3種類あるFP3級実技試験、違いと選択のポイント
このページでは、FP技能士3級の実技試験の違いと選択のポイントについてまとめています。
FP2級の実技試験については、下記ページをご覧ください。
FP技能士試験の3級は、受験申込み前に、以下の2つをあらかじめ決定しなければなりません。
- 受験の申込先となる、試験機関を選択(FP協会 or きんざい)
- 3種類の中から実技試験を選択
どちらの試験機関で受験すればよいか、そしてどの実技試験を選択すればよいかは、FP受験者の悩みの種となっています。
というのも、試験機関であるきんざい(金財)とFP協会は、この点についてわかりやすく説明していないからです。
さらにやっかいなことに、選択した実技試験の種類によって、使用すべき教材にも違いが生まれます。受験対策で購入するテキストや問題集を誤ってしまうと、適切な学習ができなくなります。
そこでこのページでは、試験機関と実技試験の選択のポイントを、わかりやすく解説しています。
2つある試験機関のいずれかで受験する
FP技能士という国家試験は、FP協会と、きんざい(金財)の、2つの試験機関によって運営されています。他の多くの資格試験は、ある一つの機関が実施していますが、それとは大きく異なります。
受験者の皆さんは、FP協会か、きんざい(金財)かのどちらかを選んで、申し込みをしなければなりません。
ここで知っておいていただきたいポイントとなりますが、FP協会かきんざい(金財)かという試験機関の選択の前に、
どの実技試験で受験するかを選択する
ことが重要なのです。
なぜなら、受験する実技試験を選択すれば、申込みをすべき試験機関が自動的に決まるからです。
まず実技試験を選択
→ それに応じた試験機関で受験申込をする
という順序で決めていくことを、知っておいてください。
それでは次に、複数種類ある実技試験の違いとその選び方を、詳しくご説明していきます。
実技試験の種類
FP3級の実技試験には、以下の3種類があります。
実技試験 | 受験者 割合 |
試験機関 |
---|---|---|
個人資産相談業務 | 34.5% | きんざい (金財) |
保険顧客資産相談業務 | 29.6% | |
資産設計提案業務 | 35.9% | FP協会 |
※受験者割合は、2017年1月、5月、9月の試験の合計受験申込者数より算出。
過去の受験者割合を見ていくと、FP協会の実技試験を選ぶ人の割合が年々増加しており、逆にきんざい(金財)の受験者割合は年々低下しています。
2015年のデータ
実技試験 | 受験者 割合 |
試験機関 |
---|---|---|
個人資産相談業務 | 39.3% | きんざい (金財) |
保険顧客資産相談業務 | 30.0% | |
資産設計提案業務 | 30.7% | FP協会 |
※受験者割合は、2015年1月、5月、9月の試験の合計受験申込者数より算出。
2013年のデータ
実技試験 | 受験者 割合 |
試験機関 |
---|---|---|
個人資産相談業務 | 43.1% | きんざい (金財) |
保険顧客資産相談業務 | 35.0% | |
資産設計提案業務 | 21.9% | FP協会 |
※受験者割合は、2013年1月、5月、9月の試験の合計受験申込者数より算出。
この3つの3級実技試験の違い
きんざい(金財)の保険顧客
保険顧客の実技試験の特徴は次の通りです。
- 保険分野(リスク管理の分野)からの出題だけで配点の40%を占めます。保険分野の試験対策が最も重要となります。
- 保険会社に勤めている、保険を扱う仕事をしている、またこれらの業務に将来就きたい場合に適しています。試験勉強で学ぶことが、仕事に直結します。
- 個人的に保険に詳しくなりたいという方も、この試験が適しています。
- 保険に関する経理処理が出題されるため、少なからず会計知識があったほうが有利です。(簿記3級があればひとまず大丈夫です)
- 税(所得税、法人税、贈与税、相続税)に関する出題比率は、3級の他の実技試験より高めです。税になじみがあれば有利です。
その名の通り、保険に比重を置いた試験といえますね。
きんざい(金財)の個人資産と、FP協会の資産設計
この2つの実技試験には共通して、次の特徴があります。
- 大半の日本人の生活に直結した内容が出題されます。そのため、自己研さんやご自身の家計改善のために受験する場合に、最も適しています。
- ファイナンシャルプランナーとして、年金、保険、資産運用、不動産、相続など幅広くお金の相談に乗るスキルが得られます。
- この2つの試験を合わせて、70%の受験者が選択しています(2017年)
- 多くの受験者がいるため、市販の試験対策テキスト、問題集が充実しています。
- 上で説明した「きんざいの保険顧客」の実技試験を選択すべき理由がない場合は、この実技試験を選択したほうが無難です。
一般的にはこの2つの試験のうちの、いずれかを受験する方が多くなるでしょう。
きんざいの個人資産と、FP協会の資産設計とは、類似性がありますが、微妙な違いもあります。
世間では、FP協会ときんざい(金財)の実技試験で、どのような違いがあるのか、が話題になっています。この話題は本質的に、この2つの実技試験の比較についての議論なのです。
その議論よりも重要なことは、さきほどお伝えした通り、
まず実技試験を選択
→ それに応じた試験機関で受験申込をする
という点です。なぜなら、実技試験が決まれば、申込みをすべき試験機関は、次のように自動的に決まるからです。
実技試験の種類 | 試験機関 | |
---|---|---|
個人資産相談業務 | ⇒ | きんざいで申込 |
保険顧客資産相談業務 | ||
資産設計提案業務 | ⇒ | FP協会で申込 |
ここはとても重要な点なので、ぜひご認識くださいね。
そのうえで、きんざい(金財)の個人資産と、FP協会の資産設計、の2つの実技試験の違いは、次のページで詳しくご説明しています。
ひとまず、実技試験の全体的な違いのことの方が重要なので、実技試験の解説を続けます。
出題分野の違い
試験範囲である6分野のうち、出題される分野は次の通りです。
○:出題される、×:出題されない
(きんざい) 個人資産 |
(きんざい) 保険顧客 |
(FP協会) 資産設計 |
|
---|---|---|---|
ライフプランニング と資金計画 |
○ | ○ | ○ |
リスク管理 | × | ○ | ○ |
金融資産運用 | ○ | × | ○ |
タックス プランニング |
○ | ○ | ○ |
不動産 | ○ | × | ○ |
相続・事業承継 | ○ | ○ | ○ |
「FP協会の資産設計」の実技試験は、6分野すべてから出題されます。一方できんざい(金財)の実技試験では、出題されない分野があります。
もし、実技試験しか受けないという場合でかつ、学習したい分野を減らしたいなら、きんざい(金財)の実技試験を選択するのもよいでしょう。
テキストや問題集を買う前に、実技試験を決めよう
実技試験選びのもう一つ重要なポイントですが、実技試験の選択によって、購入する試験対策テキストや問題集も変わるということです。買ったテキストや問題集が、自分が受験する実技試験に対応していない場合、適切な学習ができなくなり、合格の可能性を落とすことにもなります。
実技試験選びが、何より最優先なのです。
したがって、どの実技試験を選択するかを先に決めてから、テキストや問題集を買いましょう。
実技試験選びで、悩まなくてよい人もいます
次に当てはまる方は、実技試験選びで悩む必要はありません。
会社で一括申込みする人
受験する実技試験を、会社のほうで決定していますので、社員の方は残念ながら自分で選ぶことができません。どの実技試験を受験するかを、会社に問い合わせ、把握しておきましょう。
金融機関にお勤めの方は、このパターンになる人も多いですね。
資格スクール・通信教育を利用している人
申し込んだスクールや通信教材は、それぞれ対象としている実技試験があらかじめ決まっています。
既に高いお金を払ったわけですから、その教材が対応している実技試験を選択するのが合理的です。
過去問を見て「この実技試験がいい!」と思った人
どの実技試験を受験するかに悩んだら、ぜひ過去問にも目を通してみて下さい。
試験の過去問は、きんざい(金財)またはFP協会のホームページから無料で誰でもダウンロードできます。
今の時点では真剣に問題を解かなくてよいので、実際の出題内容をざっと確認してみましょう。
出題内容になじみを感じられ、解きやすそうだと感じた試験を選ぶのも、一つの立派な選び方です。
他人のアドバイスや口コミよりも、「この実技試験が解きやすそうだ!」という直感のほうが、アテになるものです。
結論:どの実技試験を選ぶべきか
どの実技試験を選べばよいかでお悩みなら、次のようにして決めてみましょう。
保険に関わる仕事をする人、保険に詳しくなりたい人は
- きんざい(金財)の保険顧客
を選ぶとよいでしょう。そうでない人は
- きんざい(金財)の、個人資産
- FP協会の、資産設計
の中からを選ぶとよいでしょう。
結果的に多くの受験者は、
- きんざい(金財)の、個人資産
- FP協会の、資産設計
のいずれかを選択することになるでしょう。この2つの実技試験の違いについては、次のページでさらに詳しくご説明いたします。
筆者は、毎回のFP試験を細かく分析しており、2000人以上のFP試験受験者にお会いし、アドバイスをしてきました。しかもFP6分野のビジネスに関わっており、その観点からも、実技試験の違いについてご説明しました。
このページを参考のうえで、さらに皆様ご自身の受験目的と前提知識なども加味して、適切な実技試験を選択いただければ幸いです。
繰り返しとなりますが、受験にあたって大切なことは、
まず実技試験を選択
→ それに応じた試験機関で受験申込をする
→ 受験する実技試験に対応したテキスト、問題集を選ぶ
という順序です。実技試験選びは、慎重かつ丁寧に行って下さいね。
なお、受験申し込みが開始される時期に、 受験前に役立つ情報満載!FP技能士3級2級合格ガイダンス会 を開催しています。皆さんの個別の事情や質問も考慮して、実技試験のアドバイスを行っていますので、お気軽にご参加くださいね。
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