FP3級と2級 テキスト(参考書)や問題集選びのコツ
このサイトで繰り返しお伝えしていることですが、FP技能士試験を受けるうえで大切なことは、
まず実技試験を選択
→ それに応じて受験する試験機関を選択
→ 受験する実技試験に適したテキスト(参考書)、問題集を選ぶ
という点です。
つまり、試験対策テキスト(参考書)や問題集を買う前に、どの実技試験を受けるか(=どの試験機関で受けるか)を決定しておく必要があります。
もう一つ大切なことがあります。
それは、市販のFP試験対策テキスト(参考書)や問題集は、複数種類ある実技試験のうち、一部にしか対応していないということです。言い換えると、1冊の本で、全ての実技試験に対応しているものは存在しないのです。
だからこそ、自分の受験する実技試験に対応したテキスト(参考書)、問題集を手に入れるべきなのです。
選択した実技試験と関係のないテキスト(参考書)・問題集を買ってしまうと、適切な試験対策学習ができなくなってしまいます。 間違ったテキスト(参考書)や問題集を購入してしまう方もいらっしゃるので、十分にご注意ください。
以下では、受験対策のテキスト(参考書)や問題集を選ぶ時のポイントについてお伝えします。
学科対策の教材
学科試験は、全ての受験者で共通の内容であるため、基本的にはどのテキスト(参考書)・問題集も対応しています。
ただし、学科試験ではなく、実技試験のみに対応したテキスト(参考書)や問題集も少数ですが存在しますので、購入時には注意してください。
実技試験対策の教材
実技試験は、いくつかある種類の中から1つを選択し、受験します。
実技試験対策の教材選びでは、ご自身が受験する実技試験に対応したテキスト(参考書)・問題集であるかを十分ご確認のうえ、購入してください。
自分が受験しない実技試験の教材を誤って買ってしまうと、適切な試験対策ができず、高得点を狙う十分な学習ができなくなります。
どの実技試験に対応しているかは、テキスト(参考書)によりばらつきがあります。
きんざいの実技試験だけを想定して構成している書籍もあれば、FP協会の実技試験だけを想定して構成している書籍もあります。
表紙や目次をみても、どの実技試験に対応しているのか記載がないものもあるので、ご注意ください。
どの実技試験に対応しているのか明確でない書籍は、買わない方が無難かもしれません。
なお、2級のきんざい損保顧客と、きんざい中小事業主の実技試験を受験する方は、さらに注意が必要です。
この2つの実技試験に対応した書籍はほとんど存在せず、大型書店にすら売られていない場合もあります。
手に入れるのに時間がかかる可能性もあるので、手配は早目に行いましょう。ネットで購入するのがお手軽です。
世間の「おすすめ」書籍は、それほどあてにはならない
書店に行くと、FP試験対策のテキスト(参考書)や問題集はたくさん種類がありすぎて、どれを買えばよいか悩んでしまうほどです。
ネットで調べると、おすすめの書籍を紹介しているサイトがいくつもあります。
この本がいい!オススメ!など、書籍の比較サイトも山のようにあります。
一見すると、書籍選びで悩む受験者の強い味方のように思います。
しかしこれらの比較サイトは、それほどあてにならないと思った方が良いです。
なぜなら、これらのサイトは、テキスト(参考書)や問題集の中身を詳細に分析した結果を発表しているわけではないでしょう。
単なるアフィリエイト目的で紹介している、と考えるのが妥当です。
どんな理由であれ、あなたがクリックして実際に書籍を購入するなどのアクションを取らせることで、収益を上げようと考えている人たちなのです。
そもそも、10冊近くも試験対策テキスト(参考書)の内容をしっかり比較する人など、出会ったことも見聞きしたこともありません。
(筆者は実際にやっているので、そういう話を誰かとしたいと思ってはいますが・・・)
受験者であるあなたのことを、真剣には考えてくれていないのです。
今や口コミが主流の時代です。
ランキングや比較サイトを頼りにしたくなる気持ちもわかります。
ですが、上記の理由を割り引いて考えることが必要で、本当にあなたのためになっているのかを客観的な視点で考えてみてください。
実際に複数社の試験対策テキスト(参考書)を比較した筆者が思うこと
筆者は勉強会の運営に当たり、実際に複数社の試験対策テキスト(参考書)を読んでいます。
過去に出題された問題に対し、その問題の答えとなる記述がどの出版社のテキスト(参考書)に記載されているかを、調査することがあるためです。
実際に過去問と突き合わせ、複数社のテキスト(参考書)を比較した筆者が感じていることをお伝えします。
3級のテキスト(参考書)を比較して感じていること
まず3級の試験対策テキスト(参考書)ですがどの出版社も大きな差はありません。かなり乱暴な言い方をすれば、どの出版社の書籍を買っても合格には達することができます。
なので、必要以上に神経質になる必要はないでしょう。
2級のテキスト(参考書)を比較して感じていること
一方の2級のテキスト(参考書)は、
- どの出版社も、過去問の6〜8割ほどしかカバーできていない
- 出題範囲を完璧の網羅したテキスト(参考書)は、存在しない
- だから、テキスト(参考書)に載っていないこともある一定数は出題される
のです。言いかえると、お使いの試験対策テキスト(参考書)を使って勉強しても、知らない世界からの出題が全問題数の2〜4割はあるということです。
2〜4割と書きましたが、書籍によってばらつきがあります。過去問の対応率が高い書籍もあれば、ガッカリするほど低いものもあります。
「カバー率95%」などという書籍は、実際には95%をカバーしていません。
(その理由も書籍中に目立たないように書かれています)
試験本番では、まったく知らない世界からの出題であっても、選択肢を消去法によって絞り込んで正解する確率を上げることはできます。
しかしながら試験対策テキスト(参考書)が十分に対応しきれていないがゆえに、テキストでしっかり勉強しても、やむなく不合格になる方が3級に比べて増えています。
これが、2級の合格率がかなり低くなっている最大の原因と考えています。
(他の合格率が低い難関資格に共通して言えることです)
読みやすい本ほど、抜けは多い
出版されている試験対策テキスト(参考書)はさまざまです。
ただ、全体的に言えることは、読みやすい本ほど抜けが多いです。
つまり、実際の出題範囲に対する網羅率が低い、ということです。
ここでいう読みやすい本とは、ページ数が薄いもの、とにかくわかりやすさが重視されているもの、他社と比較して図やイラストの比率がかなり高いものです。
これらの書籍は、スラスラ読めて内容もすぐに理解でき、サクサクと学習を進められる感覚になれます。つい選びたくなる本ですが、たとえ読みやすくても、合格に必要な知識が得られないなら意味がありません。
この手の書籍で勉強をしていると、試験追い込みの後半で苦しくなることがあります。
試験勉強の後半に入ると、問題集や過去問をたくさん解いて勉強することになります。
問題を解いたときに不正解になり、正しい知識をもう一度勉強しようと、テキスト(参考書)を読み直すことが増えてくるでしょう。
この時、記述量が少ないテキストを使っている人は、該当の記述が「持っているテキスト(参考書)に全く載っていない」ことに、気が付くのです。
解説がないので、なぜ間違えたのか、何が正しいのかが分からないままになってしまいます。
このような経験が重なると、「自分が買ったこのテキスト(参考書)で本当に合格できるのか?」と不安が増幅してしまいます。
抜けが多い本を選んでしまったことは、試験日が迫ってくる後半にならないと気が付かないのです。
したがって、購入するテキスト(参考書)には、それなりに情報量が必要であることを、ぜひ意識してください。
分厚い本は、網羅率が高い傾向がある
一方、受験者がウンザリするような分厚いテキスト(参考書)や、絵や図が少なく、ひたすら文字で解説されているテキスト(参考書)は、逆に試験に対する網羅率は高い傾向があります。
これらのテキスト(参考書)をしっかり読みこなし、隅々まで暗記できるのなら、十分に合格圏内に入れます。
しかし、記述量が多いため、学習に時間がかかるのがデメリットです。
それは学習時間を確保するなどの方法で乗り切らなくてはなりません。
9月試験では最新版の本を手に入れよう
FP試験のテキスト(参考書)・問題集は、1年に1回、だいたい5月〜7月ごろに改訂されます。
これは、お金に関する法律が毎年改定されるためで、その改定内容もFP試験の出題範囲となるためです。
ですので、9月試験を受験する方は、最新版のテキストが発売されてから購入するようにしてください。
例えば2018年の5月〜7月に新しく出版される書籍には、「2018〜2019年度版」「2018年9月試験〜2019年5月試験対応」といった表示がなされています。
この書籍の更新タイミングを理解し、間違っても1年後ろの書籍を買わないように気を付けてください。
最新版が発売される時期には、旧年度のテキストと新年度のテキストが、入り混じって書店に並んでいます。やはり間違って買わないよう、注意してくださいね。
5月、9月と連続して受験する場合は
もし5月試験で不合格になり、次の9月に再受験するという場合には、可能ならテキストを買い替えるのが良いでしょう。
年金の金額や税のルールが変わった場合、変更後のない世を理解しているかが9月試験で出題されます。
古いテキストを使っていると、古い情報で解答をしてしまい、誤りの選択肢を選んでしまうことになるためです。(選択肢にそういうひっかけが用意されていますよ)
ちなみに、当勉強会で定期的に開催している 受験前に役立つ情報満載!FP技能士3級2級合格ガイダンス会 では、毎回必ず、次の試験から出題される改正内容をまとめた資料を配布し、簡単な解説をしています。
テキストをわざわざ買い替えるのが面倒な場合は、ガイダンス会で差分だけを勉強することもできますよ。
比較サイトに頼らず、あなたが直接比較すべき
「読みやすいテキストほど、得られる試験対策知識も少なくなる」
このことを、ぜひ知っておいてください。
合格の可能性を第一に考えると、どうしても記述量が多い書籍をお勧めしたくなります。
しかし受験者の皆様はそれぞれ、好きな学習法・得意な学習法が違います。
文字だけだと理解しにくいが、図や表があると一気に理解が進む方もいます。
分厚いテキストを好む方もいらっしゃるでしょう。
受験するなら満点を目指す!というモチベーションで勉強する人もいます。
ですので書店に足を運び、皆様が自分の目で、適した書籍を見つけましょう。
下記を参考に、複数社のテキストを時間をかけてでも比較検討しましょう。
各人で自分なりの優劣をつけ、ご決断いただければと思います。
- 情報量が他の書籍と比べて明らかに少ないものは、避ける。
- 索引がないテキストは避ける。テキスト(参考書)で用語の意味を調べ直す場面が多々あるが、その時に索引がないと調べることができず、学習に支障が出る。
- ある程度のマネー知識があれば、文字ばかりのテキスト(参考書)でも理解は進む。文字だらけであっても、軽く読んでみて抵抗感がなければ、選択肢の候補に入れる。
- 図や表などわかりやすい図解を重視したい場合は、 「わかりやすい」「使えそう」と感じられる図解方式を採用しているテキスト(参考書)を候補に入れる。
- 数ページごとに練習問題が付いているなど、読んで理解したことをその場でチェックできる仕組みをありがたいと感じたら、その書籍を候補に入れる。
一方、別の問題集や過去問を使ってアウトプット学習を徹底的にする場合には、練習問題の付属具合は考慮しなくてよい。 - テキスト(参考書)内の赤字の部分を、付属の赤いプラスチックの暗記シートで隠しながら読めるタイプのものがよい場合は、これも候補に入れる。
ただし、別途問題集などで本格的に問題を解くつもりなら、気にしなくてよい。 - 問題集を買うときは、問題の解説がきちんと書かれているものを選ぶ。
解説が書かれてない本は、問題を間違えたときに正しい知識を得られない。
結果的に「勉強していない」のと同じことになってしまう。 - 古本屋での購入は原則として避ける。なぜなら年金の金額や税制の特例など、毎年のようにある制度改正に対応できず、誤った知識で学習してしまうことになるため。
古本屋で節約できるお金より、再受験料の方が圧倒的に高いです。 - 「スッキリ」「一発合格」などの宣伝文句や表紙のデザインは、気にしないこと。これらは受験者の皆様への配慮ではなく、本がたくさん売れるための配慮に過ぎない。表紙の印象が良くても、中身がダメな本は買うべきではない。
以上、テキストの選び方についてお伝えしました。
自分なりの基準でしっかりテキスト(参考書)を選べたら、それがあなたにとって最良の受験パートナーとなるでしょう。「他人の勧めではなく、あなたの本心で選んだものが最良である」という基準を信じて、合格目指してがんばってくださいね!
(これは、結婚相手選びでも使えるテクニックです・・・余談でした)
みなさんなりに、試験対策テキスト(参考書)選びの参考になれば幸いです。
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