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消費税

課税取引と非課税取引

駐車場利用料は課税対象か

2013年9月 FP技能士2級 実技(FP協会) 問10より

不動産の売買や賃貸に係る次の(ア)〜(エ)の取引に係る対価について、消費税の課税対象となるものには○、課税対象とならないものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア)地面が舗装されフェンスが整備された駐車場の月極の利用料

解答は○であり、消費税の課税対象となります。
一般的に土地の賃料は、原則として消費税の非課税取引です。ただし、下記に該当する場合には、例外的に消費税の課税取引となります。

原則事項と、例外事項を合わせて理解しておいてくださいね。

社宅の貸付は、消費税の課税取引か

2014年5月 FP技能士2級 学科 問39より

消費税の課税事業者である法人が国内で行った次の取引のうち、消費税の課税取引とされるものはどれか。

4.従業員に対する社宅の貸付け(貸付期間は1ヵ月以上)

これは消費税の非課税取引ですので、課税取引とはされません。
通常の居住用賃貸住宅は非課税取引ですが、これと同じく社宅や寮の貸付も、期間が1か月以上であれば非課税取引となります。

その他、課税取引かどうか

2015年1月 FP技能士2級 学科 問40より

1.利子を対価とする金銭の貸付け

この選択肢は、課税取引ではありません。
例えば、銀行預金の利子や、その元本に対しては、消費税は課税されません。
このほか、「利子を対価とする金銭の貸付け」に該当するものとしては、国債や社債の利子、債券の償還差益、ローンで分割払いをしたときの利息、共済や民間保険の保険料等が該当します。これらも課税取引ではありません。

2.公正証書の作成にかかる公証人手数料の支払い

この選択肢は、課税取引ではありません。
これは消費税法において定められている事項です。
他に消費税法で「課税取引でない」と定められているものに、国や地方自治体へ支払う手数料(登記手数料、住民票発行手数料など)も含まれています。
こんな細かいことまで出題されるのですが、試験対策テキストに記載がない場合には、ぜひこの機会に学んでおきましょう。

4.居住の用に供する建物の譲渡

この選択肢は、課税取引です。
居住用建物の賃料は非課税取引ですが、居住用建物の譲渡には消費税は課税されます。この違いも理解しておきましょう。

簡易課税制度

消費税簡易課税制度選択届出書の効力が発生する時期

2013年1月 FP技能士2級 学科 問40より

3.「消費税簡易課税制度選択届出書」の効力は、新たに事業を開始した場合等を除き、所轄税務署長へ提出した日の属する課税期間の翌課税期間から生じる。

この選択肢は適切です。提出した課税期間ではなく、提出した翌課税期間から効力が生じる点に注意しましょう。

特定期間の考え方

2014年9月 FP技能士2級 学科 問40より

消費税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、事業年度はすべて1年とし、課税期間の短縮に係る特例の適用は受けていないものとする。

2.特定期間(前事業年度の前半6ヵ月間)の給与等支払額の合計額および課税売上高がいずれも1,000万円を超える法人は、消費税の免税事業者となることができない。

この選択肢は適切です。
平成25年1月より導入された、消費税の「特定期間」に関する出題ですね。
この概要を理解するには多くの説明が必要になりますが、順を追って解説しますので、一つずつ理解しながら以下の記述を読み進めてくださいね。

まずは用語の説明から。
特定期間とは、選択肢にある通り、前事業年度の前半6ヵ月を指す用語です。

この特定期間の売上高が1000万円を超えると、その事業年度から課税事業者になる、ということなのです。
このルールが導入されたことにより、消費税の免税事業者となれる選択肢が狭くなり、消費税を納税する事業者を増やす効果が見込まれたというわけです。

具体例を挙げて説明しましょう。
2年前に資本金1000万円未満で設立した会社について、基準期間(前々事業年度)の売上が1000万円以下であれば、当事業年度は消費税の免税事業者になります。たとえば、次のようになります。

上記のように、当事業年度も免税事業者となり、消費税の納税は免除されます。
ところがこの特定期間の考え方が導入されると、特定期間(前事業年度の前半6ヵ月間)に売上高が1000万円を超えると、当事業年度は課税事業者になるのです。したがって上記の例の場合、次のようになります。

このように、従来は免税事業者であったものが、課税事業者に切り替わる場面が増えることになるのです。
したがって、実質的には事業者にとって消費税の増税効果が生まれたわけです。

なお、「売上高が1000万円を超える」という条件を「給与支払額が1000万円を超える」に切り替えて判定をすることもできます。
したがって、特定期間(前事業年度の前半6か月)で売上高が1000万円を超えても、給与支払額が1000万円以下であれば、免税事業者を選択できるので、課税事業者にならずに済みます。
逆に言えば、特定期間において売上高が1000万円を超えており、かつ給与支払額も1000万円を超えていれば、もはや免税事業者とは認定されず、課税事業者となるのです。

したがって、本選択肢の記述にある「給与等支払額」という言葉を含めても、本選択肢は適切と言えるのです。

※問題文の前提に「課税期間の短縮」という言葉がありますが、これについては本ページの該当箇所で解説しています。参考にしてくださいね。

消費税の課税期間の短縮制度

2012年1月 FP技能士2級 学科 問39より

概要

通常、消費税の課税期間は1年間であり、申告と納税も1年ごとに行います。
この1年という期間を、3か月または1か月に短縮できる制度があり、これを消費税の課税期間の短縮制度といいます。短縮した期間ごとに、消費税の申告と納税を行います。

メリット

高額の消費税の還付を毎年受けられるようなビジネスを行っている場合、通常なら年に1度しか消費税の還付が受けられず、期中の資金繰りが大変になる場合があります。3か月の課税期間なら1年に4回、1か月の課税期間なら年に12回の還付が受けられるようになり、資金繰りの改善に役立てられます。
また、課税期間の短縮は、年の途中で切り替えることもできるため、年度末を待たずに、簡易課税制度を選択したり、課税事業者への選択を行うことができるようになります。

デメリット

3か月の課税期間なら1年に4回、1か月の課税期間なら年に12回の納税と申告の業務を行わなくてはならなくなるので、その分、事務作業が増加します。
また、簡易課税制度や課税事業者の選択と同じく、課税期間の短縮制度を選択すると、2年間は継続して適用されます。選択から2年以上経たないと、課税期間の短縮を取りやめることができません。

申告・納税期限

通常の消費税の申告と納税期限は、個人事業者は翌年3月31日まで、法人事業者の場合は事業年度末日の翌日から2か月以内となっています。
消費税の課税期間の短縮制度を適用すると、申告・納税期限は以下のようになります。

3か月の課税期間を選択した個人事業者

1〜3月分:5月31日まで
4〜6月分:8月31日まで
7〜9月分:11月30日まで
10〜12月分:翌年3月31日まで

1か月の課税期間を選択した個人事業者

1月から11月分:各期間の末日の翌日から2か月以内
12月分:翌年の3月31日まで

3か月の課税期間を選択した法人事業者

事業年度の開始日以降3ヶ月ごとに区分した各期間(最後に3ヶ月未満の期間が生じたときは、その3ヶ月未満の期間)の末日の翌日から2ヶ月以内

1か月の課税期間を選択した法人事業者

事業年度の開始日以降1ヶ月ごとに区分した各期間(最後に1ヶ月未満の期間が生じたときは、その1ヶ月未満の期間)の末日の翌日から2ヶ月以内

中間申告

2012年9月 FP技能士2級 学科 問39より

4.直前の課税期間の消費税の年税額が一定の金額を超える事業者は、原則として、中間申告を行う必要がある。

選択肢4は適切です。直前の課税期間の消費税の年税額が48万円(地方消費税の12万円を含めると計60万円)を超える事業者は、中間申告を行う必要があります。

このように中間申告を行うかどうかの境目となる税額も、暗記しておきましょう。

課税仕入れと納付税額との関連

2016年9月 FP技能士2級 学科 問38より
(2018年1月 FP技能士2級 学科 問38も類題)
(2019年5月 FP技能士2級 学科 問39も類題)

3.その課税期間に係る課税売上高が5億円以下の事業者で、課税売上割合が95%以上の場合の消費税の納付税額は、原則として、課税売上に係る消費税額から課税仕入に係る消費税額を控除した残額である。

この記述は適切です。
問題は難しい言い回しの表現になっていますが、用語「課税売上割合」とは、売上高のうち消費税が課税された金額の割合のことを表します。

本記述の解説に移りますが、「課税売上高が5億円以下でかつ課税売上割合が95%以上」の場合には、
(売り上げの際に顧客から受け取った消費税額の全額)−(仕入れの際に業者に支払った消費税額の全額)
を、国に納付する、ということです。このように理解をしてください。

一見すると当たり前のように思われるかもしれませんが、これが「課税売上高が5億円以下でかつ課税売上割合が95%以上」を満たさなくなると、国に納付する消費税額は次のようになるのです。

(売り上げの際に顧客から受け取った消費税額の全額)−(仕入れの際に業者に支払った消費税額の「一部」)

仕入れの際に払った消費税の全額を控除できず、一部しか控除できなくなるのです。
その理由を簡単に説明すると、仕入れたものは必ずしも消費税が課税される売り上げのためだけに使われるとは限らないからです。例えば、仕入れたものが、消費税の課税売上のために使われず、

というケースもあり得ます。当初は販売のための仕入れのつもりであっても、最終的にその会社で消費した場合(つまり課税売上とはならなかった場合)は、その仕入れにかかる消費税額を控除することはできないのです。
言い換えると、仕入れたものを課税売上につなげた場合に限り、仕入れの消費税額を控除してもらえる、ということなのです。

もう少しわかりやすくなるよう、具体例で説明してみます。
東日本大震災が起こった2011/3/11の日、東京ディズニーランドでは帰宅困難となった来場者に対して、お土産販売店にあったお菓子などの食品を無償で提供する措置を取りました。
これは、緊急事態において非常に親切な対応であったと評価されました。
しかしディズニーランドにとっては、お土産の売り上げを失った上に、課税売上とならなくなったため、その仕入れで支払った消費税を控除してもらえなくなり、消費税の納税負担も大きくなったというわけなのです。
見方を変えると、そのお菓子の最終消費者が、ディズニーランドとなったため、ディズニーランドが消費税を負担するのは当然ともいえます。

本来はこのように、最終的に課税売上とはならなかったものに対する仕入れについて、支払った消費税を控除することはできません。
ですが本記述のように「課税売上高が5億円以下で、課税売上割合が95%以上の事業者」の場合には、例外的に、課税売上となったかどうかに関係なく、すべての仕入れに対する消費税額を控除することができるのです。

実務上、これによって納税額が多少少なくなるメリットがありますが、中小企業にとってはそれ以上に、経理処理が煩雑にならなくて済むというメリットのほうが大きいでしょう。

少々長くなりましたが、2級試験対策としては、ひとまず上記の概要を理解しておけばよいでしょう。
ここではこれ以上の詳細に踏み込みません。さらに詳しいことを知りたい場合は、税理士に挑戦するとき、また消費税の経理を担当することになったときに、別途正確に勉強してくださいね。

 


 

 

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