ややこしいFP1級試験の仕組みと受験資格
FP1級 取得の流れ
FP技能士1級の資格を取得するための条件はただ一つ、実技試験の合格です。
3級2級の場合は、学科と実技の両方に合格する必要がありましたが、それとは異なります。
FP1級試験にも学科と実技がありますが、学科の受験有無に関係なく、実技試験の合格により、FP1級資格取得となるのです。
FP1級実技 受験資格
そのFP1級実技試験ですが、2級や3級の実技試験とは異なり、実技試験自体に受験資格があります。
実技試験を受験できるのは、以下のいずれかの条件を満たした人のみです。
- FP1級の学科試験に合格していること。ただし学科合格日の翌々年度末(3月)までの有効期限があります
- CFP認定者であること
- CFP認定者でない場合で、CFPの審査試験6課目すべてに合格していること。ただし6課目に合格した日の翌々年度末(3月)までの有効期限があります
したがって、実技試験を受験するためには、FP1級学科試験に合格するか、CFPの6課目すべてに合格するかの、いずれかをクリアしなければなりません。
さらに、FP1級学科試験とCFP試験も、それぞれに受験資格があります。
FP1級学科 受験資格
FP1級学科試験の受験資格は、次の通りです。
- FP2級を取得し、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
- FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者
2級試験の合格だけでなく、実務経験まで求められます。ここでいう実務経験が何を指しているのかについて、きんざい(金財)が下記の通り指針を示しています。
次のいずれかに該当する方の多くは概ね「実務経験を有する者」といえます。
・銀行、保険会社、証券会社、クレジット会社等の金融機関に勤務している方
・保険会社の代理店の職員
・税理士、公認会計士、不動産鑑定士、宅地建物取引主任者、社会保険労務士、中小企業診断士、弁護士、司法書士、行政書士などで資産に関する相談業務に従事している方
・会計事務所の職員
・不動産会社、建設会社など土地建物の取引・建築・相談業務に従事している方
・投資顧問会社の職員
・生活協同組合などの共済等担当職員
・商品先物取引会社の職員
・一般事業会社および官公庁の福利厚生担当者および金融・財務・経理担当者
・商事会社の商社金融担当者、商事会社やコンピュータ会社等の金融機関営業担当者およびソフト開発担当者
なお、金融機関に勤めていなくとも、ボランティア等の形態でマネーに関するコンサルティング活動を行っていれば、実務経験に含まれると説明されたサイトもあります。しかし、試験機関であるきんざい(金財)が発表していることではありません。
もし実務経験に該当しているのかどうかが気になれば、遠慮なくきんざい(金財)に問い合わせてみてください。問い合わせた結果、「それは実務経験として認められる」と、きんざいから回答を得られることもあるからです。
念を入れるなら、通話内容も録音しておくとよいでしょう。
5年の実務経験があれば、いきなりFP1級学科を受験することもできます。しかしこれは相当に無謀な挑戦といわざるを得ません。その理由は、次の通りです。
- どのような立場で5年の実務経験があったとしても、それでFP1級の出題内容をカバーできる知識を得ていることはほとんどない
- FP1級試験対策テキスト、問題集の解説は、2級レベルの知識があることを前提で書かれている。その前提知識がない人がいきなり1級の書籍を読んでも、理解することは困難
したがって、2級資格を持っていない人は、まずは2級から取得することをお勧めします。
どうしても実務経験に該当する期間がなく、FP1級学科を受験できない場合は、下記で述べるように、CFPに合格してFP1級実技試験の受験資格を得ることができます。実務経験はなくても、最終的にFP技能士1級の資格を取得することは可能なのです。
CFP試験受験資格
CFPの6課目受験に当たっては、実務経験は求められません。ただしAFPの資格を取得し、FP協会の会員であることが必要ですので、これが事実上の受験資格となります。