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相続税

相続税申告財産の内訳

平成20年度に国税庁が公表した、相続税申告財産の内訳は次のとおりです。

土地:5兆8497億(49.6%)
現金、預貯金:2兆5363億(21.5%)
有価証券:1兆5681億(13.3%)
その他の財産:1兆1393億(9.7%)
家屋、構築物:6385億(5.4%)
事業用財産:527億(0.4%)
家庭用財産:171億(0.1%)

圧倒的に土地が多く、預貯金や有価証券の比率も高くなっています。

現金より賃貸マンションのほうが相続税額は小さい

例えば3人の法定相続人がいる方が死去した場合、現金2億円だと
  (相続額2億円)−(相続税控除額の8000万円)=1億2000万円
が課税対象となります。
一方、2億円の賃貸アパートの場合は場合によって多少異なりますが、課税対象額は
  (2億円×固定資産税の60%×(1−借家権割合30%))−(相続税控除額の8000万円)=400万円
ですむということになります。

借家権割合の数値は、国税局によって定められており、全国のほとんどの地域で30%となっています。(一部の場所は40%です)

【参考】増税時代、個人の資産や土地を守る手立てとは?−相続・贈与に有利に備える

小規模宅地の特例

小規模宅地の特例は、贈与に対しては適用できない

・相続時精算課税制度を使って土地を贈与した場合
・相続開始前3年以内の贈与により土地を取得した場合
の2ケースに対しては、小規模宅地の特例は適用できません。
なぜなら、この2つのケースは「贈与」であるためです。

小規模宅地の特例は、あくまでも相続のタイミングで土地が相続人に移転した場合に適用できる制度です。
ですので、無理して生前に贈与せず、相続で所有者を移転したほうが結果的に節税となる場合があります。

孫への贈与で、相続税の節税に

「相続人が相続開始前3年間に贈与した財産は、その価額を相続発生時に持ち戻し、相続税の課税対象とする」

というルールがあります。ファイナンシャルプランナーの方は、FP試験を取得する過程で学びます(3級でも出題されています)
つまり、相続人に110万円以内の贈与をして相続税の節税をしたつもりであっても、相続開始前3年分の贈与額は、最終的には相続税の課税対象になってしまうということです。

しかし、このいわゆる3年ルールが適用されるのは、通常は相続人のみです。したがって相続人以外への贈与であれば、それが相続発生前の3年間であったとしても、相続税ではなく贈与税の課税対象となります。
ですので、相続人でない孫へ生前贈与をすれば、相続税の節税対策にもなります。またそのお金は、相続人となるご家族の家計を助ける一面にもなります。孫にかかるお金をおじいちゃん、おばあちゃんが出してくれるので、その親(本記事において相続人となる立場の人)が直接支出するお金ではないからです。

本記事では「孫」に焦点を当てましたが、相続人でない人への贈与も同じく相続税の節税対策になります。ただ、家族外に流出するお金になるので、相続発生時の印象もひとつ考えておくべき点かと思います。

上記のお話は概略です。実務上、この手法で節税を行う場合には、ほかにも考慮すべきポイントがたくさんあります。
いま思いついただけでも、下記のポイントがあります。

実務上は注意すべき点もありますが、このお話が相続税節税のポイントの一つとして相談者へのアドバイスに活用できることを、知っておいて損はないでしょう。

相次相続控除

短期間で父と母の両方が亡くなるなど、相次いで相続が発生した場合、2度目以降の相続税の控除額の計算が通常とは少し異なります。
このようなとき、短い期間に2重の相続税がかかることになり、相続者の税負担も大きくなってしまいます。
このことを考慮して、「相次相続控除」という、相続税負担を軽減する制度があります。
この制度は、10年以内に、2回以上の相続が発生した場合に適用されます。

計算式:
http://123s.zei.ac/souzoku/soujisouzokukouzyo.html
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku/02/09.htm
http://www.tontonclub.com/law/vol15/index.html

相続対策での生命保険の保険金受取人

相続税の納税資金対策として、生命保険を活用するケースがあります。
この観点での対策において、保険金受取人は配偶者以外の人(例えば子供など)にしておく方が効率が良いです。

なぜなら配偶者の場合は、1億6000万円または法定相続分までは、もともと相続税がかからないという特例があるため、配偶者が納税資金に困るケースが少ないためです。

配偶者以外にはこのような特例がないため、保険金で納税資金をカバーするという方法は配偶者以外の相続人には有効になることが多いです。

金の仏壇は相続税対策に有効か?

相続税対策の一つとして、金の仏壇を購入するという話があります。
さて、これは本当なのでしょうか?

相続税対策になるという理屈の根拠は、仏壇は相続税上の債務控除として取り扱うという規定があるためです。
(ファイナンシャルプランナーの資格試験でも出題される内容です)
ですから、高額な金の仏壇を購入しておけば、それに対しては相続税が課税されなくなるため、相続税対策になるというわけです。

ところが、現実にはこの通りにはいかないようです。
というのも、下記の条件のいずれかを満たす場合には、債務控除の対象にならないと国税庁側が判断しているためです。

つまり、仏壇が債務控除として取り扱われるためには、以上2点に該当しないもの(いわゆる一般的なもの)でなければならない考えられます。
したがって、金の仏壇は相続税対策にはならない、といえるでしょう。

しかし実際には、「相続税対策になる」とうたって、金の仏壇を販売している業者もあります。ネットで検索すると、いくつか出てきましたが・・・。
FPとしてアドバイスをする場合には、こういった金の仏壇が相続税対策にはならないと説明することが大切です。ただし顧客固有の具体的な税のアドバイスには税理士の資格が必要ですので、関連業法の抵触には注意が必要です。

相続税の増税

相続税の法改正による影響とアドバイスの必要性

ここのところ、相続税の法改正に関する話題が多いですね。(2013年3月現在)
基礎控除額の削減などにより、相続税の課税対象となる人の割合が現状の4%から6%に上昇するといわれています。
特に、都心部の不動産をお持ちの方は、法改正後には基礎控除額を超える可能性が高くなります。先日の日経新聞では、都心部に住む人の20〜30%の人が相続税の支払いが必要になるかも、との予想が掲載されていました。

これをネタにして、不動産業界や税理士業界においては、相続対策セミナーがたくさん開催されています。

今後FP業務をしている人は、都心で不動産を持つ方へのアドバイスの機会が増えると思われます。
不動産や相続の分野での知識をしっかり持ったうえで、顧客の抱える問題を具体的に解決する手法を学び、相談業務に臨んでもらえればと思っています。

なお、顧客へ直接的に税のアドバイスをするときには、税理士免許が必要である点には注意しましょう。
こういうときには、FP+税理士のダブルライセンスが強みを発揮しますね。

遺留分減殺請求後の、相続税納付額の調整

遺留分を侵害した遺産分割案件があったとします。
遺留分を侵害された相続人(Aさんとします)が、遺留分の減殺請求を行うことにしました。

遺留分の減殺請求を行う前に、すでに相続税の納税が完了していた場合、誰も特にアクションをおこなされければ、遺留分を取得したAさんは相続税を支払う必要はありません。

ただし、Aさんから請求された立場の人(遺留分の財産を分け与えた人、Bさんとします)が、相続税の更正の請求をした場合には、Bさんには減殺請求分に相当する相続税額が還付されるとともに、Aさんにその税額分が国税庁から支払いを求められるようになります。
この手続きを行うためには、AとBとの間で話し合いがついた時点から4か月以内に、Bさんが更正の請求を行う必要があります。

このように、相続税納税後の遺留分減殺請求権にもとづいて、各相続人間で相続税の負担額の調整を行うことは可能です。

相続税の税務調査

追徴課税の割合と申告漏れの原因

相続税を支払った人のうち、およそ30%の人のところに、税務調査が入ると言われています。
法人税の税務調査の確率は約4%、所得税の場合は約1%といわれていますが、それと比べても相続税への税務調査の頻度が高いことがわかります。

税務調査が入る時は、税金の申告漏れが強く疑われる場合です。
実際、税務調査が入った場合、その8〜9割のケースでは追徴課税を求められているそうです。

申告漏れとなってしまう理由で多いのが、相続財産を正しく把握していないことがその大きな原因のようです。
相続税を支払う場合には、税理士の方にも協力していただき、正しく納税しているかをチェックすることも検討しましょう。

相続税の調査でチェックされるポイント

相続税の税務調査は7月〜12月ごろに行われる傾向があるそうですが、相続税の税務調査を受けた場合、その80%が申告漏れによる追徴課税があるとも言われています。

税務調査においては、次のポイントを中心に、様々なチェックが行われるそうです。

しっかり勉強した専門家ならこれらの点に気を付けることはできますが、一般の方がここまでのことに配慮できていないケースもあるでしょう。

相続コンサルティングを行う専門家の方は、相談してきたお客様がこれらのポイントを適切に対処しているかを確認するとともに、問題のない相続手続きを行えるようアドバイスしていくことが重要です。

相続税の申告漏れ財産で多いもの

2011年度の国税庁調査によると、申告漏れの相続財産の金額構成比率は次の通りです。

ご覧の通り、現預金や有価証券など、いわゆる金融資産が半数を超えています。
相続税の税務調査を受けた場合、その80%が申告漏れによる追徴課税があるとも言われています。

金融資産で国税庁から指摘されやすい理由は、被相続人が資産状況を完全に把握できない(把握漏れがある)という理由があると考えられています。

全財産を把握することは、ファイナンシャルプランニングにおいても大切なことです。
お金の相談に乗る専門家の啓発を受けて、多くの国民が自分とその家族の資産を把握できるようになれば、このような申告漏れは減らしていけるのではないかと思っています。

 



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