物がある敷地を指します。
つまり、単に土地を貸しているだけの場合はこの特例を適用できません。土地の上に建築物があれば、特定の適用の対象となり得ます。

相続開始3年以内の貸付事業用宅地に対する要件

2018年9月 FP技能士2級 実技(きんざい生保) 問14より

3 「平成30年度税制改正により、相続開始前5年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地は、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の対象から除外されていることに留意してください」

この記述は不適切です。
「5年」を「3年」に直すと正しい文章になります。

これは今年2018年1月に改正された、法改正問題になりますね。
相続直前に賃貸マンションを建設して小規模宅地の特例を使って節税するケースが目立ち、制度の本来の趣旨にあわない過度な節税とみなされたことから、これを封じるべく改正されたのです。

ちなみに例外的に、相続開始3年以前より事業的規模で貸付を行っていた被相続人においては、この適用除外のルールは適用されない(相続の直前に貸付事業を始めた不動産に対しても、小規模宅地の特例は適用できる)ことになっています。

配偶者が相続した場合の適用

2013年1月 FP技能士2級 実技(きんざい 生保) 問14より

Aさんに係る相続により妻Bさんが自宅の宅地および建物を取得した場合,妻Bさんは,相続税の申告期限までにその宅地および建物を売却したとしても,その宅地について特定居住用宅地等として「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることができる。

この記述は適切です。不動産を相続したのが配偶者以外の親族の場合には、その親族が相続開始時から申告期限まで所有(または居住)していなければ適用できないという要件があります。しかし配偶者が相続する場合には、このような所有や居住の要件はなく、居住せず売却したとしても小規模宅地の特例の適用を受けることができます。
小規模宅地の特例は、さまざまな細かい規定があり、とても複雑な制度になっています。その全体を理解するのはとても難しいですが、頑張って理解するよう努めてくださいね。

農地の評価

2016年5月 FP技能士2級 学科 問58より

3.農地の価額は、農地を純農地、中間農地、市街地周辺農地、市街地農地に区分して評価する。

この記述は適切です。

4.市街地周辺農地の価額は、その農地が市街地農地であるとした場合の価額の100分の80に相当する金額によって評価する。

この記述は適切です。

過去に1級試験をも含めて、このような農地の評価に関する問題は出題されたことがありません。これはさすがに知っている方は圧倒的少数だったのではないでしょうか。

下記では農地評価に関して、試験対策としてわかりやすさを優先して、重要となるポイントを解説しています。

農地の価額を評価するに当たり、農地は次の四種類に区分して評価します。

■純農地
市町村が農業用の区域と定めた場所にある農地、農業に適した大きな面積を持つ農地であり、原則として他の用途に転用が許可されない農地がこれに該当します。
評価額は倍率方式によって、評価します。
純農地は、今後も農地として保護していくという目的もあり、比較的安い価格で評価できる倍率方式が認められています。

■中間農地
農業用として指定されておらず、農業はできるもののその生産性が低く、それほど農業に適しているとは言えない農地が該当します。
純農地と同じく倍率方式によって評価します。

■市街地周辺農地
ほとんど市街化された状況にあり、他の用途への転用が原則許可される場所にある農地が該当します。
上記の「中間農地」と下記の「市街地農地」との、中間的存在というイメージです。
評価額は、下記で解説する「市街地農地」であるとした場合の価額の80%に相当する金額となります。

■市街地農地
市街化区域内の農地、もしくは農地法4条または5条により、転用の許可を受けた農地が該当します。
もはや宅地として取り扱われることになる農地です。
したがって、下記の通り宅地に準ずる評価額となりますが、宅地に転用するのにかかる費用を差し引いた額を評価額とすることができます。
具体的には、次の算式で評価をします。

(その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価格−1平方メートル当たりの造成費の金額)×面積

「その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価格」とは、いわゆる自用地評価額のことです。
「1平方メートル当たりの造成費の金額」は、その農地を宅地に変えるのにかかる費用という意味合いで、国税庁が定めており、路線価と同じく国税庁のホームページで確認ができます。

農地は以上の4種類に分類でき、それぞれで異なる評価計算式が定められています。

ちなみに、農地と宅地とでは、宅地の方が評価額が高くなります。
したがって宅地に転用するのは、相続開始前よりも相続開始後の方が節税の上ではメリットがあるといえます。

 


 

 

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