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遺産分割・財産相続

財産の共同相続

遺産相続の際、遺言書がない場合は、法によって定められたルールに基づく財産分与が行われます。これを「法定相続」といいます。
相続者が複数いる場合、現金であれば財産の分割は簡単です。

しかし、土地や建物など不動産の場合は、共同相続といって、一つのものを法律上権利を分割して保有することになります。
例えば3000万円の価値がある家を3人が同額ずつ相続した場合、相続者はそれぞれ1000万円の価値ずつ持っている、とみなされることになります。
このとき、物件を売却したい場合、権利を持つ3人全員の同意が必要になり、面倒なことになります。
また、その物件にかかる固定資産税の支払も、多少面倒になります。

このような面倒を防止するなら、不動産は誰か一人が相続するのが最も合理的です。

裁判所による遺産分割の調停・審判

裁判件数

1年間の死者は約120万人であり、相続は年間120万件発生しています。
2009年に、全国で遺産をめぐった審判が2073件行われました。この数字は、10年前の1999年の件数と比較して2割増です。
一方、調停の件数は11432件。こちらは同じく10年前と比較して3割増です。

裁判の対象となっている遺産の金額

相続財産1000万円以下:29%
相続財産1000万円〜5000万円:44%
残りの比率は、5000万円以上の財産保有者

裁判になるケースで多いのが、土地の相続に関わるものだそうです。
土地は分割しづらく、土地同士の境界があいまいになっていることも多いためです。

審判分割の内容に不服がある場合の手続き

遺産分割において、裁判所による審判分割によっても相続人が納得できない場合、以降は裁判によって争うことになります。

審判の内容に不服がある場合、その相続人は高等裁判所へ異議申し立てを行うことができます。ただし、審判より2週間以内に申し立てを行わなければなりません。
この申し立てを経ることで、以降は裁判によって争うことになります。

相続財産の確認と管理

相続に関する豆知識

相続トラブル防止のため、生前にもらったものはしっかり管理を

被相続人(死亡した人)から生前にもらった財産は、しっかり自分の管理下に置いておきましょう。

もらった財産を被相続人に預けたままにするなど、自分の管理下に置いていない状況だと、いざ相続の場面で、生前にもらったということを他の相続人に主張できなくなることがあります。そうなってしまうと、その財産をもらっていなかったこととして、遺産分割の対象にされてしまう可能性があります。

こうしたことから相続トラブルに発展しますから、自分の財産は自分で管理しておくことも大切ですね。

負債の遺産分割

負債の相続分

被相続人が負債を残した場合で、かつ相続人が単純承認をした場合、相続人がその負債を法定相続分ずつ、または全相続財産のうちの相続分の比率で相続することになる。
これは、積極財産(現金、不動産、有価証券など金銭的価値がある遺産。ファイナンシャルプランナー試験で扱った財産の範囲)の相続分に関係なく適用される。
たとえば、2人の相続人がそれぞれ積極財産の80%、20%を相続した場合であっても、負債は2人とも50%ずつ相続することになる、ということである。

ちなみに、全財産を誰か一人が相続(遺贈)した場合には、その者がすべての負債を相続するという最高裁の判決が出ている。

債権者が行う債権の請求

たとえば遺言や遺産分割協議において、ある相続人が負債を全額引き受けることを決定した場合、その内容は相続人間同士では有効である。しかし、相続と関係のない第三者である債権者に対しては主張ができない。
それを法律上有効にしたいなら、債権者と一緒に協議をして決定しなければならない。

債権者は、各相続人に対して、法定相続分または指定相続分ずつの債務返済を請求することができる。
逆に言えば、法定相続分を超えて、相続人に債務返済を請求することはできない。
ただし、債権者と相続人との間で、債務を引き受ける人を決定し、契約を締結すれば、この限りではない。

相続財産がない人も負債を相続する可能性がある

遺産分割協議において、「私は特に遺産はいらない」などといって遺産を受け取らないことが単純承認されてしまった場合であっても、上記のとおり相続人は負債を法定相続分ずつ引き受けることになると考えられる。
そのため、特に遺産はいらないということを主張するのであれば、相続放棄を行うべきともいえる。

遺留分の請求と負債の相続との関係

遺留分の請求をしたとしても、負債の相続とは関連がない。つまり、遺産を相続できなかった相続人が遺留分の請求をしたからといって、負債の相続をする、という理由にはならない。
上記のように、ある相続人Aが遺産の全額を相続した場合、負債も全額相続すると判断される。このとき、別の相続人Bが遺留分の請求をしたとしても、負債は全額相続人Aのみが相続することになる。

相続放棄

相続放棄上の注意点

遺産として多額の借金が存在するなど、相続を放棄する場合は、以下の点に注意する。

相続順位を変更したい場合に活用できる

相続の順位は、
第1順位:配偶者
第2順位:子
第3順位:直系尊属(父母、祖父母など)
第4順位:兄弟姉妹
となっています。

相続を放棄することで、後ろの順位の人に意図的に相続させることができます。
たとえば、配偶者と直系尊属に相続権がある場合(子がいない場合が該当)、その直系尊属が相続放棄すると、相続の権利が兄弟姉妹に移ります。
本来、直系尊属である親が受け取れる相続財産を、その子である兄弟姉妹に移転させることができるので、その直系尊属にとっての一種の生前贈与の形態でもあります。直系尊属が放棄しなかった場合と比較して、その直系尊属が死亡したときの相続財産の評価額を下げる効果もあります。

負債の方が多い場合に相続の事務手続きを簡素化できる

相続財産で明らかに負債の方が多い場合、だれもが放棄したくなるでしょう。
でも配偶者と子供が全員放棄しても、相続権が直系尊属に移るだけです。このままではまずいので、直系尊属も放棄の手続きをするでしょう。
そうすると、今度は被相続人の兄弟姉妹に相続権が移ります。この方々も負債を受け取りたくはないので、放棄することになるでしょう。

このように、相続財産が負債の方が多い場合で、相続人全員が負債を受け取りたくはない場合、広い範囲の親族に対して放棄の手続きをしなくてはなりません。これは時に、大掛かりな作業になります。
直系尊属に超高齢の方がいる場合、その方に相続放棄の手続きを取ってもらうのは大変です。
代襲相続となる数が多いと、放棄対象の親族を探し回るのにも苦労します。
たくさんの親族が放棄の手続きを取ることで、広い範囲の親族に弁護士などの相談料が発生してしまうこともあります。

このように大がかりな放棄の手続きを取るくらいなら、限定承認を選択する方法があります。そうすれば次の相続順位の方に相続権が移ることもなく、負債を消滅させることができます。
しかし限定承認を行うには、相続人全員が限定承認を選択し、様々な事務手続きを行う必要があります。さらに限定承認は、その手続きが煩雑であることから、敬遠されがちです。

そこで、放棄と限定承認を組み合わせることで、相続の事務手続きを簡素化できます。具体的には
・特定の1人の相続人を除いて、全員放棄する
・残った一人が、限定承認の手続きを進める
ことで、一人の相続人だけが限定承認の事務作業を行えば事足りるようになります。
比較的時間のある相続人が代表して、限定承認の手続きを行えば、全体として合理的な相続手続きとなります。

遺産分割協議に参加したくない場合に使える

遺産分割協議は、時に揉め事に発展することもあります。
また、仲の悪い親族と話し合う場を持つくらいなら、相続財産などいらない、と考える方もいるでしょう。
そのような人は、相続放棄を選択することも一つの方法です。

特別受益

生命保険の保険金は、特別受益に当たるのか

被相続人が亡くなった時に、被相続人を被保険者とする生命保険の保険金が、相続人に払われるという事例は多くあります。そして受け取った保険金はその相続人の固有の財産であり、遺産分割の対象にならないとされています。この点については、ファイナンシャルプランナーの試験でも出題されている通りです。

その一方、遺産分割において特別受益という概念があります。これは、ある相続人が、相続遺産以外に被相続人から財産を受け取っていた場合、相続人の間で遺産分割が不公平になるので、それをある程度是正するための制度であります。

前述のとおり、生命保険金はある相続人固有の財産となりますが、そもそも保険料は被相続人の財産から支払われます。ということは、生命保険に加入したことにより、結果として相続財産の額は縮小してしまいます。
したがって、生命保険金を受け取った相続人が、遺産相続で有利になる、という構図になることがあります。

実際、受け取った生命保険金が特別受益に当たるのかどうかが、裁判所で争われることもあり、その結果は裁判の内容によって分かれています。
生命保険金の額が、遺産総額と比べて不当に高額であったり、また生命保険を受け取った相続人に有利となるように意図的に仕組まれていた場合などは、特別受益として認められるケースもあるようです。

個別のケースにより判断が分かれるところですので、弁護士の業務分野となりますが、FPとしては「場合によっては、保険金は特別受益と認定されることがある」という点を理解しておくとよいでしょう。

 



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