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贈与・贈与税

相続時精算課税制度の使いどころ

将来値上がりする資産に対しては有利

相続時精算課税制度では、贈与時点の評価額で贈与税額を計算します。
そのため、将来値上がりする資産の場合は、値上がりする前の評価額で評価できるので、その分得になります。

将来発展が期待できる場所にある土地や、成長の軌道に乗りつつある会社の自社株などでは、有利になります。

「値下がり」が予想される資産に対しては不利

時間とともに価値が下がる建物を相続時精算課税制度で贈与すると、相続発生時には高値で評価されてしまいます。
なぜなら、年の経過とともに、建物の評価額は下がるためです。

また、将来に賃貸物件として利用予定の土地も、不利になります。
なぜなら、相続発生時に賃貸マンションが建設されていれば、相続発生時の方が評価額が下がるためです。

2500万円以下の財産に対しては有利

110万円を超えるが、2500万円以下の範囲の財産を贈与する場合は、贈与税額支払の観点で相続時精算課税制度は有利です。
なぜなら、通常の暦年贈与の場合だと贈与税が課税されてしまいますが、相続時精算課税を使えば、贈与した年に贈与税は発生しないからです。

多額の資産を贈与したい場合は有効でない

この場合は、相続時精算課税制度は使わず、暦年贈与で資産を移転し、低率の贈与税を支払う方がよい場合があります。こうすることで、相続時に発生する相続税額を下げる効果も期待でき、贈与税と相続税のトータルの支払税額を抑えることができるためです。
相続時精算課税制度には、暦年贈与のようなトータルで見た時の税の低減効果はありません。そのため、多額の資産がある場合は、相続時精算課税制度はあまり有効ではありません。

収益不動産の贈与で、相続税の減税効果

相続時精算課税制度で贈与した不動産自体は、将来の相続税の課税対象となります。しかし、その不動産から得られる賃料収入は、受贈者である子に帰属します。
親がその収益不動産を持ち続けると、親が得た収益金が将来的に、相続税の課税対象となってしまいます。しかしその収益不動産が子に贈与されていれば、収益金は子の固有の財産となり、相続税の課税対象とはなりません。
こういった点から、収益不動産を相続時精算課税制度で贈与すると、相続税の減税効果が期待できます。

贈与した資産が滅失すると不利になる

相続時精算課税制度で贈与した資産が、相続前に減失した場合でも、被相続人の死亡の時点で、相続税の課税対象として扱われてしまいます。通常、被相続人が死亡した時点で、被相続人が保有していた資産が減失してしまっていれば、それに相続税が課税されることはありません。

たとえば、贈与後において不動産が火事のため失われた場合や、贈与を受けた金融資産が泥棒によって盗まれてしまった場合がこれに該当します。
このような場合には、相続時精算課税制度を利用した方が結果的に、相続税額が上昇してしまいます。

養子に対する相続時精算課税制度の適用

養子も、相続時精算課税制度を利用することはできます。
ただし、養子縁組をした後に、養子に対して贈与された財産についてのみ、相続時精算課税制度の適用対象となります。

相続時精算課税制度を適用後に贈与を受けた後、養子縁組の解消が行われる場合もあります。
この場合、養子縁組を解消した後も、その贈与者との間に相続時精算課税制度が適用され続けます。養子縁組の解消により、暦年贈与に戻ったり、解消の時点で税金の精算が行われるということはありません。

贈与税

連年贈与の注意点

毎年贈与を繰り返すことを、連年贈与といいます。
年間110万円の控除額内で毎年贈与を繰り返すことで、贈与税の課税を抑えることができます。

しかし、定期金の贈与とみなされた場合は、この限りではありません。
定期金の贈与とは、「今後10年間、100万円ずつ贈与する」のような贈与の仕方です。
この場合、一連の贈与を初年度に「一つの1000万円の資産を贈与した」とみなし、贈与税の計算がなされます。

これを避けるには、毎年異なる贈与が行われていることを示さなければなりません。
毎年個別に贈与契約書を用意したり、何らかの理由に基づいて毎年の贈与額を計算しなおす(1000÷10のような単純な割り算ではない計算に基づく)などの方法があります。
また、贈与する金額の総額を、最初から決めないこともポイントです。

贈与税の配偶者控除

将来建物を売却することを考えている場合、贈与税の配偶者控除の制度を適用し、建物の一部を贈与して夫婦両者で登記すると有利です。なぜなら、居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除が、夫と妻の両方で使えるため、6000万円までの譲渡益に対して税金がかからなくなるからです。

 

 

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