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FP1級よりCFPを取った方が良い、は本当か?

FP1級とCFPなら、CFPのほうがいい!と説明する人たちが、ある一定数います。
ですが逆に、FP1級のほうがいい!という人は、それほど多くはありません。
そのような背景から、これからFP1級を目指すよりCFPを目指した方がよさそうだと判断される方がいらっしゃいます。

しかしそれでも私個人的には、FP業界・金融業界を長く見ている私は「FP1級とCFPは、資格の価値に特段の優劣はない」と考えています。
そう考える理由を、このページでは説明していきます。

CFPのほうがいいという人は、なぜそう考えているのか

CFPのほうが優れているという人には、ある一定の傾向が見られます。
ここでは、CFPのメリットについて、考えてみましょう。

CFP資格の運営元であるFP協会と、商取引関係にある資格スクール

資格スクールの中には、CFPの試験対策講座を取り扱っているところがあります。
そこでは、1級FPとCFPのどちらかで迷っている受験生に対しては、積極的にCFPを勧めます。
当勉強会で多くのFP1級受験者の方ともお話をしていますが、スクールの説明で「CFPを積極的に勧められた」「FP1級はやめたほうが良いと言われた」とお話をされる受験者もちらほらいらっしゃいます。

ちょっとした裏事情ではありますが、資格スクールにとっては、きんざいと組んでFP1級受験者を増やすより、FP協会と組んでCFP受験者を増やした方が、収益を得やすい一面があります。
FP協会は、積極的にAFP・CFP(=FP協会の会員)の人数を増やしていこうと努力しています。なぜなら、会員からの年会費や、単位更新による研修などによってFP協会に収入が生まれるためです。
そのため、FP協会は資格スクールと提携して、会員を増やす努力をしています。資格スクールもその勢いに乗って収益を上げられやすいわけです。
いっぽうで、きんざいのほうはそこまで積極的に会員を増やそうとはしていません。FP1級保持者が増えようとも、きんざいが直接的に利益が得られる構図にはなっていないからです。

以上の観点で「CFPのほうがいい」と言っているのは、資格スクール関係者やFP協会関係者が、自分の利益・メリットのために言っている、と説明することができます。

FP協会と商取引関係にある個人FP

テレビや雑誌で活躍しているファイナンシャルプランナーの中には、FP協会とも商取引関係にあるケースは多いです。
具体的には、次のようなケースです。

このように、FP協会のおかげで収益を上げている人は、当然ながらFP協会を持ち上げたり、CFPの宣伝塔となって活動することがあります。このような立場の人は、「CFPのほうが優れている・おすすめです」と立場上言うことにはなります。

また、FPに興味を持つ人ほど、FP協会の活動に触れる機会が多く、結果的に「CFPのほうが優れている」と感じるわけです。

一方でFP1級の資格のほうには、このような構図はほとんどありません。
きんざいのほうで行っているビジネスで、FP技能士1級という肩書で紹介されたり活動している人もいますが、人数としては少数です。

CFPの資格にメリットがあるかどうかは、このような「発言者の立場」を割り引いて、考える必要があると言えます。

以下は補足情報

ここまでを読んで、ピンときた方もいらっしゃるでしょう。
「ならばCFPの資格を取り、FP協会と提携すれば、稼げるFPになれる」と。
確かにその一面はありますが、そういう立場になれるのはごく少数の実績ある人だけです。
その実績とは、資格の有無に関係なく積極的に活動するFPと世間で認識されるようになるか、もしくはFP協会が開催する企画でボランティアとして参加しまくり(無報酬です)、FP協会にその働きを認めてもらって認知度を上げるか、です。

しかし、そもそもFP協会に認めてもらうために、CFPを取ろうと思う人はまずいないでしょう。
「CFPの資格を取り、FP協会と提携すれば、稼げるFPになれる」という発想は、小さい論点であり、そこはこだわるべきではないと考えています。

CFPのほうがFPの質を高く保てる、と考えている人

CFPの資格は、2年ごとに更新があります。
更新をするためには、単位を取らなければならないのですが、単位を取るためにはFPの6分野に関する学習を積まなければなりません。
一方でFP1級のほうは、一度とれば永久に有効な資格であるため、勉強せずに知識を失う人もいます。
この両者を比較して、常に研鑽を行い最新の知識を維持できるCFPのほうが優れている、と表現されているわけです。

しかしこの理屈に否定的な人も多いです。
その一つの理由は、単位を取るために必要な学びのレベルが、FP2級レベル、ときに3級レベルのものも多いためです。
難易度の高いCFPの資格を取得した知識レベルが、3級程度の学習によって「維持できている」というのは、ちょっと無理があります。
私も全く同感であり、CFP保有者と話をしても、FP3級・2級で勉強したことをすっかり忘れてしまっている人にもよく出会います。
(誰しも、使わない知識は忘れてしまうので、やむを得ない一面はありますが・・・)

もう一つの理由として、CFP保有者であっても、FP1級保有者であっても、日々研鑽している人はいるわけです。
私自身も、FP1級レベルの知識が仕事上も求められているので、最新の法改正も積極的に学び、FP6分野の専門家の方をサポートできるよう、知識の維持をはかっています。
この私は、CFPの資格は保有していません。私に限ったことではありませんが、CFPを保有していなくても、1級レベルの知識をもって業務をしている人はいるものです。(全員が、というわけでもありませんが・・・)

以上の点から、更新性であるCFPのほうがFPの質を高く保てる、とは一概には言えないのです。

FP協会が好きである人

FP協会が好きな人、FP協会に所属していることに価値を感じている人、FP協会の取り組みを一緒に盛り上げている人、がある一定数います。
そういう人は、単純に仲間を増やしたいという思いで、AFPやCFPをお勧めする傾向があります。
FP協会は、FP同士の横のつながりを作る取り組みもしているので、こう思う方が多いのです。

一方で、FP1級のほうには、このような思いで勧誘する人はほとんどいません。
FP1級取得者の集まり、というものもありません。

このネットワークの熱さとでもいいましょうか、その違いはありますね。

CFPを捨てる人もいる

ここまで、CFPをお勧めする人たちの意見をご紹介してきました。
それとは逆に、CFPの資格を捨てて、FP1級の資格だけを残す人も年々増えています。
以下では、CFPを捨てる人の考え方も、ご紹介します。

払うお金に対して得るものがないから、CFPを捨てる

CFPを捨てる一番の理由は、「FP協会に支払うお金が無駄に感じた」というものです。
CFPの資格を維持するためには、FP協会への年会費、CFPライセンス料、単位取得のための費用など、年間3万〜5万円ほどかかります。
それだけの費用を払っても、得るものがないと感じた人は、CFPのライセンスを捨てる決断をしていっています。

FP協会の方針に賛同できないから、CFPを捨てる

資格を取った以上は、お金の知識を活かして社会に対して価値を発揮していきたい、と考える方は多いです。
みなさんも、そのような思いをお持ちかもしれません。

その思いを実現していきたいという意欲を持って、CFPの資格を取り、FP協会に入会する方もいます。
しかし、FP協会がなかなかそこに踏み込んで活動をしないことに不満を持ち、FP協会を退会する(CFPを捨てる)方もいます。
私が知る限り、この理由でCFPを捨てる人は少数派ですが、FPの価値を真剣に考える人に見られる傾向です。

FP協会は、一般の方向けにセミナーやイベントを企画をしています。
このような、FPの価値を社会に伝える取り組みは、以前に比べて頻度も多くなっているようには思います。

しかしCFPを捨てた人がおっしゃるのは、「社会に価値を届けること以上に、FP協会の会員を増やすことに一生懸命になりすぎている」ということです。
実際、FP協会は多額のお金をかけて、CFPの宣伝をしています。
新聞の一面丸ごと使用している広告を、見たことある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
おそらく数千万円をかけて、「CFPの普及活動」をやっているのですが、そのお金があるなら社会に対して直接的にFPの価値を届けることができるはずだ、と思う人もいるわけです。
その資金は、FP協会の会員(=AFP・CFP保有者)から徴収したものです。
そのお金の使い方をみて、FP協会の方針に賛同できず(=会費の使われ方に納得がいかない)、CFPを捨てる決断をされたというわけです。

FPの方とお話しする中でも、FP協会がCFP普及活動にお金を使いすぎている、と感じている人はある一定数います。

この理由でCFPを捨ててしまうのは、私個人的にはちょっと残念には思います。
こういう思いの方こそ、社会に貢献するFPの素養を持っているはずですから。

どれくらいの人が、CFPを捨てているのか

CFPの6課目に合格して、正式にCFPのライセンスを取得する人が毎年一定数います。
その一方で、CFPの資格を捨てる人も、ある一定数います。
それを差し引きすると、CFPを現時点で保有している実人数は、わずかずつしか増えていません。

参考までに、2017年の数字を使ってご説明します。
2017年には2回、CFPの試験が行われました。
1回目の試験で6課目全て合格となった方は493人。
2回目の試験で同じく6課目全て合格となった方は544人。
これを合計すると、1037人です。

一方でCFPの資格保有者数は、
2017年1月1日時点で、20754人。
2018年1月1日時点で、21164人。
差引すると、410人しか増えていません。

この2つの数字を引き算すると、1037−410=627人が、CFPを捨てた、もしくは6課目合格したがCFPを保有しなかった、ということになります。
試験に合格するタイミングと、正式にCFPの資格が与えられるタイミングがずれるので、多少の誤差はあるはずですが、毎年ある一定数がCFPを捨てていることが分かります。

FP協会は、CFP合格者数のほうを強調してPRをしていますが、現在の保有者数が増えていることを強調していないのは、そこが理由となっているのです。

疑問に思いながら、AFP・CFPを保有し続けている人も多い

CFPを取った方が良いのか疑問に思われている方は、身近にいるCFP保有者に「CFPを持っているメリットは何ですか?」とズバリ聞いてみて下さい。
実際の声が、参考になるはずです。

私も多くの方とCFPのメリットについて話題にすることがありましたが、CFPのメリットをしっかり語れる人はほんの一握りです。
ほとんどの人は、CFPのメリットが何か、あまり体感をできていないです。
そんなFPの方に、私はよく次の質問を続けています。

「CFPのメリットがあまりないのに、なぜお金を払ってまでCFPを持ち続けるのですか?」と。

この質問をすると、皆さん答えに詰まってしまい、戸惑ってしまいます。
(困らせるつもりは、まったくないのですが・・・)

返ってくる多くの答えは、「せっかくとったCFPを失うのがもったいないから」というものでした。
確かに苦労してとったCFPの資格です。一度失うと、もう一度あの6課目の試験をクリアしなければならず、簡単に取り返せないと思うからです。
(結局、FP協会の単位認定制度が、CFPのレベルを維持できていないことの証明になってしまうのですが・・・)

それに、CFPを取って以降お金もつぎ込んでいますから、そろそろCFPの資格からメリットを得るタイミングにしたい、という気持ちもあるわけです。
でも、そう思いながら3年、4年・・・と年数が経ってしまっている方も多くいます。

皆さんはこのお話を聞いて、どう思われるでしょうか?
誰しも最初は、そういう思いになるとは思ってはいません。
でも現実に、お金がもったいないと思いつつも、CFPを保有し続けている方が多くいるのです。
もしかしたら、皆さんもこれと同じ運命をたどることになるかも知れません。
そこを心配するなら、CFPの活用法をしっかり見定めてから、CFPの資格取得を始めても、遅くはないと私個人的には思っています。

対価に見合った資格と思ったらCFPを取りましょう!

FP1級試験の勉強会を運営している立場上、多くの方から「CFPの資格は取った方が良いのでしょうか?」と質問をいただきます。
それだけ、皆さん関心があるテーマだからなのでしょう。

この質問に対して、私は「対価を払うに見合った資格と思ったら、CFPを取ってください」といつも説明しています。

を皆さんそれぞれ考えて、結論を出していただければと思います。

ちなみに私は、対価に見合う資格だと感じませんので、CFPの資格は持っていませんし、今後保有する意向もありません。
正確に言うと、2年だけAFPの資格を持ち(1級FP・AFPというアンバランスな肩書・・・笑)、FP協会の活動も行ったことがありますが、その後更新はせず退会しました。

仕事上どうしてもCFPを持つ必要に迫られたら、またAFPから頑張って取ろうとは思っています。
(その必要性に迫られたことは、かつて一度もありませんが・・・)

最初に書いた結論になりますが、FP業界・金融業界を長く見ている私は「1級FPとCFPは、資格の価値に特段の優劣はない」と考えています。
1級FPとCFPとで、学ぶ知識に多少の違いはありますが、高度な金融知識を幅広く学べる点は同じです。
しかしどちらの資格を取っても、それ以後の取り組みにより、知識を維持している人は維持していますし、勉強したことを忘れてしまう人はどちらの資格にもいるからです。

決定的な違いは、やぱり資格の保有にかかるコストと言えるでしょう。

 

これからCFPの取得を検討されている方にとって、以上の内容が参考になりましたら幸いです。
私が運営している勉強会でお会いする機会があれば、CFPについての率直なご意見をいただけると嬉しいです。

 

 

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