FP協会ときんざい(金財)での合格率の違い
FP技能士試験の2級、3級とも、受験者はFP協会またはきんざい(金財)のいずれかで受験します。ところがこの両者の試験では、合格率に違いがあります。
合格率は、これからFP技能士を受験される皆様にとって気になる点ですよね。
このページでは、FP協会ときんざい(金財)での合格率の違いを比較・分析し、合格率の違いが生まれている理由についても触れています。
合格率以外の違い(たとえば資格としての価値の違い、試験内容の違いなど)については、下記のリンク先ページで詳しく解説しています。
合格率の比較
まずは、きんざい(金財)とFP協会とでの合格率を一覧表にしています。
合格率の違いを、ざっと確認してみてください。
FP3級の合格率
試験日 | きんざい 学科 |
FP協会 学科 |
きんざい 実技 |
FP協会 実技 |
---|---|---|---|---|
2019年9月 | 62.77% | 78.09% | 45.44% | 79.48% |
2019年5月 | 42.76% | 69.07% | 54.35% | 86.42% |
2019年1月 | 51.91% | 74.09% | 56.21% | 83.38% |
2018年9月 | 61.64% | 78.63% | 51.46% | 86.50% |
2018年5月 | 57.84% | 78.92% | 71.20% | 90.47% |
2018年1月 | 65.34% | 80.33% | 67.13% | 89.07% |
2017年9月 | 69.95% | 78.47% | 75.83% | 85.37% |
2017年5月 | 55.12% | 71.87% | 59.69% | 86.18% |
2017年1月 | 48.19% | 67.20% | 74.89% | 85.07% |
2016年9月 | 55.08% | 69.21% | 83.18% | 76.81% |
2016年5月 | 54.93% | 76.58% | 61.95% | 84.90% |
2016年1月 | 55.86% | 68.82% | 57.30% | 81.60% |
- 上記のデータは、きんざい(金財)のホームページ、FP協会のホームページから抜粋。
- きんざい(金財)の実技の合格率は、個人資産相談業務のもの。
FP2級の合格率
試験日 | きんざい 学科 |
FP協会 学科 |
きんざい 実技 |
FP協会 実技 |
---|---|---|---|---|
2019年9月 | 20.97% | 43.42% | 31.72% | 62.63% |
2019年5月 | 20.88% | 40.17% | 25.77% | 62.65% |
2019年1月 | 31.11% | 48.26% | 36.93% | 50.31% |
2018年9月 | 21.45% | 39.47% | 20.47% | 50.52% |
2018年5月 | 28.24% | 42.93% | 23.87% | 51.68% |
2018年1月 | 28.53% | 45.63% | 31.72% | 57.45% |
2017年9月 | 30.21% | 47.82% | 51.29% | 58.34% |
2017年5月 | 24.85% | 41.44% | 34.12% | 46.79% |
2017年1月 | 23.13% | 39.43% | 38.90% | 63.87% |
2016年9月 | 28.32% | 40.21% | 60.44% | 50.60% |
2016年5月 | 21.85% | 38.97% | 17.82% | 58.69% |
2016年1月 | 20.18% | 34.76% | 20.40% | 45.89% |
- 上記のデータは、きんざい(金財)のホームページ、FP協会のホームページから抜粋。
- きんざい(金財)の実技の合格率は、個人資産相談業務のもの。
総じてFP協会の方が合格率が高いけれど・・・
ざっと上記の表を見ても、総じて、きんざい(金財)よりFP協会側のほうが、合格率が高いことがわかります。
この合格率を見て、FP協会側のほうが合格しやすい、FP協会の方が問題は簡単なんだ、と思いたくなりますが、単純にはそうは言えません。そこには、ちょっとしたカラクリがあります。
それでは、学科試験、実技試験に分けて、合格率の違いについて分析してみましょう。
さらに以前の合格率
FP技能士3級
試験日 | きんざい 学科 |
FP協会 学科 |
きんざい 実技 |
FP協会 実技 |
---|---|---|---|---|
2015年9月 | 66.45% | 77.93% | 76.99% | 84.14% |
2015年5月 | 55.82% | 76.89% | 65.43% | 90.59% |
2015年1月 | 69.21% | 81.30% | 69.74 | 89.44% |
2014年9月 | 77.33% | 85.33% | 68.54% | 81.50% |
2014年5月 | 57.52% | 76.96% | 56.36% | 93.81% |
2014年1月 | 63.38% | 78.12% | 69.72% | 86.59% |
2013年9月 | 70.25% | 82.30% | 58.56% | 90.10% |
2013年5月 | 68.18% | 82.68% | 63.25% | 89.56% |
2013年1月 | 72.40% | 83.53% | 56.74% | 82.31% |
2012年9月 | 76.80% | 86.29% | 57.32% | 91.28% |
2012年5月 | 70.42% | 85.72% | 66.82% | 90.43% |
2012年1月 | 73.03% | 83.26% | 79.15% | 86.91% |
FP技能士2級
試験日 | きんざい 学科 |
FP協会 学科 |
きんざい 実技 |
FP協会 実技 |
---|---|---|---|---|
2015年9月 | 20.83% | 35.44% | 31.17% | 60.13% |
2015年5月 | 22.02% | 40.20% | 48.45% | 63.70% |
2015年1月 | 19.96% | 33.96% | 36.52% | 62.44% |
2014年9月 | 23.35% | 41.85% | 31.64% | 53.33% |
2014年5月 | 26.78% | 43.40% | 33.61% | 62.28% |
2014年1月 | 15.97% | 31.46% | 25.94% | 59.94% |
2013年9月 | 22.88% | 40.95% | 32.50% | 48.51% |
2013年5月 | 28.20% | 47.81% | 31.27% | 58.63% |
2013年1月 | 14.04% | 28.05% | 29.49% | 57.30% |
2012年9月 | 24.89% | 45.93% | 37.42% | 56.52% |
2012年5月 | 19.62% | 38.69% | 41.24% | 51.54% |
2012年1月 | 20.29% | 38.96% | 23.02% | 49.17% |
学科試験の合格率の違い
まず、学科試験の合格率に注目してみてください。
2級3級とも、FP協会側のほうが合格率は高くなっています。
学科試験は、FP協会でもきんざい(金財)でも、まったく同じ問題を使用しており、合格基準もまったく同じです。にもかかわらず、合格率に大きな差が出ているのです。
このことから、FP協会での受験者ほうが学習レベルが高いことがわかります。
つまり、FP協会で受験される方の方が、よく勉強しているということです。
では、なぜこれほど合格率に差が出るのでしょうか? これには2つ理由があげられます。
まず、きんざい(金財)の受験者の中には、金融機関に所属する社員たちが、会社での団体申込により受験しているケースが多くあります。
金融機関の人たちが大量に申し込みを行うのですが、その中には資格取得の意欲がなく、それほど勉強しない人も一定数います。受験者本人の意思に関係なく、申込みが行われているのです。そういう受験者が多くいることから、きんざい(金財)の合格率を下げていると考えられます。
もう一つの理由は、将来独立系FPを目指す人(のちにAFP、CFPを目指そうと考えている人)、自主的に資格の取得を決意した人は、FP協会側で受験する傾向があるという点です。
職業としてFPを意識した人は、やがてFP協会の存在を強く感じるようになります。
なぜなら、FPに関するサービスやサポートを、FP協会が積極的に行っているからです。FP協会の方が、広報活動も積極的に行い、知名度を上げようとがんばっています。
一方のきんざい(金財)は、それほどFPや受験者に対して活動をアピールしていません
(が、FPに関する良質なサービスはきちんと提供しています)
そのため、職業としてFPを意識した人は、きんざい(金財)よりは親近感があるFP協会で受験する傾向があります。
職業としてFPを目指そうと考えている人たちですから、合格に対する意欲は高く、しっかり勉強もします。そのためFP協会側の方が合格率が高くなる現象を生んでいます。
繰り返しとなりますが、FP協会でもきんざい(金財)でも学科試験問題とその採点基準は同一ですから、「FP協会の方が学科試験が簡単である」という判断は正しくありません。
FP協会での受験者ほうが、受験者の学習レベルが高いため、学科試験の合格率に差が出ているのです。
実技試験の合格率の違い(2級・3級共通)
上記でまとめた実技試験の合格率の表を見比べると、過去ほとんどの実技試験において、やはりFP協会側のほうが合格率は高くなっています。
前述のとおり、受験者の学習レベルが高いこともその一つの要因です。
もう一つの要因は、前ページFP協会ときんざい(金財)での試験の違いでもまとめたように、多くの受験者はFP協会側の問題の方が解きやすい(得点しやすい)ことも挙げられます。
FP試験の過去問を何年も解き続けている筆者であっても、FP協会の方が難易度は低いと感じます。
問題が少し簡単な上に、受験者のレベルも高いため、実技試験もFP協会の方が合格率は高くなっています。
合格率だけでなく、総合的に判断を
FP技能士試験を、きんざい(金財)で受験するか、それともFP協会で受験するか、受験者の皆様にとっては重大な関心ごとであると思います。
このページでは合格率の違いについてお伝えしましたが、どちらを受験するかは合格率だけでなく、試験の出題傾向なども考慮し、総合的に判断をして下さい。
まず実技試験を選択 → それに応じて受験する試験機関を選択
という順序が、受験にあたって大切であると、当サイトではお伝えしています。この観点で、皆様それぞれが、最適な実技試験をご選択いただければ幸いです。
最後に、テキストや問題集の選び方のポイントを、次ページで解説します。これから購入される方は、参考にしてくださいね。
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