遺産が確定できず分割もできないという相続トラブルの解決&防止法
勉強会当日に、プロジェクターで投影していたメモは、下記のとおりです。
1つ目の事例
不動産は誰のものなのか?
10年前に兄が購入した売買契約書や領収書などの証拠を確認する。
(もしあれば、残念ながら父の財産でないことは確定する)
兄が、そのような証拠書類はない(なくした)と主張すれば、裁判で決着する。
証拠書類がない場合に、登記から父のものだとは厳密にはみなせない(登記には公信力がないため)
父の財産かどうかわからない中なので、遺産を保全するために「遺産分割の禁止」を使うのも一つの方法。
ほかに財産があるのでは?
他に財産があると思った人が、財産の存在を調べなければならない。
父の納税証明書、母の相続税申告書、母の遺言書、遺産の受取状況などから調べを進め、口座の存在を確認する。
証券口座の年間取引報告書など、郵便物から他に金融機関口座がないか調べる。
金融機関に問い合わせて、父の口座の入出金状況をさかのぼって確認する(相続人であれば行える)
心当たりがありそうな金融機関に、手当たり次第問い合わせをかける。
10か月以内に(後の財産はないとして)相続税の納税はする。
税務署は、被相続人の財産を洗い出してはくれない(それは相続人の役割だから)
2つ目の事例
相談者の主張を通すと、兄弟間で不満が出るのは避けられない。
7000万円の財産を、相談者側が譲歩して少なめにもらい、解約した保険の分を、他の兄弟に振り分けて、保険金を全額受け取る、というやり方でバランスをとる。
他の兄弟に特別受益があるかを確認して、保険金を受け取ることで平等になるように、証拠を探す。
保険金は特別受益になる?
一般的には受取人固有の財産となるが、相続財産に対する比率が高いほど、家庭裁判所で否認される傾向がある。
特別受益が認められないラインは、金額や割合で決められてはおらず、個々のケースで個別に判断される。
看病の度合いを聞く(寄与分)
寄与分はなかなか認められない。実際に(父に)かけた費用を洗い出す。
その度合いによって寄与分が認められるかもしれない。
父が兄弟の保険を解約したことは、尊重されるべき。
(亡くなった人の意思だから)