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テキスト一斉調査 集計結果

調査対象のテキストについては、FP試験で得点できる市販テキスト一斉調査 の詳細 のページをご覧ください。
この集計結果の見方や集計根拠については、 テキスト一斉調査 結果の集計方法 のページをご覧ください。

全体的なカバー率

テキスト名 1月 5月 9月 合計
みんなが欲しかった
(TAC)
78% 82% 78% 79%
FPの学校
(U-CAN)
80% 74% 77% 77%
最速合格ブック
(成美堂)
82% 81% 82% 82%
これであなたも一発合格
(きんざい)
87% 81% 85% 84%
最短合格テキスト
(きんざい)
89% 88% 90% 89%
史上最強
(ナツメ社)
87% 85% 88% 87%
うかるFP王道テキスト
(ファイナンシャル〜 )
91% 90% 87% 89%
平均 85% 83% 84% 84%

テキストの記述で試験問題を解答できるかどうか(=カバー率)について、テキストにより77%〜89%と幅があります。
おおよそ8〜9割の出題は、テキストを読んで答えられるものだと言えます。

しかし見方を変えると、テキストを読んでも解けない問題が、テキストにより21%〜11%と倍近く開きがあるともいえます。
現実に受験者は、テキストに記述が書いてあることも、試験では答えられないことがあります。
それを考えると、この21%〜11%の差は、ちょっと大きいかな、と感じます。

テキスト発売後の試験で得点できたか

1月試験のカバー率は、7冊平均で85%でした。
1月試験は、テキスト編集時点ですでに実施された試験です。
しかしその15%の記述がカバーできていないところは、受験生としてはやや残念ですね。
出題済みの問題のすべてをカバーするようには、どのテキストも作られていないということです。

5月試験と9月試験は、テキスト編集後に実施された試験です。
5月試験のカバー率平均は83%、9月試験のカバー率平均は84%と、1月試験のカバー率を下回っています。
過去の出題を基準に編集されていることから、テキスト発売後に実施される試験に対しては、ややカバー率は低くなっていると言えます。

しかしテキストによっては、1月試験のカバー率が低く、5月や9月試験のカバー率の方が高いものもあります(劇的に高いわけではありませんが)
過去の出題だけでなく、その周辺部分まで記述が充実していれば、初出題の問題にも対応しやすいといえます。
そういう書き方のテキストを、今後期待したいところですね。

 

出題分野ごとのカバー率

次に、FP試験で出題される6つの分野ごとのカバー率の結果をご紹介します。
こちらはテキストにより、やや大きなばらつきがあります。
他のテキストに比べてカバー率の低さが目立つところをグレーで表示、他のテキストに比べてカバー率の高さが目立つところをピンクで表示しています。

テキスト名 1分野目
ライフプラン
2分野目
リスク管理
3分野目
金融資産
みんなが欲しかった
(TAC)
79% 71% 76%
FPの学校
(U-CAN)
79% 66% 72%
最速合格ブック
(成美堂)
89% 72% 76%
これであなたも一発合格
(きんざい)
84% 77% 83%
最短合格テキスト
(きんざい)
87% 88% 84%
史上最強
(ナツメ社)
88% 82% 85%
うかるFP王道テキスト
(ファイナンシャル〜)
89% 82% 89%
平均 85% 77% 80%

テキスト名 4分野目
タックス
5分野目
不動産
6分野目
相続
みんなが欲しかった
(TAC)
82% 88% 82%
FPの学校
(U-CAN)
87% 82% 79%
最速合格ブック
(成美堂)
88% 81% 84%
これであなたも一発合格
(きんざい)
90% 93% 82%
最短合格テキスト
(きんざい)
91% 96% 90%
史上最強
(ナツメ社)
88% 90% 90%
うかるFP王道テキスト
(ファイナンシャル〜)
94% 93% 90%
平均 88% 89% 85%

上記表で背景色がついている、「2分野目 リスク管理」「3分野目 金融資産運用」「4分野目 タックスプランニング」は、カバー率が高いテキストと低いテキストで大きな差がついています。
各テキストの強みが出ているともいえます。苦手分野を集中的に克服したい場合には、特定分野のカバー率が高いテキストを購入するのが有効かもしれません。

保険と金融資産運用が弱い

「2分野目 リスク管理」「3分野目 金融資産運用」については、7冊平均でカバー率が80%以下となっています。
この2分野は他分野と比較し、試験対策テキストだけでは点を取りづらい分野ともいえます。
ただ上記の通り、テキストによってはしっかり書けているものもありますので、ひとくくりにして言えるものではありません。

 

試験の種類ごとのカバー率

次に、学科試験や実技試験など、試験の種類ごとの調査結果をご紹介します。
他のテキストに比べてカバー率の低さが目立つところをグレーで表示、他のテキストに比べてカバー率の高さが目立つところをピンクで表示しています。

テキスト名 学科試験 実技試験
FP協会
実技試験
きんざい個人
みんなが欲しかった
(TAC)
76% 83% 95%
FPの学校
(U-CAN)
73% 81% 95%
最速合格ブック
(成美堂)
79% 84% 91%
これであなたも一発合格
(きんざい)
85% 81% 95%
最短合格テキスト
(きんざい)
89% 89% 99%
史上最強
(ナツメ社)
86% 91% 95%
うかるFP王道テキスト
(ファイナンシャル〜)
90% 93% 96%
平均 83% 86% 95%

テキスト名 実技試験
きんざい生保
実技試験
きんざい損保
実技試験
中小事業主
みんなが欲しかった
(TAC)
83% 71% 66%
FPの学校
(U-CAN)
80% 75% 73%
最速合格ブック
(成美堂)
90% 79% 74%
これであなたも一発合格
(きんざい)
89% 69% 75%
最短合格テキスト
(きんざい)
94% 77% 78%
史上最強
(ナツメ社)
91% 75% 69%
うかるFP王道テキスト
(ファイナンシャル〜)
83% 73% 77%
平均 87% 74% 73%

学科試験のカバー率

全ての受験者が挑戦する試験ですから、全てのテキストでしっかりカバーしていただきたいところではありますが、テキストによりカバー率に差が見受けられました。
カバー率73%のテキストは、27%をカバーできていないということ。
カバー率90%のテキストは、10%をカバーできていないということ。
カバーできていない領域に着目すると、3倍ほどの差が生じていますね。

実技試験:FP協会ときんざい個人

この2つの実技試験を比較すると、面白い結果が見られます。
テキスト7冊のカバー率平均で言えば、FP協会の86%に対して、きんざい個人のほうが95%と高いです。
なので、きんざい個人の実技試験を選択したほうが高得点がとれそうですが、実際の合格率はFP協会の実技試験のほうが高いです。(詳しくは、FP協会ときんざい(金財)での合格率の違い をご覧ください)

私なりの分析ではありますが、きんざい個人の実技試験のほうが、計算問題があったり、受験生が不勉強になりがちな深い点を突く出題があったりと、正解しづらい問題が多い傾向にあります。

計算問題は、テキストに記載があっても、自分で答えを導ける計算手続きを行えなければいけませんよね。
また、 不勉強になりがちな点であっても、テキストの欄外などにはそれとなく記載があったりします。

きんざい個人の試験は、テキストに沿った出題になってはいるものの、テキストを細かいところまで読み込まなければ合格しづらいのではないでしょうか。
以上の点から、きんざい個人のほうがカバー率は高いのに、合格率が低いという逆転現象を生んでいるのだと考えます。

実技試験:きんざい生保

学科試験と同じく、テキストによってカバー率に差があることが確認できました。
きんざい生保独自の問題もありますので、内容をしっかりカバーできているテキストを使って勉強を積み上げたいところです。

実技試験:きんざい損保と中小事業主

この2つの実技試験は、他と比べて明らかにカバー率が低いです。
きんざい損保も中小事業主も、特有の問題が多くあり、一般的なテキストではカバーしきれていないです。

この2つの実技試験の専門のテキストも販売されています。
この2つの実技試験を希望される場合は、実技試験に対応した専門テキストで学習する方が望ましいでしょう。

 

調査を終えて

過去10年近く勉強会を運営し、FP試験の受験生とお会いしてきました。
受験される皆さんのお悩みで共通しているのは、「どのテキストが良いのか分からない」「受験前にはテキストの良し悪しが分からない」ということです。
そのような状況が続いていましたが、これからFP試験を受験される方にとって有益な情報を提供できればと、有志の合格者にご協力をいただき、今回の調査を実施いたしました。

お忙しい中、調査にご協力いただいた合格者の方に、感謝申し上げます。

テキストを詳しく分析してみると、テキストごとに得意・不得意があるなど、様々な点で違いがあることが分かりました。
テキストの題名には「史上最強」等の最上位文言や、「一発合格」など確実性をイメージさせる文言が使われています。
しかしながら、それらの文言は必ずしも客観的なものではないことも、調査結果から判明しました。

この調査をきっかけに、FP試験を受験される方にとって、テキストの良し悪しが分かる客観的な指標が、各所で開発されていくことも期待しています。
テキストの良し悪しが分かれば、受験生にとって有益なテキスト選びができます。
低い評価となったテキストには、ぜひ改良を重ねてより受験生のためになるテキストに進化をしてほしいと考えています。

 

この調査結果は、2018〜2019年度のテキストで行いました。
次年度以降は、多少なりとも変化が見受けられるかもしれません。
また、全種類のテキストを調査できたわけでもありません。
もしかしたら、この調査で取り上げた以上に優れたテキストが存在するかもしれません。

調査担当者には事前の説明会に参加いただき、可能な限り共通の認識の下で評価を行っていただきました。
しかし、それでも担当者ごとに、評価の基準に多少のばらつきもあるとは思います。

以上も考慮すると、この調査結果は、テキスト選びの参考指標の一つとして、ご認識いただければと思っています。
テキストの評価軸は、カバー率だけではありません。
読みやすさ、分かりやすさ、図表の量なども重要なテキストの評価軸です。
これからテキストを購入される方は、この調査結果も参考にしたうえで、ぜひ書店で軽く立ち読みをしてみましょう。
ご自身の目で最後は評価をし、最良となる1冊をご選択いただければと思っています。

そしてテキストを手に取った後は、合格に向けて頑張ってくださいね。

 

私たちは、今後も勉強会の運営を続けていきますし、このような企画も定期的に行っていきます。
いろいろな取り組みをしながらも、これからFP試験を受験される方の応援・サポートを行ってまいります。
みなさまのFP試験合格を、心よりお祈り申し上げます。

 

 

 

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