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生命保険料控除

生命保険料控除 全般

「生命保険料控除」と「一般の生命保険料控除」の言葉の違い

2015年5月 FP技能士3級 実技(保険顧客) 問11より

<問題文は省略>

問題文と選択肢を読むと、「生命保険料控除」と「一般の生命保険料控除」という2つの言葉があることに気が付きますね。
実はこの2つの言葉は、異なる意味を持っています。それについて、整理しましょう。

「生命保険料控除」は、生命保険の保険料に応じた所得控除のことを広く指しています。
一方「一般の生命保険料控除」は、「生命保険料控除」のうち、生存または死亡に基因して保険金を受け取れる契約部分に係る保険料のことを表します。ちょっと表現が難しかったですが、おおまかには死亡保障に該当する保険料のことを、「一般の生命保険料控除」といいます。

FP試験では、「一般の生命保険料控除」のほかに、「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」の3種類があります。この3つを含む上位の概念が「生命保険料控除」という言葉で表されているのです。

更新した年の生命保険料控除の扱い

2015年5月 FP技能士2級 実技(生保顧客) 問4より

3.「現在加入している生命保険の各種特約を平成27年8月に更新した場合,Aさんが平成27年中に支払った保険料は,全額が平成24年1月1日以後の新制度における生命保険料控除の対象となります」

この記述は不適切です。
このような場合、更新前の7月までの保険料は旧制度の生命保険料控除の対象となり、更新当月の8月以降の保険料は新制度の生命保険料控除の対象となります。

少額短期保険の保険料

少額短期保険の保険料は、生命保険料控除の対象とはなりません。
少額短期保険の項目も参考にしてください。

保険料支払い方法による違い

保険料の支払いには、月払い、半年払い、年払い、一時払いの4パターンがあります。
後に書いたものほど一括で支払う金額は大きくなりますが、割引率が高くなります。

ただし一時払いの場合、所得税の生命保険料控除の適用を受けられるのは、保険料を支払ったその年のみです。
他の支払い方法だと、毎年の支払保険料に応じて、生命保険料控除の適用を受けることができます。

 

一般の生命保険料控除

特定疾病保障定期保険特約

2018年5月 FP技能士3級 実技(きんざい保険) 問6より

3) 「生命保険料控除の適用については、終身保険、定期保険特約、収入保障特約が一般の生命保険料控除の対象となり、特定疾病保障定期保険特約、介護保障定期保険特約、総合医療特約、先進医療特約は介護医療保険料控除の対象となります」

この記述は不適切です。

特定疾病保障定期保険特約は、死亡保険の一種ですから、介護医療保険料控除の対象ではなく、一般の生命保険料控除の対象となります。それ以外の記述は正しいです。

 

介護医療保険料控除

対象となる保険

2014年1月 FP技能士3級 実技(きんざい 保険顧客) 問5より
(2015年1月 FP技能士2級 学科 問14も類題)

3) 「Aさんが提案を受けている生命保険について,傷害特約,災害割増特約,入院特約,先進医療特約の保険料は,介護医療保険料控除として生命保険料控除の対象となります」

この記述は不適切です。

介護医療保険料控除の対象になるのは、その名の通り、医療行為や介護に関する給付を行う保険契約(主契約部分に限らず、特約部分も)の保険料が対象となります。一般的には、入院、通院、手術の実績があれば保険金が支払われる保険が該当します。
したがって、問題文の記述のうち、入院特約,先進医療特約の保険料が、介護医療保険料控除の対象となります。

一方、傷害特約,災害割増特約は、傷害保険の性質をもった特約です。傷害保険は、偶然かつ急激な、外来の事故を補償する保険であることを思い出してください。
こういった傷害保険の性質を持つ保険契約は、介護医療保険料控除の対象にはなりませんし、生命保険料控除の対象にもなりません。

やや深い点を問う問題でしたが、以上の内容をしっかり押さえておきましょう。

所得補償保険の保険料も、介護医療保険料控除の対象

2014年5月 FP技能士2級 学科 問17より

平成26年中に締結した損害保険契約の保険料に係る所得税の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、いずれも契約者(=保険料負担者)は個人であるものとする。

4.契約者(=保険料負担者)を被保険者とする保険期間1年の所得補償保険を契約した場合、支払った保険料は生命保険料控除のうちの「介護医療保険料控除」の対象となる。

この選択肢は適切です。意外に思われたかもしれませんが、所得補償保険は、直接的には介護や医療と直接的に関連はありませんが「介護医療保険料控除」の対象となります。

所得補償保険は就労不能になった時に払われる保険ですが、働けなくなるほどの大きなけがをしたり、要介護の状態になることで就労不能になるケースが多いから、介護医療保険料控除の適用となっているなのでしょうか?

理由は定かではありませんが、この通りに覚えておきましょう。

ちなみに、問題文にもある通り、所得補償保険は損害保険の一種です。
介護医療保険料控除は、生命保険料控除制度の一種です。
損害保険なのに、生命保険料控除制度の適用対象・・・なんだか不思議ですね(笑)

保険金受取人について

2015年5月 FP技能士2級 学科 問13より
(2013年9月 FP技能士2級 学科 問14も類題)

2.「介護医療保険料控除」の対象となる医療保険契約の契約形態は、給付金受取人が契約者(=保険料負担者)とその配偶者のいずれかであるものに限られる。

この記述は不適切です。
介護医療保険料控除は、給付金受取人が契約者、契約者の配偶者、契約者の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)であることが要件となっています。

契約者とその配偶者に限定されているわけではありませんので、保険金受取人を契約者の子供に設定しても、介護医療保険料控除の対象にはなります。

ちなみに、介護医療保険料控除だけでなく、一般の生命保険料控除も、保険金受取人の要件は同様に、契約者、契約者の配偶者、契約者の親族のいずれかとなっています。

自動振替貸付によって充当された保険料の場合

2015年1月 FP技能士2級 学科 問14より

4.自動振替貸付により保険料に充当された金額は、貸し付けられた年の生命保険料控除の対象とはならず、貸付金を返済した年の生命保険料控除の対象となる。

この選択肢は不適切です。
自動振替貸付により保険料に充当された金額は、その充当された年(つまり貸し付けられた年)の、生命保険料控除の対象となります。
なお、貸付金を返済しても、その返済年の保険料控除の対象とはなりません。
ややこしく細かい点ですが、覚えておきましょう。

個人年金保険料控除

適用条件

個人年金保険料控除の適用を受けるためには、以下のすべての条件を満たす必要があります。

したがって、下記の場合には個人年金保険料控除の適用を受けることができません。

受取人の要件

2015年5月 FP技能士2級 学科 問13より

3.「個人年金保険料控除」の対象となる個人年金保険契約の契約形態は、年金受取人が契約者(=保険料負担者)またはその配偶者で、かつ、被保険者と同一人であるものに限られる。

この記述は適切です。
個人年金保険料控除は、年金受取人が契約者またはその配偶者に限られます。
しかも、被保険者と年金受取人が同一人物であることも要件です。

ちなみに「契約者と年金受取人が同一人物」ではありません。細かいところですが、ここも理解しておきましょう。

対象外の保険

変額個人年金保険は、個人年金保険料控除の適用対象外です。
「個人年金」と名前がついていますが、変額個人年金保険は生命保険料控除が適用されます。

税制適格特約の保険料

2016年1月 FP技能士2級 学科 問14より

3.(個人年金保険に関して)税制適格特約を付加するためには、所定の特約保険料を支払わなければならない。

この記述は不適切です。
税制適格特約を付加するための特約保険料は、無料です。

税制適格特約の中途付加

2016年1月 FP技能士2級 学科 問14より

4.(個人年金保険に関して)税制適格特約は、中途付加することはできず、加入時に付加しなければならない。

この記述は不適切です。
税制適格特約を付加できる要件を満たした個人年金保険契約であっても、契約時に税制適格特約を付加するかどうかを選択できます。契約当初に付加しなかったとしても、後で付加することは可能です。
税制適格特約を付加することで、個人年金保険料控除の適用が受けられるので、税制上有利になります。

しかし、税制適格特約を付加することで、いくつかのデメリットがあります。これは試験対策テキストではほぼ触れられていませんが、下記のとおり列挙します。

このような制約が課されてしまうのがデメリットです。
たとえば保険料を払うのが苦しくなった時、払済に契約変更することはできず、また年金を減額する「一部解約」をしても解約返戻金を受け取れません。こうなると、資金繰りの観点では保険契約そのものを解約する、という選択肢しか取れなくなることもあるのです。
個人年金保険を中途解約すると、元本割れとなるケースもありえます。

なんだか厳しいように感じるかもしれませんが、生命保険料控除とは別枠で個人年金保険料控除の制度を作った背景として、老後の年金を自助努力でねん出する目的に対して、税の優遇措置を設けたという背景があるからなのです。
税制適格特約を付加する場合は、年金を受け取る年齢までの資金繰りに、十分な注意が必要と言えます。

 


 

 

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